PRESS RELEASE (技術)
2008年3月6日
株式会社富士通研究所
ハインリッヒ・ヘルツ研究所
~毎秒107ギガビットの光信号処理で実証~
なお、今回の技術の詳細は、米国サンディエゴで開催された「OFC/NFOEC 2008」(The Optical Fiber Communication Conference and Exposition(OFC) and the National Fiber Optic Engineers Conference(NFOEC)2008)において発表しました。
インターネットの急速なブロードバンド化に伴い、急激に増大するデータ伝送量に対応するために、光ネットワークのさらなる高速・大容量化が求められています。その一方で、光信号は高速・大容量になるほど、光増幅器から発生する光雑音の影響を受けやすく、伝送距離が厳しく制限されます。このため、光雑音の影響を低減するための研究開発が必要です。
光雑音を低減するために、従来は、光増幅技術により光信号のパワーを増やすことに加え、光信号を電気信号に変換してから光雑音の影響を取り除き、再び光信号に変換する方法により対処してきました。しかし、この方法で長距離の伝送を行う場合、光信号の増幅や電気信号への変換などに多くのエネルギーが必要となります。このため、より省電力で効率的なネットワークを実現する新しい技術が必要とされてきました。
今回開発した技術は、富士通研究所とHHIが開発した、ピコ秒(注6)以下での光信号処理が可能な超高速光スイッチの技術を応用したものです。光信号に与えられる光パラメトリック増幅効果(注7)の増幅率を、光のパワーが低い場合には大きく、パワーが高い場合には小さくなるように制御することにより、光信号を電気信号に変換することなく、光雑音の発生を低減します。
この技術を用いた超高速光スイッチを伝送路の中間に設置することによって、107Gbpsの差動位相変調(注8)信号光で320kmのデータ伝送後にも、伝送前のデータ特性をほぼそのまま再現する高品質な光伝送実験に成功しました。これにより、本光スイッチを用いない場合と比較し、伝送距離を約2倍に拡張することが可能であることを確認しました。
さらに、本技術は、高非線形光ファイバーの最適設計により、従来の光伝送で用いられている波長帯はもとより、より広い波長帯をカバーし、多様な光変調方式の光信号に適用が可能です。
本技術は、信号光の劣化した品質を改善する光信号再生技術につながる、次世代の光ネットワークの重要な要素技術のひとつと位置づけられます。
今後は、さらなる高性能化など、実用化に向けて、研究を推進していきます。
以上
株式会社富士通研究所
桑原フェロー室
電話 : 044-754-2628 (直通)
E-mail: contact-kf@ml.labs.fujitsu.com
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