PRESS RELEASE (サービス)
2006-0084
2006年5月17日
富士通株式会社
~バイオテクノロジー分野の研究開発を促進~
当社はこのほど、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:村野和雄)と共同開発した、細胞に物質を注入する自動マイクロインジェクション(注1)装置「CELLINJECTOR(セルインジェクター) CI-2000」(注2)を、本日より販売開始いたします。
本製品は、浮遊細胞(注3)へのマイクロインジェクションを自動で行う世界初の装置で、人手の約200倍の速さでの物質注入を可能にしました。これにより、遺伝子やタンパク質といった生体分子の細胞レベルの機能解析や、医薬品の開発、遺伝子治療や再生医療の実用化に向けた研究開発を促進します。また、化学物質の安全性試験など化学工業分野への応用も期待されます。
なお、本製品は、富士通オートメーション株式会社(本社:栃木県さくら市、代表取締役社長:網代泰一)が製造します。
<<自動マイクロインジェクション装置「CELLINJECTOR CI-2000」>> |
拡大イメージ |
バイオテクノロジー分野では、細胞内への遺伝子などの物質注入が一般的に行われ、その手段はさまざまです。例えば、遺伝子などを脂質で包んで細胞に接触させる手法や、電気・超音波などで細胞膜に穴をあける手法などがあります。しかし、これらは、細胞によって注入効率が異なったり、細胞へのダメージが大きい、導入できる物質に制限があるなどの問題があります。
一方、微細針を用いて、細胞内に直接物質を注入するマイクロインジェクション法は、上記のような問題がなく、細胞内に確実に物質を注入できる手法とされています。しかし、従来は、熟練したオペレーターが顕微鏡を覗きながらマイクロマニピュレータを操作するため、1日あたり100から1,000個程度の細胞しか処理することができませんでした。
今回の新製品「CELLINJECTOR CI-2000」は、当社の半導体やハードディスク製造で培った微細加工やメカトロニクス、画像処理技術を活かして、浮遊細胞への物質注入の自動化を実現し、高速な大量処理を可能にしました。当社が独自に開発したシリコンチップを搭載した専用シャーレを用いることにより、30分で約1,000個の浮遊細胞を処理できます。これにより、従来の手動によるマイクロインジェクションと比較し、およそ200倍の速さで人手と同等な精度で処理することができ、遺伝子やタンパク質といった生体分子の細胞レベルの機能解析や、医薬品の開発、遺伝子治療や再生医療の実用化に向けた研究開発を促進します。
なお、本製品は、5月17日(水曜日)から5月19日(金曜日)、東京ビッグサイトにおいて開催される「第5回 国際バイオEXPO」に出展する予定です。
製品名 | 販売価格(税別) | 出荷時期 |
---|---|---|
CELLINJECTOR CI-2000 | 3,000万円 | 7月上旬より |
別途、消耗品(専用シャーレ、シャーレホルダーなど)もご用意しております。
今後3年間で売上20億円
当社が独自に開発した、直径3マイクロメートル(μm)の微細孔を持つシリコンチップにより、浮遊細胞を自動整列させることができます。「CELLINJECTOR CI-2000」には、本シリコンチップを搭載した専用シャーレを用意しており、1度に約1,000個の浮遊細胞を自動整列させることができます。これにより、従来は浮遊している細胞を1個ずつマイクロピペットで吸引していた細胞捕捉作業を一度に大量に行うことが可能になりました。
当社のメカトロニクス、画像処理技術を駆使したシャーレステージ制御(注4)、マイクロマニ ピュレータ制御(注5)により、浮遊細胞1個あたり最速0.8秒のマイクロインジェクションによる物質注入を実現しました。特に、専用シャーレを用いて自動整列させた浮遊細胞への物質注入は、シャーレ1個あたり30分と、従来の手動によるマイクロインジェクションに比較し、およそ200倍の細胞を処理することができます。
従来のシャーレ(直径35mm)に培養した付着細胞へのマイクロインジェクションにも対応しており、浮遊細胞に限らず、広範な細胞種をターゲットとすることができます。
なお、本装置の開発にあたっては、NEDO(注7)「バイオ・IT融合機器開発プロジェクト」の助成を受けています。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
電話:044-813-8621(直通)
E-mail:microinjection@strad.ssg.fujitsu.com
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