PRESS RELEASE
2008年2月26日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所
独立行政法人情報通信研究機構
~8ポート入力・1ポート出力で小型化・省電力化を実現~
富士通株式会社(以下「富士通」、代表取締役社長:黒川 博昭、本社:東京都港区)は、このたび、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫、本部:東京都小金井市)からの委託を受け、株式会社富士通研究所(代表取締役社長:村野 和雄、本社:神奈川県川崎市)と共同で、半導体光増幅器を集積する技術を開発し、世界で初めて、複数の光入力を切り替える超小型集積光スイッチ素子およびモジュールを実現しました。今回開発したのは、8ポート(注1)入力・1ポート出力の集積光スイッチ素子およびモジュールで、これを搭載した光スイッチボードは、従来に比べ、サイズとして5分の1、消費電力として2分の1となる大幅な小型化と省電力化が可能になります。
今日、ブロードバンドインターネット接続が可能な世帯数が急増し、今後さらに、高精細映像のストリーミングサービスや大容量データ交換サービスなど、広帯域データ転送サービスが増加すると考えられます。1秒間で、3,000万世帯が最大30 メガビット、 1,000万世帯が最大100 メガビットのデータを送受することを想定すると、ぺタ(注4)ビット級の大規模な基幹ネットワークを構築することが必要となります。その実現のためには、基幹ネットワークの中枢となる複数の光ノードに対し、1秒あたり100テラビット級の転送能力が求められます。こうした光ノードの構成に適用され得るデバイスとして、光スイッチモジュールの開発が重要な課題のひとつとなっていました。
ナノ秒オーダーで動作する光スイッチには半導体光増幅器(注5)モジュールが一般的に用いられますが、例えば、8ポート入力・1ポート出力の光スイッチを構成する場合に、従来9個の半導体光増幅器モジュールと光カプラ(注6)とを接続する必要があり、光スイッチが大きくなっていました。また、100テラビット級の光ノードを構築するには、光スイッチの多ポート化が必須となりますが、ポート数の2乗程度の数の光モジュールを要するため、装置の大型化のみならず、消費電力も高くなり、実現が困難でした。
今回、入力部の8ポートの光スイッチアレイ(注7)と出力部の1ポートの光スイッチの合計9個の半導体光増幅器と、光カプラを集積した8入力・1出力の半導体光スイッチ素子を開発しました。さらに、この半導体光スイッチ素子と単一モード光ファイバー(注8)アレイをレンズで効率良く接続する新しい光結合方式を採用した、集積光スイッチモジュールを開発しました。これらは、以下のような技術を開発し、実現したものです。
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今回開発した集積光スイッチモジュールでは、9個の半導体光増幅器モジュールと光カプラに相当する機能を1つにまとめて高密度実装しました。これを搭載した8ポート入力・1ポート出力の光スイッチボードのサイズは従来の5分の1、消費電力は2分の1と大きく改善できました。
このように集積光スイッチモジュールを用いることにより、光スイッチの小型化、省電力化が可能となり、多ポート化が必要な高速光スイッチシステムの実現に大きく前進しました。
今回開発した集積光スイッチモジュールを用いて、100テラビット級の転送能力を持つ光ノード実現に必要とされる高速光スイッチシステムを256ポートに拡張するための実証および高信頼化を進めます。さらに、今後、大容量化が進む広域ネットワーク(WAN)、構内ネットワーク(LAN)などの幅広いネットワーク分野へ適用範囲を広げる予定です。
今回開発したスイッチモジュールについては、2月24日から米国サンディエゴで開催されている「OFC/NFOEC 2008」(The Optical Fiber Communication Conference and Exposition (OFC) and the National Fiber Optic Engineers Conference (NFOEC) 2008)において、発表および展示を行います。
なお、本開発のうち、スイッチ素子における光カプラの高性能化技術とスイッチモジュールの高密度実装技術の開発は、日本電信電話株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社、国立大学法人名古屋大学、国立大学法人大分大学および富士通が共同で進めているNICT委託研究「高機能フォトニックノード技術の研究開発」の枠組みの中で行われた、半導体光増幅器を用いる超高速スイッチング技術の開発成果です。
以上
富士通お問い合わせ先
[集積光スイッチモジュールと駆動回路について]
株式会社富士通研究所
ネットワークシステム研究所 フォトニックシステム研究部
電話: 044-754-2643(直通)
E-mail: photonic-ic@ml.labs.fujitsu.com
[集積光スイッチ素子について]
株式会社富士通研究所
ナノテクノロジー研究センター
電話: 046-250-8249(直通)
NICTお問い合わせ先
独立行政法人情報通信研究機構
連携研究部門 委託研究グループ 松下 欣史、千葉 俊一
電話: 042-327-7193
Fax: 042-327-5604
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