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[ PRESS RELEASE ](技術)
2005-0167
2005年10月27日
株式会社富士通研究所

組込みシステム向け高速・低消費電力セキュア通信プロセッサを開発

〜最大毎秒500メガビットを超えるIPsec VPN転送速度を達成〜

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、低消費電力で世界最小サイズ、またプログラムの変更により多様な通信方式に対応できるセキュア通信プロセッサを開発しました。本プロセッサは組込みLinux上で、最大毎秒500メガビット(以下、Mbps)を超えるIPsec VPN(注2)の転送速度を実現しました。これにより、情報家電や携帯端末で安全な高速通信が可能になります。

今回開発したプロセッサは、ギガビットクラスのブロードバンドサービスの時代に向けて、安全で高速なネットワークを実現するためのものです。本プロセッサの詳細は、10月27日、28日に東京大学(東京都文京区)で開催される「インターネットコンファレンス2005」で発表する予定です。

【開発の背景と課題】

近年、ギガビットの帯域を持つブロードバンドサービスが提供されはじめ、またインターネット上で機密情報を扱う機会も増えています。安全で高速な通信を実現する高性能なプロセッサが必要となっています。しかし、これまでの組込み汎用プロセッサによるソフトウェア処理では、十分な速度を得ることが困難でした。また、専用ハードウェアによる処理では特定の通信方式にしか対応しておらず、多様な通信方式に対応できない、という問題がありました。

【開発した技術】

今回開発したプロセッサは、当社の独自技術であるプログラム可能なセキュア通信処理エンジン(注3)と、汎用プロセッサの「ARM926EJ-STM」コア(注4)を搭載しており、高速なネットワーク処理をワンチップで実現します。特長は以下の通りです。

図
図:セキュア通信処理エンジンによるデータ処理
  1. パケット処理をプログラムでき、高速処理が可能

    セキュア通信処理エンジンは、入力パケットから出力パケットを生成するための処理をプログラムすることができます。そのため、プログラムを変えることで、多様な通信方式に対応させることが可能です。また並列に各種の演算処理を行うことで、クロックあたりの処理効率を上げ高速処理が可能になります。

  2. 汎用プロセッサ「ARM926EJ-S」と組み合わせた複雑なデータ処理が可能

    アプリケーションレベルの複雑なデータ処理は、汎用プロセッサ「ARM926EJ-S」で行います。セキュア通信処理エンジンと組み合わせて高度なデータ処理をプログラムできます。

  3. 小型・低消費電力で組込み用途に最適

    本プロセッサのパッケージサイズは18ミリメートル角と、高速のギガビットイーサネットを搭載したセキュア通信プロセッサとしては世界最小です。また、コア部分は200メガヘルツ動作時で620ミリワットと極めて低い消費電力で動作します。

【効果】

今回開発したプロセッサを搭載した評価機でIPsec VPNの性能測定を行ったところ、組込みLinux上で最大591Mbpsという極めて高い転送速度を達成しました。

【今後】

本プロセッサの技術は、高性能ルータや情報家電機器向けの組込みプロセッサをはじめ、省電力性が要求される携帯情報機器や、高い通信性能が必要なサーバシステムといった、幅広い分野への適用が期待されます。今後、実用化に向けて、動画配信やネットワークストレージなど、本プロセッサを活用したアプリケーション開発を進めていく予定です。

【商標について】

  • 「ARM926EJ-S」は、日本における英国ARM Limitedの商標です。
  • その他記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。
(注2)IPsec VPN:
IPsec方式によるVPN(Virtual Private Network、仮想閉域網)機構。
IPsecはIPパケットの暗号化と認証を行うセキュリティ技術。
(注3)セキュア通信処理エンジン:
本エンジンは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 基盤技術研究促進事業委託研究02004216-0「トラステッドネットワークプロセッサ基盤技術の研究開発」によって開発したもの。
(注4)「ARM926EJ-STM」コア:
英国ARM社の開発した32ビット組込みRISCプロセッサコア。

関連リンク

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