PRESS RELEASE (技術)
2007-0076
2007年4月13日
株式会社富士通研究所
モバイルWiMAXは、次世代無線ブロードバンド技術として、低コストで高速(毎秒約75メガビット)のモバイルサービスを提供するシステムです。WiMAXでは移動環境(時速120キロメートル)においても高速な通信を効率よく行うための種々の技術が使われており、重要な技術のひとつとしてOFDM(注3)変調方式が採用されています。しかしOFDMはピーク電力が非常に大きいため、高い出力電力で動作するアンプが必要となり、電力効率が10%から20%と、従来の携帯電話の方式にくらべて半分以下に低くなる原因となっています。そのため高い電力効率を持つ送信用アンプの実用化が望まれていました。
送信用アンプにおいては、効率を上げれば歪みがひどくなり、歪みを減らそうとすれば効率が下がるという課題があり、それを解決するものとして線形化(歪み補償)回路があります。しかし、線形化回路は非常に消費電力が大きく、無線通信の基地局では数年前から実用化されていますが、端末に適用することは困難でした。
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図1 開発したOFDM送信用高効率アンプの構成
今回、以下の2つの技術を組み合わせることにより、高い効率のアンプの実用化に見通しをつけることができました(図1)。
これらの技術の実証実験として、1ギガヘルツ(GHz)で動作するアナログ部を形成し、基地局用線形化回路をWiMAX端末用に最適化したものを使い、出力電力19ディービーエム(dBm)(注5)にて電力付加効率(PAE)(注6) 40% という高い効率を得ることができました。補償回路の働きで、高効率と、すぐれた線形性を同時に得ることができました。
本技術により、WiMAX用端末の電力消費の多くの部分をしめる送信用アンプの消費電力を約半分にすることができ、通話時間を約50%のばすとともに、機器の小型軽量化や信頼性の向上につながります。さらに、線形化回路の働きにより、今まで困難だった上り伝送における64QAM(注7)方式が可能になり、伝送速度が従来の16QAMによる毎秒9メガビット(Mbps)から13.5Mbpsへ1.5倍にできるという効果が得られました。
今後、2.5GHz動作するアナログ部分を1チップ化し、デジタル信号処理部は歪み補償方式 のシステムLSIの開発を行い、2008年度の実用化を目指します。
以上
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株式会社富士通研究所 NGWプロジェクト部
電話: 045-473-4665 (直通)
E-mail: ms-hpa@ml.labs.fujitsu.com
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