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PRESS RELEASE

2012年3月28日
独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター
富士通株式会社

国立病院機構長崎医療センター、被災時の医療継続を可能にするバックアップシステムを構築

クラウドを利用し、診療データの保全と医療の信頼性向上を実現

独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター(所在地:長崎県大村市、院長:米倉 正大、以下、長崎医療センター)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已 以下、富士通)は、共同で、被災時にも地域における診療を継続するためのバックアップシステムを構築し、このたび本格運用を開始しました。

このバックアップシステムは、富士通のプライベートクラウド型の医療機関向け災害対策ソリューション「HumanBridge (ヒューマンブリッジ)BCP(注1)ソリューション」を利用したもので、作業開始からわずか1カ月で構築を完了しました。これにより長崎医療センターは、電子カルテシステムと医事会計システムのデータをオンラインで、遠隔地の堅牢なデータセンター内のバックアップシステムに保全しています。また、本ソリューションには電子カルテの参照ビューワを装備しているため、被災時には避難所や他の医療機関から診療データを参照して診療活動を迅速に立ち上げることができ、メモ機能を使って現場での診療記録も残すことができます。

長崎医療センターは、高信頼・高性能なデータセンター利用のバックアップシステムを構築することにより、より安心・安全な診療を提供できる環境を、短期間で実現しました。

背景

長崎医療センターは県内最大規模の病院であり、高度総合医療施設です。県外からの患者も受け入れており、年間の入院患者総数は約12,800名、一日の外来患者数はおよそ800名にのぼります。この地域の拠点病院としての役割を果たすため、電子カルテ、地域医療連携「あじさいネットワーク」への参加など、積極的にICTを活用して医療の高度化と効率化を図っています。さらに、被災により病院内のシステムが壊滅し、全ての診療データが喪失してしまうリスクを回避し、かつ、他の医療機関や避難所から過去の診療データを参照して、診療を継続できるような仕組みの整備を検討していました。

2004年に長崎医療センターの電子カルテシステムを構築し、運用と保守を行ってきた富士通は、地域医療連携「あじさいネットワーク」の支援も行いながら、企業などでのBCP策定の実績をもとに、富士通のデータセンターに、長崎医療センターの災害対策用バックアップシステムの構築を提案しました。


災害対策ソリューションのイメージ

災害対策の概要

<通常時のバックアップ>

本バックアップシステムは、高度なネットワークテクノロジーと信頼性の高いセキュリティ、あらゆる災害対策を装備した富士通のデータセンターに構築され、24時間365日ノンストップで運用管理されています。長崎医療センターの電子カルテシステムの診療データは、リアルタイムで、電子カルテの標準フォーマットであるSS-MIX(注2)準拠のデータ形式で抽出され、データセンター内のバックアップシステムに保管されます。並行して、1日に1回、電子カルテシステムおよび医事会計システムのバックアップデータがデータセンターに送信されます。

<被災時の診療データ参照>

長崎医療センターの電子カルテシステムが利用できなくなった場合、避難所や他の医療機関など、日本国内であれば、パソコンをインターネットに接続して認証を行うことにより、医師や看護師などの診療スタッフは、患者の同意を前提にデータセンターに保管された診療データを参照できます。また、参照だけでなく、メモ機能を使って現場での診療記録を残すことも可能です。過去の診療データや基本的な情報(血液型、既往歴、アレルギー情報など)の参照が可能となるため、他地域から応援に来た医師や看護師などのスタッフも、信頼のおけるデータを参照した上で診療を行うことができます。

<システム復旧>

長崎医療センター内のICT基盤が再構築された後は、電子カルテサーバにデータセンターのバックアップデータを戻し、電子カルテシステムを復旧します。被災時にメモ機能を使って入力された診療記録は、災害時診療記録として電子カルテシステムから参照可能です。

今後

長崎医療センターは、拠点病院として、地域の医療機関と、さらに密接な連携をとり、より優れた医療を提供していくとともに、地域医療全体の高度化を推進していきます。

今回活用した「HumanBridge BCPソリューション」は、医療情報の分野では標準規格となっているSS-MIX標準化ストレージを用意しているため、電子カルテの種類にこだわらず適用可能です。このソリューションを利用することにより、長崎医療センター1医療機関のバックアップシステムではなく、地域医療全体のバックアップシステムへと拡大していくことができます。

富士通は、これまでの電子カルテシステムや全国各地の地域医療ネットワークの構築と運用実績やノウハウにより、今後も医療の信頼性向上と高度化を支えるICT環境の最適化を実現するためのコンサルティングやシステム構築、運用サポートを提供していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 BCP (Business Continuity Plan):
事業継続計画
注2 SS-MIX (Standardized Structured Medical record Information eXchange):
厚労省の電子的診療データ交換推進事業。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター
総合情報センター
電話 0957-52-3121(代表)

富士通株式会社
ヘルスケアソリューション事業本部
ヘルスケア営業支援統括部 第一営業支援部
電話 03-6252-2701(直通)


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