PRESS RELEASE (技術)
2006-0149
2006年9月21日
株式会社富士通研究所
~車内ネットワーク上で多数のデジタル映像伝送が可能に~
なお、本技術の詳細は、9月19日より金沢大学で開催されている電子情報通信学会ソサイエティ大会で発表します。
自動車内においては、複数の監視用カメラの映像を運転席で確認したり、DVDやカーナビゲーションの映像を後部座席で楽しむなど、映像を多チャンネルで利用するニーズが高くなっています。これまで用いられていたアナログ信号では、チャンネルごとにケーブルを引き回す必要があり、チャンネルが多数になると配線が煩雑になります。また、MPEGなど従来のデジタル映像圧縮方式は遅延が大きく走行中の監視カメラ映像に使えないという問題がありました。そこで、1本の車載LANで映像を多重に低遅延で伝送する技術が求められてきました。
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車載LANにおいて、映像伝送向きとされるIDB-1394 (毎秒400 メガビット、以下Mbps)でも、多数のチャンネルの映像を非圧縮で伝送するには帯域が不十分で、映像の圧縮技術が必要となります(図1)。特に車載向けの映像圧縮では次の3点が課題となります。
従来使われてきたMPEGなどの圧縮方式では、圧縮・復元に数百ミリ秒と映像の遅延が大きく、圧縮復元のLSI以外に外付けメモリも必要となるため高コストという問題がありました。また、従来方式は主に自然画を対象としており、カーナビゲーション画像に対しては、文字がつぶれたり、かすれたりなど画質劣化が生じる恐れもありました。
今回開発した「SmartCODEC」は車載映像伝送専用の圧縮技術です。本技術では、これまでの方式では不可能だった軽量性、低遅延、高画質を業界で初めて実現しました(表1)。回路を軽量化するために圧縮率は3分の1にとどめ、構成がシンプルなDPCM符号化方式(注3)を採用しました。また、カーナビゲーション画像中の文字や線もエッジが鮮明に再現できるように、画素単位で階調数を最適に調整できるようにしました。さらに、2画素ごとにまとめて符号化することで、回路の基本クロックを上げずに処理の高速化も図り、低遅延を実現しています。
対象画像 | 自然画と文字線画、YUV 720x480画素、RGB 800x480画素など |
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処理速度 | 最大時毎秒60フレーム、RGB 800x480画素相当 |
低遅延 | 圧縮・復元時間 2 ~ 3 ミリ秒 |
軽量性 | IDB-1394コントローラーLSIに内蔵可能な回路規模。外付けメモリ不要 |
圧縮率 | 1/3 一定レート (YUV 720x480画素、毎秒30フレームの画像の場合 伝送レート 55 Mbps) |
本技術はIDB-1394コントローラーLSI(注4)に内蔵できる軽量な回路規模であり、ワンチップで車載LANと圧縮・復元に対応することが可能です。今回開発した技術により、車載映像を低コストかつ低遅延で多重伝送することが可能になります。
本技術は、2006年度末に富士通株式会社(以下、富士通)から製品化を予定しています。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
株式会社富士通研究所 ITS研究センター
電話:044-754-2577(直通)
E-mail: smartcodec@ml.labs.fujitsu.com
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