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PRESS RELEASE

2010年5月19日
株式会社富士通研究所
Fujitsu Asia Pte. Ltd.
シンガポール科学技術庁

富士通グループ初となるバイオ医療の研究拠点をシンガポールに開設

シンガポール科学技術庁と協力してガンや疾患の革新的な検出技術の開発を推進

株式会社富士通研究所(以下、富士通研究所)(注1)とFujitsu Asia Pte. Ltd.(以下、FAPL)(注2)は、シンガポールに新たな研究拠点(注3)を共同で開設いたしました。今回開設した研究拠点は、富士通グループ初となるバイオ医療の研究拠点であり、アジアの研究開発のハブであるシンガポールにおいて大学や研究機関との密接な協力関係を持つものです。

本拠点では、シンガポール科学技術庁(以下、A*STAR)(注4)と協力して、疾患を検出するための人工抗体技術の開発、および、事業化に向けた試行を進める予定です。

拠点での研究内容

今回シンガポールのバイオポリスに開設した研究拠点は、A*STARのセラピー実験センター(ETC)、シンガポール国立大学(NUS)、シンガポール国立大学病院(NUH)、そして、シンガポール癌科学研究所(CSI)といったシンガポール国内の主要な研究機関とも協力して、前立腺ガンや胃ガン、循環器疾患、デング熱といった病気の診断へ人工抗体技術の適用を進めます。これにより、さまざまな疾患についての診断精度の向上が期待できます。

研究の背景

これまで、疾患の検出のためには自然界の抗体が用いられていました。しかし、安定した品質の高い人工抗体を利用することで、効率的で効果の高い診断プロセスを実現することができます。その結果、より早期に疾患を発見して対処することが可能になり、最終的には治癒率の向上や人間生活の質の向上につながることが期待されます。これにより、各国における医療費用のコストを削減することにつながります。富士通独自の人工抗体技術は、薬やヘルスケア、そして、バイオ医療といった産業への貢献が可能です。

関係機関からのコメント

富士通研究所の代表取締役会長 村野和雄は、「富士通研究所のシンガポールでのミッションの1つは、バイオ医療分野の重要な課題に対して戦略的な研究を進めることにあります。このミッションは、富士通研究所のビジョンである“ヒューマン・セントリックなネットワーク社会”を創出することに密接に関係しています。富士通研究所が持つ優れた技術は、大きなビジネスの可能性を持っています。シンガポールでの研究開発拠点の開設とA*STARとの協業は、革新的な技術で人間の生活をより良くすることによりアジア地域に貢献することを約束します。」と述べています。

さらに、村野和雄は、「A*STARとの協業は、組織や地域の垣根を越えて情報のやりとりをおこなう、富士通研究所の先進的なオープン・イノベーションの証しでもあります。大学や政府、研究機関とグローバルに情報をオープンに交換することで、ICTの新しいイノベーションを切り開く研究開発につながるコラボレーションを推進します。」とも述べています。

FAPLリージョナルCEOのローレンス・ウィーは、「シンガポールでの研究開発拠点の開設は、世界中から最良の技術をシンガポールに、という我々が目指す方向性を再確認するものです。富士通は、ICT企業として初めて、人工抗体による診断技術についての革新的な方法論を提供します。富士通と A*STARとの協業は、シンガポールに人工抗体の診断技術で世界的なR&D拠点を発展させることが目的です。これによって、シンガポールが技術の分野で革新を進めることに貢献します。」と述べています。

A*STAR 長官であり開所式のゲストでもあるリム・チャン・ポウは、「富士通とシンガポールは、30年以上にわたる戦略的なパートナーシップを享受してきました。バイオポリスにおける研究開発拠点の開設によって、富士通はシンガポールでの活動を上流の研究開発分野に拡大する、果敢な一歩を踏み出しました。今回の富士通の決定は、シンガポールにおける研究開発とイノベーションのハブとしての魅力と、アジアのバイオポリスとしての名声を強調するものです。開設された拠点と、ETC、NUS、NUH、そして、CSIといったシンガポール研究機関との協調もまた、企業にとって魅力があり、包括的で統合されたバイオ医療のエコシステムを構築するというシンガポールの戦略の成功を意味しています。シンガポールとA*STARは、富士通との戦略的なパートナーシップが今後も長く成功することを期待しています。」と、述べています。

人工抗体について

人工抗体は、最近では抗体の代替として知られるようになっています。生物から採取するのではなく化学的に合成するものであるため、安定した品質の高いものを作ることができます。しかし、これまでは不安定な特性を持つRNAから作られていたため、限られた分野でしか使われていませんでした。富士通は、RNAの代わりに安定したDNAを利用する人工抗体の開発システムを確立しました。さらに、富士通の人工抗体は、化学的に多様な相互作用を実現できるという他には見られない特性を持っており、これによって、従来の抗体に変わる強力な技術になっています。富士通の人工抗体技術を用いることによって、疾患の検出を効率良くすることが期待できます。シンガポールでの富士通の研究開発拠点は、お客様やパートナー、そして、アカデミックな機関と密接に協調し、疾患の検出という分野の研究を推進します。

拠点開設の意義

FAPLは、他の国々に位置する富士通研究所の研究知識とノウハウとを集め、本拠点がさまざまな学問分野にわたってアジアにおける研究開発の中心となることを目標としています。さらに、他の機関と協力的なコミュニティーを育成することによって、知識やベスト・プラクティスを共有するさまざまな方策を進めていきます。富士通研究所は、人間の生活をよりよくするために、優れたツールと製品の開発を加速することを目標としています。

A*STARと富士通は、物理科学の分野で密接な研究開発を推進しており、2010年1月19日にはペタスケール・コンピューティングに向けたアプリケーション技術の共同研究を行うことを発表しました。今回、その協力関係をバイオ・医療の分野に広げることで、革新的な技術の研究開発を強化します。開設した拠点は、シンガポールのバイオ医療専門の研究拠点であるバイオポリスに位置しており、研究機関どうしが互いに協力して研究を推進できる優れた環境にあります。

今回開設した拠点は、シンガポールでのバイオ医療の研究開発企業の仲間入りをしました。シンガポールでは、50以上の企業と公的な研究機関に属する4,300名の研究者が、創薬や遺伝子の翻訳、臨床といったバイオ医療の研究開発をすすめています。バイオ医療の製造額は2009年に210億シンガポールドルへと着実に成長しており、この分野で13,000名以上の雇用を産み出しています。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

  注1 富士通研究所:
本社:川崎市中原区、代表取締役社長:富田 達夫。
  注2 Fujitsu Asia Pte Ltd.:
本社:シンガポール、社長:フランシス・ゴー。
  注3 シンガポールに新たな研究拠点:
正式名称は、Fujitsu Asia Pte Ltd. Fujitsu Laboratories and R&D Division。
  注4 シンガポール科学技術庁:
Agency for Science, Technology and Research。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
R&D戦略本部
電話: 044-754-2614(直通)


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