PRESS RELEASE (技術)
2008-0099
2008年5月13日
株式会社富士通研究所
本技術に関して、5月15日から16日まで東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する「富士通フォーラム2008」にて、応用例をご紹介します。
近年、人が目視で観察することでしか把握できなかった人の行動を、自動的・定量的に把握することが、さまざまな分野で求められています。人の行動を把握することで、たとえば、セキュリティの分野では、立ち入りが制限された場所への人の出入りを自動的に監視することができます。また、マーケティングの分野では、店舗での顧客の購買行動の分析に利用できます。そこで、特定の場所へ立ち寄る頻度や立ち止まった時間など人の行動を定量化するデータを得る手段として、映像から自動的に人の動線を抽出する画像センシング技術が求められています。
映像をコンピュータで解析して監視業務を自動化する画像監視の分野では、映像から人の動線を抽出する技術の開発が行われてきました。しかし、コンビニなどで見かけるような、部屋を斜め上から複数のカメラで撮影し監視する従来の手法では、各カメラの映像がそれぞれ独立して処理されます。このため、人を重複してカウントしてしまったり、人の後ろに他の人が隠れる、いわゆる死角が発生し、撮影した映像からすべての人を正確に把握し、動線を抽出することは困難でした。
上記課題を解決するため、死角のない映像から漏れなく人を追跡する技術を、業界で初めて、開発しました。新技術の特長は以下の通りです。(図1)
監視エリアの天井に、多数の小型カメラを真下に向けて設置し、視点の異なる複数の映像を撮影します。さらに、これらの映像を、各カメラの位置に基づいて一つにまとめることで死角のない映像を取得します。
上記により取得した死角のない映像では、同じ人が複数の異なる視点から撮影されていますが、映っている人の大きさやかたちをもとに同一の人であるかどうかを検証します。これにより、映像中の人の位置を重複なく正確に検出・追跡し、すべての人の動線を抽出します。
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約50平方メートルの店舗を16台のカメラで撮影し、のべ243人が通過する環境で実験を行い、通過した人を100%検出し、追跡できることを確認しました。
実験システムでは、16台のカメラの映像をミドルクラスのPC(Intel®Pentium®4、3ギガヘルツ)1台で毎秒30フレームと、リアルタイムに処理することが可能です。さらに、設置するカメラの数や配置は自由に変更できるため、さまざまな広さやかたちのスペースに適用することができます。
本技術には次のような応用例が考えられます。
入退出管理システムにおいて、認証した人と認証していない人の動線を把握することで、認証していない人の入退室を防止・抑止することができます。
顧客の動線から、移動経路、売り場での滞在時間などを定量化できます。
作業員の動線の長さから作業効率を定量的に評価できます。
2008年度中に、データセンターなどの高いセキュリティが必要な施設向けの入退室管理システムに適用する予定です。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
株式会社富士通研究所
画像・バイオメトリクス研究センター 画像パターン処理研究部
電話: 044-754-2679(直通)
E-mail: isn-pr@ml.labs.fujitsu.com
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。