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お知らせ

2011年5月27日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

平成23年度全国発明表彰「発明賞」を受賞

富士通株式会社(以下、富士通)(注1)の移動通信方式に関する発明が、このほど社団法人発明協会(注2)が主催する平成23年度全国発明表彰において、「発明賞」を受賞しました。受賞対象は、1998年に富士通が出願し、2003年に特許として登録された「CDMA移動通信における基地局切替え方法の発明(特許第3479935号)」です。

本発明は、第3世代移動通信システム(3G)の携帯電話端末(以下、端末)が移動する際に接続する基地局を順次切り替えていくハンドオーバー技術に関するものです。本発明で実用化した方式は第3世代移動通信システムの国際標準であるW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)で利用されており、世界中の携帯電話ユーザーの利便性向上に貢献しています。

本賞の表彰式は、6月20日(月曜日)に行われます。

全国発明表彰について

全国発明表彰は、わが国における発明、考案、または意匠の創作者ならびに発明の実施および奨励に関し、功績のあった方々を顕彰することにより、科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的としています。

受賞者

[発明賞]CDMA移動通信における基地局切替え方法の発明(特許第3479935号)
矢野 哲也  株式会社富士通研究所(以下、富士通研究所)(注3
川端 和生  富士通
大渕 一央  富士通研究所

受賞技術

  1. 背景と従来技術

    携帯電話システムでは、利用者が端末を利用しながら電車や車で移動する際に通信が切れるのを防ぐため、端末が接続する基地局を順次切り替えていくハンドオーバー技術が必須です。本発明は現在世界中で利用されている第3世代移動通信システムW-CDMAにおけるハンドオーバー技術に関する発明です。

    W-CDMAを用いた携帯電話システムでは、ハンドオーバーの際に、通信の連続性を確保し、通信が途切れないように基地局を切り替える必要があります。そのためには、ハンドオーバーを実行する前に端末における2つの基地局からの信号到着の時間差を把握し、ハンドオーバー前後の基地局からの信号の受信タイミングを合わせる必要があります。その際、2つの基地局の周波数が異なる場合には、端末は2つの基地局からの信号を同時に受信することができないため、周波数を切り替えて測定を行います。

    従来技術では、端末だけで2つの基地局からの信号の時間差を測定するため、測定のための周波数の切り替え時間が長くなり、音声の瞬断やデータ伝送速度の低下が発生し、重要な課題となっていました。


    図1 ハンドオーバーの概略

  2. 発明技術

    本発明では、基地局からの信号の時間差測定を端末だけで行うのではなく、端末と基地局側で分担して行うことにより、端末における測定時間を短縮して測定による中断を解消し、音声の瞬断およびデータ伝送速度低下を起こさない測定を実現しました。


    図2 従来と本発明の比較

  3. 産業上の応用

    本発明はW-CDMA標準に採用され、パテントプール(注4)から標準必須特許として認定されており、世界中で利用されています。また、本発明により、移動中でもストレスなく携帯電話を利用できるようになり、世界中のユーザーの利便性、満足度向上に貢献しています。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 富士通株式会社:
代表取締役社長 山本正已、本社 東京都港区。
注2 社団法人発明協会:
総裁 常陸宮殿下、会長 豊田章一郎、所在地 東京都港区。
注3 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注4 パテントプール:
2人(社)以上の特許権者が、それぞれの特許を共同にして(プール)、各々が使用できるようにするもので、クロスライセンス契約の一種。各社の特許を特定の会社(団体)に集中し、各社がそこからライセンスを受けるという形を指すことが多く、技術を国際的に標準化する際に、その管理会社(団体)が必須特許をパッケージ化して一括してライセンスすることにより、権利処理の効率化と技術の普及を促進するための仕組み。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
知財戦略部
電話  044-754-2253 (直通)
メール cdma_ho@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。