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黒板の細かい文字まで読み取れる高精細な遠隔講義システムを東京大学に構築
【開発の背景】近年、複数のキャンパスを持つ大学が増加しており、キャンパス間を結んで講義を行う遠隔講義システムの需要が高まっています。一方、インターネットの普及により、教室で毎秒100メガビット程度のネットワークを比較的簡単に用いることが可能となりつつあります。 【課題】従来のインターネットを用いた遠隔講義システムでは、黒板画像の解像度がXGA(注5)以下と十分ではなく、画像も圧縮して送られています。このため、黒板全体を映す場合、黒板に書かれた細かい文字や色チョークの判別は、遠隔講義を受ける学生側にとって必ずしも容易ではありませんでした。 一方、遠隔講義を行う側にとっては、電子的な講義資料を準備する、黒板の文字を通常よりも大きく色を使わずに書く、黒板の一部だけを用いて講義を行う、といった対応が必要でした。このため、事前準備に時間がかかったり、特別な配慮が必要であったりと、ごく自然にいつも通りの講義をしたいという講義者側のニーズには必ずしもあってはいませんでした。 【構築したシステム】今回構築したのは、黒板を従来の講義スタイルのまま、ごく自然に使って遠隔講義を実現するシステムです。富士通研究所が開発した高性能のネットワークプロセッサボード(注6)を使用することで、黒板全体を解像度SXGA(注7)・24ビットカラーの非圧縮画像として伝送することが可能となりました。解像度が高い画像を非圧縮で伝送できるため、黒板全体を映していても、細かい文字の判読や色チョークの区別が容易に可能です。 なお、今回構築したシステムは、高解像度で黒板の全体画像を伝送する部分と、講師の音声・映像を伝送する部分とで構成され(図1)、講師の映像は、標準に準拠したDV(注8) over IP伝送装置(注9)でテレビ並みの画質のDV映像として伝送しています。 【効果】東京大学の本郷キャンパスと柏キャンパスのそれぞれの教室を、毎秒100メガビット以下のネットワークで結んだ試行において、高解像度の黒板全体画像とDV 映像を安定して伝送し、黒板に白、赤、黄、緑、青の色チョークで書かれた小さな文字も、離れた教室でごく自然に読み取ることができました(図2)。 実験では、毎秒3フレームの黒板画像を毎秒50メガビットで、毎秒15フレームのDV映像と音声を毎秒20メガビットで伝送し、本遠隔講義システムのフレームレートと遅延が講義用途に充分であることが確認できました。 平木教授は「これだけのフレームレートと遅延で画像伝送できれば、講師映像も黒板画像に一本化し、受講者側では黒板と講師を大きく表示することで、さらに自然な遠隔講義環境を実現可能」と評価しています。
【今後】本格運用を目指し、東京大学と協力して取り組んでいきます。 以上 注釈
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