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PRESS RELEASE (技術)

2012年3月26日
株式会社富士通研究所

付箋を用いたブレーンストーミングの電子化を
デジタルペンを活用して支援する技術の開発に成功

従来の手入力による電子化作業と比較し、作業コストを80%以上削減

株式会社富士通研究所(注1)は、業界で初めて、付箋を用いたブレーンストーミング結果の電子化をデジタルペンを活用して支援する技術を開発しました。

現在、付箋紙(以下、カードと呼ぶ)を用いたブレーンストーミングは業務分析やアイデア創出などで重要な手段となっており、たとえば、企業や団体などで、コンセプト作りや意見交換を求める方法として多く用いられています。これまで、ブレーンストーミング結果のカードの配置や内容を電子化して記録・保存するためには、カード群を撮影した画像をもとにカードの位置や内容を人が手で入力する必要があり、多大な工数がかかっていました。

今回、デジタルペンの活用と富士通研究所独自の画像処理技術を組み合せることで、カード群を撮影した画像から個々のカードの位置と内容の電子化を支援する技術を開発しました。本技術により、ブレーンストーミングの後日の振り返りや検索・利活用が容易になり、これまでの人手による作業工数を80%以上削減することに成功しました。

本技術の詳細は、2012年3月29日(木曜日)から神戸で開催されるパターン認識・メディア理解(PRMU)研究会で発表する予定です。

開発の背景

現在、カードを用いたブレーンストーミングが業務分析や新たなアイデア創出などの重要な手段となっており、たとえば、いろいろな企業や団体において、コンセプト作りや新しい発想を得るためにカードを使った会議・意見交換がよく行われています。富士通では、フィールドイノベーション(注2)の活動において、お客様の業務課題を分析するため、カードを用いたお客様とのブレーンストーミングを行っています。しかし、ブレーンストーミングの結果を記録・保存し、活用するには、手書きのカードを人手でテキスト入力する電子化作業を伴うため多大な工数が必要となり、作業効率化の課題となっていました。


図1 カードを用いたブレーンストーミング

課題

ブレーンストーミングの結果を電子化するためには、ホワイトボードや壁などに貼り付けたカード群をデジタルカメラで撮影し、撮影画像からカードの配置や内容をテキスト化します。しかし、ブレーンストーミングは、さまざまな照明環境のもとで行われるため、撮影したカードは明るかったり影がかかったりしていることがあり、カードの領域を画像処理で自動抽出すること困難でした。また、カードに書かれる文字は手書きで自由に書かれた文字であるため、手書き文字に対して文字認識を行っても高い精度を実現することが難しい状況でした。

開発した技術

今回、デジタルペンの活用と独自の画像処理技術の組み合せにより、カード群を撮影した画像から個々のカードを自動でテキスト化する電子化支援技術を開発しました。開発した技術の特長は以下の通りです。

  1. 高精度なカード領域抽出方式

    デジタルカメラで撮影した画像から高精度にカード領域を自動抽出します。画像を多段階に2値化し、その結果を階層的に分析してカードの領域を見つけ出すことにより、さまざまな照明環境のもとでも高精度にカード領域を抽出することができます。

  2. デジタルペンの軌跡情報とカードとの対応付け方式

    デジタルペンでは文字の軌跡情報を取得することができるため、軌跡情報を活用した文字認識によって、画像に対する手書き文字認識よりも高精度な文字認識結果が得られます。そこで、抽出したカード領域の画像とデジタルペンの軌跡情報とを照合し、デジタルペンの文字認識結果を対応するカードのテキストとして自動入力できます。これにより、高精度なテキストの自動入力が可能になりました。


    図2 ブレーンストーミング結果の電子化技術

効果

PCとデジタルカメラ、デジタルペンを用意するだけで本技術を適用することが可能であり、これまでの人が手入力で作業する場合と比較して、電子化工数を80%以上削減できます。また、ブレーンストーミング結果をPowerPoint®やExcel®の形式として簡単に出力することができるため、後日の振り返りや再整理など、さまざまな用途に向けた検索・利活用も可能になります。

今後

本技術を、グループワークに新しい価値を与える技術として成長させていきます。また、富士通のフィールド・イノベーション活動を支援するツールとして展開していくとともに、2013年度の実用化を目指し、実証実験を踏まえてさまざまな利用シーンへの適用を検討していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市
注2 フィールド・イノベーション:
お客様の業務に着目し、その構成要素である「人」と「プロセス」と「ICT」を見える化することで本質的な課題を見極め、お客様とともに改善・改革を推進する取組み

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
メディア処理システム研究所 イメージコンピューティング研究部
電話 044-754-2678(直通)
メール pr_icdc@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。