テラビット級スーパーネットワークのアーキテクチャに基づく各要素技術を実装した試作機を各社が開発し、これらの試作機を相互接続したネットワークを構築しました。また、このネットワークにおいて、試作機同士を連携させて、光パス(フォトニック通信路)を動的に制御することにより、ルータ・ネットワークでの輻輳を自律的に解消する技術、およびコンテンツを瞬時にローカル化(利用者に近いアクセスネットワーク内にコンテンツを転送)する技術の動作実証を行いました。
具体的には、特定の2地点間のルータ・ネットワークのパケット通信量を意図的に増加させることで、これが特定の閾値を超えた場合に、それら2地点間を直結する光パス(フォトニック通信路)を動的に生成することを確認しました。この光パス(フォトニック通信路)の生成により、ルータ・ネットワークを経由することなくパケット転送を行うため、通信品質の劣化を防止できることも確認しました(図2)。光パス(フォトニック通信路)の生成時には、自律的な負荷分散技術および障害回避技術も連携させることで、フォトニック・ネットワークとしても効率的かつ信頼性の高いネットワークとすることが可能であることも確認しました。
また、CDN(注4)管理サーバからの要求により2地点間を直結する光パス(フォトニック通信路)を生成し大容量コンテンツを瞬時にローカル化することで、通信品質の向上と共に、ネットワークに加わるトラヒック負荷の削減効果を確認しました。(図3)。さらに、これらの2種類の光パス(フォトニック通信路)設定要求を、ネットワーク制御サーバを用いて集中的に調停・制御することで、サービス性と経済性を両立させる効果を確認しました。
これらの実験により、多数の拠点を収容したネットワークにおいて、多様なトラフィック分布の変動やアプリケーションからの要求を総合的に判断して光パス(フォトニック通信路)を制御することで、経済的にネットワーク全体の総スループット(処理能力)を最大化する技術を実証しました。なお、ネットワーク制御サーバとフォトニック・ネットワークは、O-UNI(注5)プロトコルを用いて連携しますが、このような試みも含めて、これらの要素技術を総合的に連携させての実機検証は世界初のものとなります。