[ PRESS RELEASE ](ソフト・サービス) |
2005-0186
2005年12月9日
富士通株式会社 |
分子動力学計算ソフトウェア「Materials Explorer V4」を発売
〜コンピュータシミュレーションにより、ナノテク材料開発を支援〜
近年のナノテクノロジーは、材料から環境・医療まで広範な領域に浸透しています。ナノレベルでの加工・操作技術の発展には、原子レベルでの観測・分析が重要であり、コンピュータシミュレーションが不可欠なものとなっています。
当社は、同分野を支援するソフトウェアとして「Materials Explorer」を提供しております。本製品は、実験結果を原子レベルでモデル検証・説明することを可能とするもので、本製品については、これまで、国内外でのお客様の声を反映し、表面吸着や結晶成長、損傷のシミュレーションなど、さまざまな機能を強化しながら、化学業界や大学の研究機関などを中心に、約1,300本販売してきました。
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「Materials Explorer」 |
今般、同製品に「ポリマーモデリング機能」「熱伝導率解析機能」を搭載するとともに「グラフィックス機能」を強化することで、より広範な材料の解析に対応できるようになりました。
本製品は研究内容に応じて2つのグレードからお選びいただけます。
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Professional |
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原子の初期配置のモデリングからシミュレーション結果の解析まで、基本的な分子動力学法シミュレーションを行うための製品です。 |
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Ultra |
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Professionalの機能を拡張し、外場(電場、磁場等)や結晶成長など、より高度な機能を搭載しました。初心者からエキスパートまで幅広くご利用になれる製品です。 |
なお、当製品は、2006年1月23日(大阪)、31日(東京)に開催される「計算化学新製品発表セミナー(当社主催)」にてご紹介する予定です。
【販売価格、および出荷時期】
製品名 |
販売価格(税別) |
出荷時期 |
Materials Explorer Professional |
100万円 |
1月下旬 |
Materials Explorer Ultra |
300万円 |
1月下旬 |
教育機関向け価格も、別途ご用意しております。
【販売目標】
【本製品の特長】
ポリマーモデリング機能を搭載(Ultraのみ)
従来作成が困難だったポリマー集合体モデルを容易に作成できるポリマーモデリング機能を新たに搭載しました。モノマーの作成、モノマーからポリマーの作成、ポリマー集合体モデルの作成と順を追って、さまざまなポリマー系のモデリングを行うことができます。
コンピュータシミュレーションによる実験結果の検証過程において、一部の専門家のみが行っていた高度なシミュレーションを初心者レベルの実験研究者が実施することが可能になります。本機能は、自動車業界での燃料電池などをはじめとする、ポリマーのシミュレーションのニーズの高まりに対応するものです。
熱伝導率解析機能を搭載(Ultraのみ)
これまでの熱伝導度の算出手法には、収束性(注3)が悪いという問題があり、その正確な値の算出は困難でした。今回、収束性に優れた非平衡分子動力学法(注4)に基づく方法によりさらに高精度な熱伝導度を算出することができるようになりました。現時点ではセラミックスを対象としますが、今後は、順次、他の素材への適用も進めていく予定です。
効果的なプレゼンテーションを実現するグラフィックス機能の強化
複数光源の設定、材料特性表示、イメージセル表示など、プレゼンテーションの際に効果的なグラフィックスの機能を強化しました。これにより、学会での発表を支援するとともに、専門家以外に説明する際にも研究内容の理解が容易になります。
例えば、金属原子は金属らしく、ゴム分子はゴムらしい材料特性表示を行うことにより、より印象的なプレゼンテーション資料も作成できます。また、イメージセル表示により従来ビジュアル化が難しかった周期境界条件(注5)の可視化が可能になり、境界にまたがる領域の現象を直観的に説明できるようになります。
日本語対応、およびウィザードによるガイド機能を搭載
ソフトウェア本体、マニュアル、チュートリアルが日本語対応です。
また、初心者向けの「標準モード」と上級者向けの「エキスパートモード」があり、利用目的によって使い分けることができます。「標準モード」では、ウィザードによるガイドに沿って操作することにより、データの作成から計算の実行までを簡単に行うことができます。「エキスパートモード」では複雑なモデリングの設定が可能で、「標準モード」ではできない詳細な条件設定および計算が可能です。
計算実行中のモニタリングが可能
長時間のシミュレーションを行う際、正常に進行していることをリアルタイムに確認することができます。
さまざまな物質を固体、液体、気体の各状態でシミュレーションが可能
複雑な原子構造を作成できるモデリング機能および、多彩なポテンシャル関数・ポテンシャルパラメーターライブラリを装備しており、金属から蛋白質までさまざまな物質を固体、液体、気体の各状態でシミュレーションができます。
【動作環境】
OS: Microsoft® Windows® 2000、Microsoft® Windows® XP
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- (注1)分子動力学:
- 運動方程式により原子の座標と速度を数値的に解く手法を用いて、物理現象を研究する学問。計算結果と実験結果を直接比較したり、実験では得られない原子の運動の観測を行う。
- (注2)ポリマー:
- ある繰り返し単位で鎖状に連なった巨大分子(例:ビニール、紙、ゴム)。
- (注3)収束性:
- 分散している数値が時間の増加とともに一定の値に確定(収束)する性質を指し、短時間で一定値に収束する性質を「収束性が良い」という。
- (注4)非平衡分子動力学法:
- 非平衡統計力学に基づいた分子動力学法。平衡分子動力学法では扱えない、温度勾配、濃度勾配などのある非平衡状態を扱える。
- (注5)周期境界条件:
- 原子で構成されるある単位胞のまわりに、その単位胞と同じものが周期的に並んでいるという条件。
関連リンク
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