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PRESS RELEASE (サービス)

2009年3月4日
富士通株式会社

国内初!JAXA様の人工衛星を利用したアジア太平洋域災害管理システムを
富士通が受注

~APRSAF(注1)が推進する「センチネルアジアSTEP2」に貢献~

当社はこのほど、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(理事長:立川 敬二、本社:東京都調布市、以下、JAXA) 様より、「センチネルアジアSTEP2」のシステム開発を受注しました。

センチネルアジアは、2005年にJAXA様が提唱し、アジア太平洋地域宇宙機関会議(略称:APRSAF)が推進する国際プロジェクトであり、地球観測衛星などの宇宙技術を有効に活用し、自然災害の被害が集中するアジア太平洋域の防災・危機管理に資する活動として、現在、20ヵ国51機関、8国際機関が参加しています。

センチネルアジアでは、2006年より「STEP1」として、地球の映像を撮影する地球観測衛星から取得した画像を分析しインターネット上で公開するプロトタイプシステムを開発し、これまでにアジア太平洋地域の各国の災害時に被災地観測画像の提供を行ってきました。当社が受託した「STEP2」では、観測した衛星画像を各国被災地の防災機関へ迅速に配信することを目指しており、通信衛星を利用した国際的な災害管理支援システムとしては国内初となります。

なお、本システムは2010年4月の本格稼動を予定しています。

近年アジア地域において多発する台風、洪水、地震、津波などの大規模自然災害は深刻な問題となっており、その被害者数はアジア地域だけで世界の89%を占めると言われています。この問題に対してJAXA様は、2005年に開催されたAPRSAFにおいて地球観測衛星・通信衛星などの宇宙技術を利用した防災・危機管理システムを活用した国際プロジェクトであるセンチネルアジアを提案し、その重要性が認識されAPRSAFが推進するボランティア・イニシアチブとして、現在に至っています。


センチネルアジアプロジェクト概要図
拡大イメージ

2006年より運用開始したセンチネルアジアのプロトタイプシステム「STEP1」では、JAXA様の地球観測衛星「だいち」による観測を始めとした災害地域の衛星画像、地図データなどをインターネット上で公開・提供し、2007年2月のジャカルタ洪水ほかで実績を残しています。

今回当社が受注した「STEP2」のシステム開発では、アジア各国の衛星画像をより迅速に各国の防災機関に定期的に自動配信する仕組みを構築します。遠距離間の通信や回線品質が不十分な環境で転送効率を高められる当社の高速ファイル転送ソリューション『BI.DAN-GUN(ビーアイドットダンガン)』を通信衛星とインターネット通信に組み込むことで、インターネット環境が十分に整備されていない地域にも、JAXA様の通信衛星「きずな」を利用して確実に衛星画像を配信することができます。



本システムの特長

  1. 超高速インターネット衛星(WINDS)「きずな」を活用

    JAXA様が2008年に打ち上げたインターネット接続用の衛星「きずな」を、センチネルアジアシステムから各国防災機関への画像配信や中央サーバ(日本) とアジアの各地域サーバへのデータ送信に活用します。

    これにより、地上系の高速インターネットが未整備なところでも映像情報の受信が可能となります。

  2. 高速ファイル転送ソリューション「BI.DAN-GUN」

    本システムには株式会社富士通研究所(注2) のRPS(注3) 技術(独自アルゴリズム)をベースに開発された当社高速ファイル転送ソリューション「BI.DAN-GUN」が採用されています。日本と欧州の間でFTP(注4) の約20倍の性能を実測し、一般的なWAN高速化装置と比較しても約1.5倍、回線品質が十分に確保できないASEAN間でもFTPの約7倍の性能を達成しており、通信回線の品質に左右されない、高速かつ確実なファイル転送を実現します。

    回線品質の確保が十分でない地域とのインターネット通信や、国際衛星通信などに効果を発揮します。

本システムはわが国の宇宙開発が目指すあらたな方向である、防災・環境などへの宇宙データ利用の先駆けとなるプロジェクトとして、国内外で今後拡大が期待されるサービスとなります。

本システムが宇宙技術とアジア太平洋地域の防災活動との懸け橋になり、宇宙技術が防災活動に貢献し、また、防災活動の要求によって宇宙技術がさらに高度化するという双方向の流れを加速し、アジア全体の発展に寄与することが期待されます。

当社は今後もJAXA様を始めとする宇宙関連機関向けのシステム開発や気象庁様を始めとした社会インフラシステムの構築から培った開発・運用技術などの経験を活かし、ITによる国際貢献をサポートしていきます。

以上

注釈

  注1 APRSAF:
アジア太平洋地域宇宙機関会議の略。アジア太平洋地域における宇宙利用の促進を目的として、この地域の宇宙機関や宇宙利用ニーズを有する行政機関・国際機関の参加の下、各国の宇宙活動や将来計画に関する情報交換、並びに具体的な協力活動の構築に向けた議論を行う文部科学省様JAXA様など日本が主体となって立ち上げた国際会議。
  注2 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 村野和雄 本社神奈川県川崎市。
  注3 RPS:
Random Parity Streamの略。 富士通研究所が独自に開発した消失訂正符号化方式。
  注4 FTP:
File Transfer Protocolの略。インターネットなどのTCP/IPネットワークでファイルを転送するときに使用するプロトコル。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ


[センチネルアジアに関するお問い合わせ]
テクニカルコンピューティング・ソリューション事業本部
テクニカルコンピューティング統括営業部
電話: 03-6252-2550 (直通)

[BI.DAN-GUNに関するお問い合わせ]
自動車ビジネス本部 ソリューションビジネス統括部
電話:03-6252-2370 (直通)


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