PRESS RELEASE
2012年4月19日
川崎市
富士通株式会社
行政と企業が連携した新たな緑地保全のスタート
川崎市と富士通による計画づくりからの保全管理活動の実践
川崎市と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已、以下、富士通)は、川崎市の特別緑地保全地区(注1)である、「栗木山王山特別緑地保全地区」(川崎市麻生区)の緑地保全管理活動について、覚書の調印式を4月24日に実施し、緑地での活動を4月27日より開始します。
川崎市と富士通川崎工場(川崎市中原区)両者で策定した「栗木山王山特別緑地保全地区保全管理計画」(注2)に基づき、荒廃した緑地を川崎市の支援のもと、富士通社員によるボランティア活動や、ICT(注3)などを活用し、概ね7ヶ年をかけて良好な里山として再生を目指します。
特定の緑地について保全管理計画策定の段階から市と企業が協働し、企業の持つ独自技術やマンパワーを緑地保全に活用するという先進的な取り組みです。
川崎市では、市の総合計画「川崎再生フロンティアプラン」に基づいて「多摩丘陵の緑の保全と育成」に取り組むとともに、「川崎市緑の基本計画」における、「保全された緑地の適切な管理と持続的な取り組み」、「新たな緑地保全施策に向けた検討」を施策目標としています。
富士通グループは、「富士通グループ生物多様性行動指針」のなかで、ICTを活用した生物多様性保全を重点施策の一つとして掲げています。生物多様性を保全していくには、森林や河川などの生態系や野生動植物の現状を分析・評価し、その結果に基づいた保全策の立案、保全策の実施、モニタリングしていくことが必要となります。
栗木山王山特別緑地保全地区について
荒廃した雑木林
川崎市麻生区栗木に位置し、町田市との市境の尾根部から斜面に広がる約2.0ヘクタールの緑地です。黒川地区、岡上地区、早野地区を結ぶ多摩丘陵の一部で、「川崎市緑の基本計画」に基づく「多摩丘陵軸」に位置付けられています。
当該地は、クヌギ・コナラなどが生育する雑木林とマダケなどが生育する竹林により構成される緑地ですが、雑木林の利活用が放棄されてから数十年が経過し、雑木林には竹類が侵入し、荒廃した状態となっています。
活動の概要
保全管理計画では、雑木林内に侵入した竹類の伐採、下草刈りや高木の剪定、萌芽更新(注4)などを通して、明るい雑木林の再生を目指すことを掲げています。
富士通は、環境意識向上のための社員教育やボランティア活動などを通して、緑地の保全管理を行うとともに、現状の緑地が、生態系上位の種であるシジュウカラにとって、住みやすい環境であるかということを、かんたんHEP(注5)で評価した後、携帯フォトシステム(注6)でモニタリングを行っていきます。
川崎市は活動の支援を実施しながら、隣接地の草刈りや、企業が活動できない箇所の管理、高木の剪定、萌芽更新などの作業を行います。
今後、保全管理を通して明るい雑木林となることで、当該地の生物多様性が向上し、鳥類や昆虫類の移動の中継点として機能し、多摩丘陵における生態系ネットワークの構築に繋がることを目指します。
今後のスケジュール
- 覚書調印式の実施
本件に関する覚書の調印式を川崎市建設緑政局長、富士通川崎工場長で行います。
- 実施日時:平成24年4月24日(火)10時30分~11時
- 場所:川崎市役所第3庁舎13階 建設緑政局長室
- かんたんHEPによる第1回調査および携帯フォトシステムによるモニタリングの試行
川崎市、富士通とで編成する「かんたんHEPチーム」で、当該地においてシジュウカラにとっての棲みやすさの調査を実施します。また、携帯フォトシステムによるモニタリングの試行を行います。
- 実施日時:平成24年4月27日(金)13時~
- 第1回保全活動の実施
富士通社員による第1回の活動を当該地において実施します。当日は、雑木林に侵出した竹を伐採する予定です。
- 実施日時:平成24年6月2日(土)9時~(予定)
※今年度の2回目の活動は秋に実施予定です。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社・各団体の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 特別緑地保全地区:
- 風致や景観に優れ、動植物の生息地として保全する必要のある緑地について、都市緑地法に基づき指定を行い、恒久的な保全を図る地区。
- 注2 保全管理計画:
- 特別緑地保全地区などの緑を適正に保全管理するために定めるものであり、当該地の動植物の生息に配慮した緑の保全管理の方針などについて定める計画。
- 注3 ICT:
- 情報 (Information)や通信(Communication)に関する技術(Technology)の総称。
- 注4 萌芽更新:
- クヌギ、コナラなどの落葉広葉樹を10~15年に一度伐採し、切り株から新しい芽を出させる作業。高木を伐採することで、林床に太陽光が届き、様々な植物が生育する明るい雑木林となり、昆虫類や鳥類なども生息する環境となる。
- 注5 かんたんHEP:
- 地域において保全すべき野生生物を評価種として選定し、その評価種の生息のしやすさからその地域の評価を診断シートを用いて行う手法。東京都市大学の田中章教授および富士通エフ・アイ・ピー株式会社と富士通が共同で開発。
- 注6 携帯フォトシステム:
- GPS機能付携帯電話を用いて撮影した位置情報と、時刻情報が付加された画像をメール添付で指定アドレスへ送信するだけで、データベースに蓄積された情報を一覧や地図にマッピングして閲覧できるシステム。
関連リンク
- 事業所敷地の生物生息環境の保全を推進(2011年9月29日 プレスリリース)
- 富士通の環境活動
本件に関するお問い合わせ
川崎市
建設緑政局 緑政部 緑政課
044-200-2380(直通)
富士通株式会社
川崎工場 環境管理部
044-754-8976(直通)
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