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窒化ガリウムHEMTを低コストで製造する技術を開発
今回開発した技術は、窒化ガリウムHEMTを用いた、小型で消費電力が低い移動通信基地局の実用化に向けたものです。 本技術の詳細は、12月13日から米国サンフランシスコで開催された国際電子素子会議(IEDM:International Electron Devices Meeting)で発表しています。 【開発の背景】次世代の移動通信基地局向けの高出力増幅器として、窒化ガリウムHEMTを用いた増幅器に期待が寄せられています。高い電圧での動作が可能であると同時に、高い出力性能と出力効率を達成できる条件を満たしているためです。 当社はこれまで、独自の窒化ガリウムHEMT構造と歪補償回路(注4)を組み合わせ、第3世代以降の移動通信基地局向け増幅器として、高い出力と高い効率での動作を実証してきましたが、量産・実用化に向けて低コストで製造する技術の開発が必要でした。 【課題】これまで当社で開発してきた窒化ガリウムHEMTには半絶縁性炭化珪素(SiC)基板を使用していました。SiC基板は他の材料に比べて安定した高効率動作を可能としますが、高価であり窒化ガリウムHEMTのコストを引き上げる要因となっています。当社では、青色LED等で実用化されており、半絶縁性SiC基板より安価な導電性SiC基板(注5)の使用を研究してきましたが、実用に向け、導電性基板に起因した寄生容量成分(注6)による利得(注7)低下と、導電性基板への漏れ電流の発生という課題がありました。 【開発した技術】今回開発したのは、窒化ガリウムHEMTの低コスト製造技術です。10マイクロメートル(以下、m)以上の窒化アルミニウム膜を導電性SiC基板上に成膜し、その上に窒化ガリウムHEMTを作製することで実現しました(図1)。 窒化アルミニウムの厚みの効果をシミュレーションし、10m以上の厚みであれば寄生容量成分を十分低減できることを見出し、必要な利得性能を達成しました(図2)。なお、窒化アルミニウム膜を成膜する手法としてハイドライド気相成長法(注8)を、窒化アルミニウム上の窒化ガリウムHEMT構造は有機金属気相成長法(注9)を適用しています。 また、窒化ガリウムよりもバンドギャップ(注10)の広い窒化アルミニウムを使用し、さらに直上の窒化ガリウムの成膜条件を最適化することで、導電性基板への漏れ電流を抑制することに成功しました。 【効果】今回開発した技術により、半絶縁性SiC基板より安価な導電性SiC基板を使用することで、窒化ガリウムHEMTの製造費用を従来比で3分の1以下にすることが可能となり、窒化ガリウムHEMTを用いた増幅器の低コスト化を実現します。 特性についても最大出力101ワット(以下、W)、 最大電力付加効率50パーセント(注10)、 利得15.5デシベル(以下、dB)と実用レベルの特性を得ています(図3)。 【今後】今後、今回の低コスト製造技術を製造プロセスに適用し、1-2年以内の実用化を目指します。 以上
注釈
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