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PRESS RELEASE

2010年11月17日
財団法人九州先端科学技術研究所
富士通株式会社

超大規模スーパーコンピュータ向け通信性能シミュレータ「OpenNSIM」を公開

HPCコミュニティにおける研究開発活動の進展に貢献

財団法人九州先端科学技術研究所(理事長:芦塚日出美 所在地 福岡市早良区 以下、九州先端科学技術研究所)と富士通株式会社(代表取締役社長:山本 正已 本社:東京都港区 以下、富士通)は、スーパーコンピュータの計算ノード間を接続するインターコネクトの通信性能を評価するためのシミュレータ「OpenNSIM」を開発し、その実行サービスを本日よりウェブサイト上で一般公開します。

本シミュレータにより、数千から数万の計算ノードを持つ超大規模スーパーコンピュータの通信性能の評価が可能となり、スーパーコンピュータの大規模化がアプリケーションソフトに与える影響を仮想的に確かめることができます。また、本シミュレータではさまざまな構成のインターコネクトをシミュレーションできるため、一般に公開することによって、将来のスーパーコンピュータ開発のツールとして、研究者の方々に広く利用していただくことが可能となります。

本シミュレータは、九州先端科学技術研究所、富士通、福岡県産業・科学技術振興財団、九州大学による、文部科学省科学技術振興費次世代IT基盤構築のための研究開発(研究開発領域:将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発、研究課題:ペタスケール・システムインターコネクト技術の開発、期間:平成17~19年度)、ならびに、九州先端科学技術研究所と富士通によるプロジェクト(期間:平成20~22年度)で開発されたものです。

背景と課題

スーパーコンピュータは、一般的なコンピュータでは解くことが困難な大規模で高度な計算を高速に処理できるコンピュータであり、気象や医療、ものづくりなど、人類社会の重要課題を解決するためのツールとして必須のものです。多くの計算ノードを相互に接続したスーパーコンピュータは、その性能を最大限に発揮するため、各計算ノードを効率的に協調させて計算を行う必要があります。そのためには、計算ノード間を接続し通信を行うインターコネクトが重要な役割を果たします。

一方で、インターコネクトにはクロスバ構成、ファットツリー構成、トーラス構成などさまざまな方式があり、アプリケーションソフトに与える影響や、実現に必要となる製造コストで、それぞれに長所と短所があります。また、アプリケーションソフトごとに実行する計算内容が異なるため、計算ノード間で発生する通信のパターンが多岐に渡り、性能向上の要件が異なります。さらに今後、スーパーコンピュータを構成する計算ノードの数が数万個以上になると、インターコネクトのアプリケーションソフト全体性能へ与える影響度がいっそう高まると考えられます。

そのため、超大規模スーパーコンピュータにおけるインターコネクトの通信性能がアプリケーションソフトに与える性能影響について定量的に評価、検討することは、将来のスーパーコンピュータを開発し利用する上での重要な課題になっています。

公開するシミュレータ「OpenNSIM」の特長

  1. インターコネクトの各通信リンク上でのパケットの衝突を精密にシミュレーションすることにより、大規模な構成のインターコネクトについても高い精度で通信性能を評価することができます。これにより、実在しない超大規模スーパーコンピュータにおけるアプリケーションソフトの性能も推定することが可能となります。
  2. 各通信リンクの利用率や混雑状況などの、インターコネクトの利用状況をシミュレーションの過程で観察することができます。これにより、インターコネクトの構成に応じてアプリケーションソフトに対して生じる性能影響の根本原因を調査し追及することが可能となります。
  3. シミュレーションの実行サービスをウェブサイト上で公開し、広く一般に「OpenNSIM」を無償で提供します。ウェブサイトにアクセスするだけで実行でき、煩わしいセットアップ作業を行うことなく、インターコネクトのシミュレーションをお試しいただけます。
    「OpenNSIM」公開サイト

今後の予定について

11月13日(土曜日)から19日(金曜日)まで米国ニューオリンズで開催されるHPC分野の国際会議「SC10」に本シミュレータを参考出展しています。また、12月16日(木曜日)および17日(金曜日)に北海道大学学術交流会館で開催される一般社団法人情報処理学会の合同研究会「HOKKE-18」にて研究報告を行います。

さらに今後、本シミュレータを用いた研究事例を「OpenNSIM」公開サイトに順次掲載していく予定です。

以上

本件に関するお問い合わせ

財団法人九州先端科学技術研究所
次世代スーパーコンピュータ開発支援室
E-mail: nsim-support@isit.or.jp
電話: 092-834-1135(直通)

富士通コンタクトライン
電話: 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)


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