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[ PRESS RELEASE ](技術)
2005-0051
2005年4月15日
株式会社富士通研究所

世界最高の感度でアルファ線を測定する手法を開発

〜LSIのソフトエラー発生率を正確に計算〜

株式会社富士通研究所(注1)は、LSIの一時的誤作動であるソフトエラーの原因(注2)となっているアルファ線(注3)を、従来の30倍の感度で測定する手法を開発しました。

今回開発した手法により、ソフトエラーの発生率の計算精度が向上し、アルファ線の放出がより少ない材料を選別することで、ソフトエラーの発生率が低いLSIを提供することが可能となります。

今回開発した技術は、LSIの信頼性向上のための材料評価技術です。

本技術の詳細は、4月17日から米国・サンノゼで開催される IEEE 2005 International Reliability Physics Symposiumで発表します。

【開発の背景】

ソフトエラーとは、LSI中のメモリや論理回路が一時的に誤作動する現象です。原因の一つにLSIの材料が放出するアルファ線があります。ソフトエラーに対する関心は、LSIの高集積化・微細化の進展やミッション・クリティカルな用途の増大に伴って高まっています。より信頼性の高いLSIを提供するためには、ソフトエラーの発生率を正しく評価する必要があり、そのためにはLSIの材料が放出するアルファ線の強さを正しく測定する必要があります。

【課題】

従来、アルファ線の測定にはガスフロー比例計数装置(注4)が主に使われていますが、最近のLSI材料の多くがその測定限界値を下回っていました。そのため、ソフトエラーの発生率の計算には測定限界値を使わざるを得ず、これは必ずしも正確な数値ではありません。また、ソフトエラーの発生率を下げるためにアルファ線の放出が少ない材料を選別することも難しくなっていました。

【開発した手法】

今回開発したのは、真空アルファ線トラッキング法という、より高い感度でアルファ線の強さを測定する手法です。アルファ線の検出器にプラスティック板を使用し、さらに感度を下げる原因であるラドンガスを取り除くために真空中で測定を行うことにより、高感度化を可能にしました。

【効果】

今回開発した手法により、LSIの材料が放出するアルファ線の強さを、従来の30倍の感度(注5)で測定することを可能としました。これにより、従来測定限界値を下回っていた材料のアルファ線の強さを正しく測定できるようになりました。その測定値をもとにソフトエラーの発生率を正しく計算したところ、従来の発生率より著しく低いことがわかりました。さらに、ソフトエラーの発生を抑えるために、アルファ線の放出がより少ない材料を選別できるようになりました。

【今後】

今回開発した技術を活用し、ソフトエラーの発生率が低いLSIを開発していきます。

以上

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)ソフトエラーの原因:
地上に到達する二次宇宙線の中性子によっても起こる。
(注3)アルファ線:
アルファ粒子で構成される放射線の一種。
(注4)ガスフロー比例計数装置:
ガスをイオン化して電気的にアルファ線の強さを測定する装置。
(注5)30倍の感度:
3.2 x 10-5 個/h/㎠のアルファ粒子。

関連リンク

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