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PRESS RELEASE

2011年5月25日
株式会社QDレーザ
株式会社富士通研究所
国立大学法人東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構

世界初!200℃以上の高温に対応した1.3マイクロメートル帯量子ドットレーザを開発

石油やガス資源の探査など、高温環境下のセンシングへの応用に期待

株式会社QDレーザ(注1)(以下、QDレーザ)と株式会社富士通研究所(注2)(以下、富士通研)、国立大学法人東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構(注3)(以下、東京大学)は、大きさがナノメートル(10億分の1メートル)単位の半導体微粒子である量子ドットを利用した波長1.3マイクロメートル(以下、μm)帯の半導体レーザで、世界で初めて200℃以上での高温動作に成功しました。本技術により、半導体レーザ適用範囲を拡大することが可能となり、石油やガス資源の探査など高温環境下でのセンシングへの応用が期待されます。

本技術の詳細は、5月22日からドイツ、ミュンヘンで開催される国際会議「CLEO/Europe -EQEC 2011 (The European Conference on Lasers and Electro-Optics and the XIIth European Quantum Electronics Conference」にて発表いたします。

なお、本研究開発の一部は、文部科学省の科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムにより行われました。

近年、半導体レーザの利用範囲が光通信や光記録から産業のさまざまな分野に広がっていくにつれて、高温の環境下でも動作する半導体レーザが必要とされています。石油やガスなどの資源探査においては、地中深くまでドリルで掘り進み、そこに埋蔵されている物質が石油かどうかをセンシングして見分ける必要がありますが、センシングに応用できる波長1.3μm帯の半導体レーザの最高動作温度は最高でも175℃にとどまっていました。

量子ドットを発光部に適用した半導体レーザである量子ドットレーザでは、従来の半導体レーザを凌駕する画期的な特性が実現されてきました。この量子ドットレーザを高温で動作させるためには、できるだけ多くの量子ドットをレーザ動作に寄与させることが必要であり、発光部に用いる量子ドットの密度と均一性を向上させることが課題となっていました。

今回、以下の2つの技術を開発することで200℃を越える高温でのレーザ動作を可能にしました。

  1. 量子ドットの密度と均一性の向上

    量子ドット結晶の作製技術の改良により、1平方センチメートルあたり600億個と高密度での量子ドットのばらつきを小さくして均一性を向上しました(図1)。


    図1 従来の量子ドット(左図)と今回均一性を改良した量子ドット(右図)

  2. 量子ドットの多層化積層技術

    高密度で高均一な量子ドットの層を8層まで積層することにより、波長1.3μmの半導体レーザの200℃以上の高温動作が可能となりました。連続動作状態で最高220℃までのレーザ動作を確認しており、200℃でも2ミリワット以上の光出力が得られています(図2)。


    図2 量子ドットレーザの電流と光出力特性

    量子ドットレーザの高温動作は、これまで半導体レーザが使えなかった苛酷な温度環境への半導体レーザの適用を可能とします。QDレーザでは、今回の成果をもとに高温200℃まで動作可能な半導体レーザの製品化を目指します。

    QDレーザでは、5月23日(月曜日)から26日(木曜日)までドイツ・ミュンヘンで開催される展示会LASER World of PHOTONICSにて高温動作レーザQLF1335-AD(将来の車載用光データ通信や資源探査に向けた150℃まで動作可能な波長1.3μm帯レーザ)をはじめとする製品展示をいたします(ブース# B1-310)。

株式会社QDレーザについて

富士通株式会社と、三井物産グローバル投資株式会社(設立当時:株式会社エム・ヴィー・シー)の出資で2006年4月に設立されました。本社は神奈川県川崎市です。株式会社QDレーザは、可視領域、および1.0~1.3μm帯の高性能の半導体レーザの開発・製造・販売を行います。コア技術の一つである、量子ドット技術は、10年以上にわたる富士通研究所と東京大学との産学連携による共同開発から誕生いたしました。詳しい情報はQDレーザ ホームページにてご覧ください。

以上

注釈

注1 株式会社QDレーザ:
代表取締役社長 菅原充、本社 神奈川県川崎市。
注2 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注3 国立大学法人東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構:
機構長:荒川泰彦=生産技術研究所教授、東京都目黒区。

本件に関するお問い合わせ

株式会社QDレーザ
事業企画部 / 営業部
メール info@qdlaser.com
Webサイト


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。