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[ PRESS RELEASE ](技術)
2005-0038
2005年4月1日
株式会社富士通研究所

次世代携帯電話の受信品質を高める技術を開発

〜マルチパス干渉を効果的に低減〜

株式会社富士通研究所(注1)は、次世代携帯電話向けに、マルチパス(注2)干渉を効果的に低減し、データ受信品質を高める技術CCMRM方式(注3)を開発しました。

今回開発した技術により、次世代携帯電話のデータ受信速度を現行の方式に比べ最大53%向上させることができ、音楽データや動画、ゲームなどを高速にダウンロードすることを可能にします。

今回開発した技術は、HSDPA(注4)対応の携帯電話システムの受信品質を高め、携帯電話をより快適に利用することに貢献します。

本技術の詳細は3月21日から大阪で開催された電子情報通信学会総合大会で発表しています。

【開発の背景】

携帯電話を使用したデータ通信の普及に伴い、第三世代携帯電話システムではデータ通信速度が高速化されるHSDPA方式を採用したパケット通信サービスが開始される予定です。HSDPAサービスでのダウンロード速度は、携帯電話の受信品質にともなって変化するため、ストレスのないダウンロードを行うには受信品質を向上させる必要があります。

【課題】

携帯電話システムの受信品質を劣化させる主要な問題としてマルチパス干渉があります。これはマルチパスが相互に影響し、ノイズが生じるなど受信品質を悪化させる現象です。第三世代携帯電話に用いられている復調回路の一般的な方式でも、このマルチパス干渉により受信品質が悪化します。一方、マルチパス干渉を低減する技術としてイコライザ(注5)がありますが、一般に回路規模が大きいという課題があります。

【開発した技術】

今回開発したCCMRM方式は、次世代携帯電話に適用可能な効率的かつ効果的なマルチパス干渉低減技術です。

マルチパス干渉を伴う信号から、干渉の特徴が大きい特定のタイミング(注6)の信号を取り出し、干渉成分からなる信号を生成、受信信号から差し引くことで干渉信号の除去を実現します。特に、CCMRM方式では信号を取り出すタイミングを効率的に選択することで、干渉信号を除去するための計算量を減らし、回路規模を大幅に削減します。

【効果】

CCMRM方式により、標準化団体(注7)により規定されているマルチパス環境において、現行の方式に比べ最大で約53%のダウンロード速度の向上(注8)を実現しています。

また、干渉信号を除去するための計算量をイコライザの約5分の1に減らし、回路規模の大幅な削減を実現します。

【今後】

実装技術を確立し、2年から3年以内の実用化を目指します。

図

以上

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)マルチパス:
基地局から送信した電波がビルなどの反射により複数の経路で携帯端末に届く状態のこと。
(注3)CCMRM方式:
Chip Correlation MMSE Receiver with MICT。マルチパス干渉が顕著となる時間的ポイントを用いて干渉を最小化する受信方式。
(注4)HSDPA:
High Speed Downlink Packet Access。高速な無線伝送チャネルを複数のユーザで分け合う通信方式。現在の第三世代携帯電話方式(3G)の改良版であることから「3.5G」とも呼ばれる。
(注5)イコライザ:
等化器ともいう。受信信号の歪みを取り除く処理アルゴリズム。
(注6)特定のタイミング:
MICT(Multi-path Interference Correlative Timing)。マルチパス干渉がもっとも顕著となる時間的ポイント。
(注7)標準化団体:
3GPP (3rd Generation Partnership Project)。第三世代携帯電話の方式や試験条件を決めている。HSDPA用試験条件としてマルチパス環境が4種類規定されている。
(注8)約53%のダウンロード速度の向上:
3GPPの試験条件の一つである時速120キロメートル移動時。

関連リンク

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