Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

下記リリースは、発表後に商品名称を変更いたしました。該当部分は現在の名称に置き換えております。


PRESS RELEASE (サービス)

2006-0043
2006年3月27日
富士通株式会社

分子設計支援ソフトウェア「Scigress Explorer V7」を販売開始

当社は、化成品や医薬品の原料となる化合物の分子設計を支援する統合ソフトウェア「Scigress Explorer(サイグレス・エクスプローラ)」の新バージョン「Scigress Explorer V7」を開発し、本日より販売開始します。

今回は、可視光・紫外線の吸収波長計算ソフトウェア「MOS-F(モスエフ)」を新たに搭載するとともに、タンパク質の安定構造を高速に計算するオプションソフトウェア「LocalSCF(ローカルエスシーエフ)」の機能を強化しました。

これらの新機能により、インクなどの発色に関連した研究精度の向上やゲノム創薬関連の研究における幅広い適用が可能になり、化学・製薬分野の研究の効率化に貢献します。


<<タンパク質とその阻害分子の3次元構造>>
拡大イメージ

近年、一般企業や大学、国公立の研究機関など最先端の化学・製薬の研究開発の現場においては、分子レベルの研究を効率化するツールとして、分子モデルの作成・構造計算・視覚化などの機能を持つ分子設計支援ソフトウェアの利用が普及しつつあります。それに伴い、同ソフトウェアをタンパク質やDNA、糖鎖などの大きな分子に適用して薬化合物などの設計精度を向上させたいというニーズが高まりつつあり、さらなる計算の高速化や精度の向上が求められています。

当社は、化学・製薬分野の研究者向けに、分子設計業務の効率化を支援するソフトウェア「Scigress Explorer」を提供してきました。「Scigress Explorer」は、計算対象となる化合物の分子モデルの作成機能や、その化合物の安定構造や物性値の計算機能、計算された結果を視覚的に描画する機能より構成されています。

今回のバージョンアップでは、「Scigress Explorer」の計算ソフトウェアとして、株式会社富士通研究所が開発したソフトウェア「MOS-F」を新たに搭載するとともに、「Scigress Explorer」の機能向上も図りました。

「MOS-F」の搭載により、従来よりも精度の高い手法により可視光・紫外線の吸収波長などを高速に計算することが可能となり、インクや色素材料などの材料研究をさらに強力に支援します。また「LocalSCF」では、生体分子内で重要な役割を担う「鉄」原子など、電子数の多い原子を含むタンパク質の分子構造最適化の計算が可能になるとともに、DNA分子構造の計算も可能となり、ゲノム創薬研究分野においてさらに幅広くご利用いただけるようになりました。

「Scigress Explorer」ではお客様の用途に合わせ、下記の4つのタイプの製品とオプション製品を提供いたします。

  • 「Worksystem Pro (ワークシステム プロ)」

    「Scigress Explorer」シリーズの最高グレードの製品。「CONFLEX(コンフレクス)」(配座探索(注1))や「DGauss(ディーガウス)」(密度汎関数法)をはじめとするオプションソフトウェアを利用するなど、本格的に研究に適用したいというお客様に最適です。

  • 「Worksystem (ワークシステム)」

    複数の化合物の統合的な処理に優れた製品。計算化学手法を適用し、複数の化合物の統計処理などを効率的に行いたいというお客様に最適です。

  • 「Quantum (カンタム)」

    少数のサンプル分子に対して半経験的分子軌道計算(注2)を実行したいというお客様に最適です。

  • 「Personal (パーソナル)」

    分子力学計算ソフトウェアを利用して、分子の3次元構造を確認したいというお客様に最適です。

  • 「LocalSCF(ローカルエスシーエフ)」(オプション)

    数万原子からなる生体高分子の最適構造を超高速に計算できる半経験的分子軌道計算ソフトウェアです。タンパク質の安定構造を理解し、薬化合物の設計をしたいというお客様に最適です。

販売価格および出荷時期

製品名販売価格(税別)出荷時期
  Worksystem Pro280万円即日
  Worksystem210万円即日
  Quantum140万円即日
  Personal(注)70万円即日
  LocalSCF400万円即日

上記製品については、別途、教育機関向け価格もご用意しております。
(注)「MOS-F」はご利用できません。

販売目標

2007年3月末までに国内・海外合わせて3億円(160本)

本製品の特長

  1. 発色関連の研究の効率化に貢献

    「MOS-F」の搭載により、従来よりも精度が高い電子の励起状態計算法(RPA法)により、可視光・ 紫外線の吸収波長などを高速に計算することが可能となり、インク・色素などの発色材料関連の研究を支援します。

  2. DNA分子構造の最適化のための高速計算が可能に

    生体高分子用高速半経験的分子軌道計算プログラム「LocalSCF」のバージョンアップにより、生体分子内で重要な役割を担う「鉄」原子など、電子数が多い原子を含むタンパク質の分子構造最適化の計算が可能となりました。さらに、塩基により構成されるDNA分子構造の最適化のための高速計算も可能になり、ゲノム創薬研究分野においてさらに幅広くご利用いただけます。

動作環境

OS: Microsoft®Windows®2000、Microsoft®Windows®XP

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上

注釈

  注1 配座探索:
分子の化学構造式が同じ時にそれぞれの異なる3次元構造のひとつを配座と呼び、化学構造式が同じでも配座が異なれば、分子の持つエネルギー値が異なる。配座探索とは、さまざまな配座の中で一番低いエネルギー値を持つ配座(分子の3次元構造)を探すこと。
  注2 半経験的分子軌道計算:
分子軌道計算は主に「経験的」「半経験的」「非経験的」の3つに分類される。「非経験的」手法では、はじめから積分計算を行うが、「半経験的」手法では、実験で得た経験的パラメータを用いて一部の積分計算を省略し、計算の高速化を実現している。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

バイオIT事業開発本部 バイオソフトウェアプロジェクト

電話: 043-299-3680(直通)
E-mail: biochem-info@ml.css.fujitsu.com


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