PRESS RELEASE
2010年12月7日
独立行政法人 情報通信研究機構
日本電信電話株式会社
日本電気株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社
三菱電機株式会社
株式会社日立製作所
株式会社KDDI研究所
富士通株式会社
沖電気工業株式会社
100Gbpsイーサネットを効率的に運ぶ広域光ネットワーキング実験に成功
NICT委託研究で、光通信の先端技術を開発、遠隔地の大容量データへのオンデマンドアクセスを実証
日本電信電話株式会社(以下「NTT」)、日本電気株式会社(以下「NEC」)、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下「NTT Com」)、三菱電機株式会社(以下「三菱電機」)、株式会社日立製作所(以下「日立」)、株式会社KDDI研究所(以下「KDDI研」)、富士通株式会社(以下「富士通」)、沖電気工業株式会社(以下「OKI」)は、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」)の委託研究(注1~注3)により開発した、光ファイバ内の通信リソースである光の波長を効率的に利用するための複数の技術を連携させ、NICTの実験環境(JGN2plus(注4)光ファイバ)を用いて、光波長をユーザにオンデマンドで割当てる仮想光網(注5)を構成し、毎秒100ギガビット(現在の100倍)のアクセス速度による広域LAN環境を実現することに成功しました。
これは、今年6月に国際標準化された最新100ギガビットイーサネット(IEEE802.3ba 100GbE(注6))に対応した技術を用いて、デジタルシネマ級の高精細な映像通信や大容量のファイル交換を、遠隔地ともストレスなく行える将来の広域LAN 環境の構築が可能であることを、世界で初めて実証したものです。
背景
急速に進展するブロードバンド環境や映像系コンテンツ利用の拡大に対応して、今後のネットワークには更なる大容量化・高機能化が必要です。このため、中継ノードではなるべく電気信号に変換せずに通信できる光ネットワークを構築し、究極的には、複数のユーザと遠隔地のサーバをオンデマンドに波長の束で結び、広域網に遍在する多数の波長をユーザが意識せずとも効率的に共有できる仮想光網(注5)を実現することが期待されています。
実験の概要と成果
今回、NTT、NEC、NTT Com、三菱電機、日立、KDDI研、富士通、OKIの各社は、NICTの委託に基づき広域光ネットワーク技術を開発するとともに、今般そのプロトタイプ装置を持ち寄り、JGN2plusの光ファイバで複数拠点を結んだ波長多重(WDM)実験網を構成し、100Gbpsイーサネットを効率的に運ぶ広域光ネットワークを動作させることに成功しました。具体的には今般開発された(1)ユーザによる網アクセスを効率化する技術(注1)、(2)網内の波長を有効利用する技術(注2)、および(3)光リンクを高度化する技術(注3)を連携させることにより、WDM網内の波長資源を仮想化して有効利用することに成功しました。これによりユーザ要求にあわせて網内の波長資源を動的に割当て、ユーザとサーバを1~10波(1波あたり毎秒10ギガビット)で結びます。本技術により、ユーザは、最新の100GbE(注6)インタフェースを用いて、従来の100倍の速度で光ネットワークにアクセスし、高精細(HD)映画1本相当(ブルーレイディスク1枚分(注7))のデータも、僅か2秒でend to end 500kmの広域転送が可能になります。
今後の展望
今回の実証成果に加えて、今後も、波長あたり100Gbps伝送を革新する信号処理技術、光波長帯域幅を適応的に最適化する技術、100Tbps級のスイッチ容量を実現する光技術などの研究開発を進めるとともに、それらを連携させてスループットがテラビット級の広域LAN環境の実証を進めていきます。
また、産学官の叡智を結集した我が国が世界に誇る「光」技術の研究開発を進めることにより、国際競争力強化に資することも期待されます。
なお、本実験模様は、2010年12月16日(木曜日)及び17日(金曜日)に静岡県三島市で開催される「光通信システムシンポジウム」(注8)にて展示紹介する予定です。
添付資料
PDF 補足説明(1.81MB)
以上
注釈
- 注1 NICTの委託研究「λアクセス技術の研究開発」(2006年~2010年):
- NTT、NEC、東京大学、NTT Com、三菱電機、日立製作所、KDDI研究所、慶応義塾
- 注2 NICTの委託研究「λユーティリティ技術の研究開発」(2006年~2010年):
- NEC、大阪大学、富士通、三菱電機、OKI
- 注3 NICTの委託研究「ユニバーサルリンク技術の研究開発」(2008年~2011年):
- NTT、日立、富士通、三菱電機、NEC、NTT Com
- 注4 JGN2plus:
- NICTが運用する、研究開発用の超高速・高機能なテストベッドネットワーク。2008年4月から運用。
- 注5 仮想光網(Virtualized Optical Network: VON):
- フォトニックネットワーク(光網)内に遍在する波長資源を、ユーザには意識させずに、オンデマンドでEnd-to-End通信用に提供。物理的なファイバ網の上に、ユーザ毎に分離された波長網を動的に構築。
- 注6 100ギガビットEthernet(100GbE):
- 米国電気電子学会(IEEE)802標準委員会が2010年6月に標準化。並列伝送方式を採用し、10波(短距離)もしくは4波(中長距離)を固定的に占有して通信する。
- 注7 2秒で高精細映画1枚分:
- ブルーレイディスク 規格(一層片面、25GB)で換算。地上波デジタルハイビジョン画質映像180分に相当。
- 注8 光通信システムシンポジウム(OCSシンポジウム):
- 電子情報通信学会 光通信システム研究専門委員会(OCS)主催。光通信に関する日本最大の研究会。
本件に関するお問い合わせ
独立行政法人情報通信研究機構
総合企画部 広報室
報道担当 廣田 幸子
電話: 042-327-6923
日本電信電話株式会社
NTT先端技術総合研究所
広報担当 飯塚 公徳
電話: 046-240-5157
[当社の技術に関するお問い合わせ先]
富士通株式会社
ネットワークプロダクト事業本部 フォトニクスプロダクト開発センター
電話: 044-754-2641(直通)
E-mail: lambda_ulink_fujitsu@ml.labs.fujitsu.com
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