[ PRESS RELEASE ](技術) |
2004-0205
2004年11月2日
株式会社富士通研究所 |
世界初!カラー紙帳票を電子帳票に復元する技術を開発
今回開発した技術は、電子帳票システム構築における、既存のカラー紙帳票に対する電子帳票の設計作業を効率化するためのものです。
【開発の背景】
近年、帳票処理業務は、紙帳票による手作業の運用形態に代わり、帳票情報を電子的に処理する電子帳票システムが用いられるようになり、既存の紙帳票と同一のレイアウトを持つ電子帳票を設計する需要が高まっています。現在、自治体等ではモノクロの紙帳票をスキャナで読み込み、変換した画像中から、罫線・文字のレイアウトを電子的に復元するモノクロの帳票復元技術が多く使用されています。一方、カラー紙帳票を使用することの多い、保険会社・金融機関・通信事業者など民間企業では、カラー紙帳票に対する電子帳票設計のニーズが高まっています。
【課題】
モノクロの帳票復元技術をカラー紙帳票に適用した場合、カラー画像中の明るい領域を白背景、暗い領域を文字・罫線領域とみなすため、薄い罫線や明るさが同じ背景色の中にある文字の復元ができず、さらに色付けは全て手作業で行う必要がある、という問題がありました。
【開発した技術】
今回開発した技術は、カラー紙帳票画像中の色合い情報の微細な変化を認識することにより、罫線・文字のレイアウトに加えて色付けも行うカラー帳票復元技術です。開発した技術の特長は、以下のとおりです。
- 色あい情報の活用
カラー紙帳票の色情報として明るさだけではなく色相・彩度といった色合い情報も活用して、画像中の色情報の微細な変化を認識することにより、薄い罫線・文字や明るさが同等の背景色の中にある文字の復元を実現しました。
- 罫線・文字の混色現象(注2)に強い色付け
スキャナの特性である背景色と罫線・文字色の画像中の混色現象をモデル化し、約1000万通りの色の組合せに対する混色の仕方を推定した画像群と、入力画像を比較し、最も似た色の組合せを求め最適な色付けを行います。これにより、混色の度合いが大きく色付けに失敗しやすい細い罫線や面塗り中の文字に対しても、高品質な色付けの自動化を実現しました。
【効果】
今回開発した技術により、カラー紙帳票を手がかりとした電子帳票のレイアウト設計の作業時間を約6分の1に短縮することが可能となります。
【今後】
富士通株式会社のミドルウェア「Interstage(インターステージ)」に搭載し、提供していきます。
以上
注釈
- (注1)株式会社富士通研究所:
- 社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
- (注2)混色現象:
- 画像中で別の色を持つ隣接する領域の境界において、スキャナで画像化する際の標本化の影響により、両者の色が交じり合う現象。
関連リンク
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