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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0210
2004年11月17日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所
富士通研究開発中心有限公司

光バーストスイッチングネットワーク用
高速波長選択スイッチの開発に成功

富士通株式会社と株式会社富士通研究所(注1)、富士通研究開発中心有限公司(注2)は北京郵電大学と共同で光バーストスイッチングネットワーク(注3)に適用可能な高速波長選択スイッチを開発しました。

今回開発したスイッチにより、ファイル交換、データバックアップ、映像配信等、都市内通信網で今後益々増加するサービスを柔軟、効率的に提供できる光バーストスイッチングネットワークの構築が可能になります。

本スイッチは日中産学連携で成果を得たもので、今後の日中共同プロジェクトや双方の技術を結集した先進技術の開発に繋がるものと考えています。

本共同研究の一部は、中国国家高技術研究発展計画(中国国家863計画プロジェクト)(注4) および独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究の成果に基づいて実施したものです。

富士通研究所と富士通研究開発中心有限公司は、中国国家863計画プロジェクトの光関連プロジェクトに参画する唯一の中国国外企業で、北京郵電大学と共同で光バーストスイッチングネットワークの研究を進めています。本共同研究に於いて、北京郵電大学はネットワーク構成の研究を行い、富士通グループ3社は本ネットワークに最適なスイッチの開発を行いました。

【開発の背景】

企業ネットワーク向けの広域専用線サービスや家庭におけるADSL、FTTH等の高速インターネットサービスの普及に伴い、都市内通信網のデータ転送容量は急拡大しています。

都市内通信網のネットワークでは、ピアツウピア(注5)でのファイル交換やデータセンター間のデータバックアップ、映像配信等のサービス利用が今後益々増加するものと考えられます。これらの通信では、大きな塊のデータであるバーストデータが多くを占めることになります。このようなデータを効率的に転送するためには、光バーストスイッチングネットワークの構築が必要であり、世界各国で本ネットワークに適用可能なスイッチの研究開発が進められています。

【課題】

光バーストスイッチングネットワークの構築には、任意波長で任意時間に運ばれてくるバーストデータを自由に抽出できる、小型、高速の波長選択スイッチが必要になります。しかし、従来の波長選択スイッチは波長切替速度が遅いという問題がありました。また、スイッチング動作が高速のものは波長選択機能がなく、波長合分波器を組み合わせて使用するため大型化し、都市内の小規模なネットワークには適さないものでした。

【開発したシステムと効果】

今回、富士通研究所の独自技術であるAOTF(Acousto-Optic Tunable Filter:音響光学型波長可変光フィルター)技術を基に、都市内の光バーストスイッチングネットワークに適用可能な小型高速波長選択スイッチを開発しました。AOTFはニオブ酸リチウム基板(注6)上に形成した光導波路デバイスで、マイクロ波を制御信号とし任意波長の抽出を1デバイスで高速に行うことができます。

開発したスイッチの特長は以下です。

  1. 高速切替AOTFチップと高速制御回路を開発し、従来の100倍となる15マイクロ秒以下の波長切替速度を達成しました。これにより、バーストデータの時間多重収容効率の向上が可能になります。
  2. 4アレイ集積型AOTFチップの開発および高速制御回路の小型化を実現しました。これにより、幅 230ミリメートル(以下、mm)、奥行95mm、高さ 20mm の大きさで4つの波長選択スイッチを1パッケージに集積化した小型サイズのスイッチを実現しました。

今回開発した波長選択スイッチを用いることにより、都市内通信網に適した、小型、高速の光バーストスイッチングノードが実現可能になり、効率的で柔軟な光バーストスイッチングネットワークの構築が容易になります。

【今後】

開発した高速波長選択スイッチを用い、2004年末に中国国家863計画プロジェクトにおいて、光バーストスイッチングネットワークテストベットを構築します。さらに、国内でもNICT委託研究に於いて、都市内のフォトニックネットワークの研究を進めます。

また、都市内通信網の市場動向に合わせ、2008年頃の製品化を目指し開発を進める予定です。

以上

図1
図1 光バーストスイッチングネットワークの構成
図2
図2 開発した高速波長選択スイッチの外観
図3
図3 波長切替え時間

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野 和雄、本社 川崎市中原区
(注2)富士通研究開発中心有限公司:
董事長 吉川誠一、所在地 中国北京市
(注3)光バーストスイッチングネットワーク:
ファイル交換、データバックアップ、映像配信等の大きな塊のデータであるバーストデータを一括して転送するネットワーク。データを細切れではなく一括転送するため、伝送途中の転送処理や転送先でのデータ復元が容易になる。また、各データを時間軸上で多重化し、データ毎の経路切替が可能なため効率的で柔軟なネットワークが実現できる。
(注4)中国国家863計画プロジェクト:
中国政府における最大規模のハイテクプロジェクト。1986年3月に制定され生物、宇宙、情報等8分野の研究を行なっている。
(注5)ピアツウピア:
専用サーバを介さずに、ネットワーク内のコンピュータ同士が直接コミュニケーションするネットワーク形態。
(注6)ニオブ酸リチウム基板:
音響光学効果が大きくAOTFの用途として適している結晶基板。電気光学効果を用いた光変調器等、光導波路デバイスの基板としても用いられている。

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