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世界初、樹脂基板上に高誘電率のセラミック膜を形成・多層化する技術を開発
本技術は、樹脂材料とセラミック材料とを集積化させることで、ユビキタス時代の機器のさらなる小型化を実現するための基礎研究として開発したものです。 本技術の詳細は、8月9日からフランス・グルノーブルで開催される国際会議「International Conference on Crystal Growth (ICCG) 」で発表します。なお、今回の技術開発は、経済産業省ナノテクノロジープログラム「ナノレベル電子セラミックス材料低温成形・集積化技術プロジェクト」の下で、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託により実施したものです。 【開発の背景】ユビキタスネットワーク社会を実現していくためには、機器の多機能化・小型化・高周波化・低価格化が鍵となります。これらの要求を満たす技術として、現在、プリント基板への高密度実装技術がクローズアップされています。例えば、携帯端末機器にはGPSや無線LANなど複数の機能が搭載され始め、この結果として回路基板は大型化しています。小型化のためには、基板表面に搭載されているセラミックチップコンデンサーなどの様々な高周波部品の数を減らし集積化することが必要です。 世の中に広く普及している低価格エポキシ系の樹脂材料を主体としたプリント基板に、高い誘電率を持つセラミックコンデンサーを埋め込むことができれば、機器の多機能化・小型化・高周波化・低価格化が可能となります。 【課題】しかし、エポキシ系の樹脂基板の耐熱温度は300℃程度であり、形成に高い温度が必要なセラミックスを用いたコンデンサーを埋め込むことは基本的に不可能でした。一方、樹脂中にセラミックスを分散させた複合材料を用いる方法もありましたが、この場合、誘電率は数10程度と低く、高周波に対応する要求性能を満たせませんでした。 基板自体をセラミックスで作製する技術は、基板形成に必要な温度が1000℃程度と高いために、工程が複雑でコストを下げることが困難でした。また 工程中に体積が10%以上収縮するため寸法の精度を上げられず、微細化の要求に応えられないという問題点がありました。 【開発した技術】今回開発したのは、樹脂基板上に高誘電率のセラミック膜を低温で形成する技術と、コンデンサー構造を多層化する技術です。開発した技術の特長は以下の通りです。
【効果】今回開発した技術を用いることで、FR4プリント基板上にセラミック膜を室温で形成することに世界で初めて成功しました(図1、図2)。形成したセラミック膜の誘電率の最高値は400で、この値はセラミックスと樹脂を複合させた材料の誘電率の約10倍、600℃の高温で熱処理を施したスパッタ法によるセラミック膜と同レベルとなります。また、FR4プリント基板上に3層構造からなるコンデンサーの形成にも成功しました。形成したコンデンサーの容量密度(注6)は1平方センチメートルあたり300ナノファラッドと、実用レベルとして非常に高い値を達成しています。 今回開発した技術は、以下のような製品に応用が可能であり、ユビキタス時代の様々な製品の多機能化・小型化・高周波化・低価格化に貢献するものです。
【今後】より高い誘電率を有するセラミック誘電体の低温形成にむけて取り組むとともに、様々な素子応用に適した特性を持つセラミック膜の開発を進めていきます。また、プリント基板中へのコンデンサー形成の実用化を目指し、開発を進めていきます。
以上 注釈
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