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THE POSSIBIliTIES ARE INFINITE
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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0157
2004年8月26日
株式会社富士通研究所

保守作業を効率化する保守用仕様書自動生成システムを開発

株式会社富士通研究所(注1)は、メインフレームのプログラム資産から、保守作業を効率化する情報を提供する6種の仕様書を自動で生成するシステムを開発しました。本システムにより、保守担当者による仕様書整備と資産の概要理解の工数を1割から5割削減(注2)させることが可能となります。

本システムはアプリケーション保守担当者が、作業を効率的に行うことで、工数削減、コスト削減を実現します。富士通株式会社(以下、富士通)の統合システム開発体系「SDAS(エスダス)」(注3)のソフトウェア開発保守支援システム「SIMPLIA(シンプリア)」(注4)の拡張機能として製品化を予定しています。本システムと他のSIMPLIAシリーズが生成するドキュメントを利用することにより、さらなる保守工数の削減も可能です。

なお、本システムの詳細については9月に開催される「FIT2004 第3回情報科学技術フォーラム」で発表予定です。

【背景】

近年、ITシステムの規模の拡大や複雑さの増大とともに、アプリケーション保守業務への負荷が増加しています。また、APMサービス(注5)での保守や、システムの再構築も増えてきています。このような状況で、アプリケーション保守や現状システム理解のためにシステム全体を鳥瞰し、稼動後の保守作業に役立つ「保守のための仕様書(保守ドキュメント)」を生成する技術が求められています。

【課題】

多くの現場で、長年の保守により、仕様書がシステムの現状と一致しなくなっています。プログラムは改変したが、仕様書の整備が追いついていないことが一因です。そのため、プログラム理解に手間取り、アプリケーション保守やシステム再構築などにおいて現状システムの把握に多くの工数が割かれています。

既存の仕様書を自動生成するシステムは、仕様書をプログラムやソース単位で生成することを重視しているため、単一プログラムから直接抽出できる情報のみが記載されており、システムを理解してアプリケーション保守作業を推進するという保守工程には情報が不十分です。保守工程では、プログラムを広範囲にながめてプロセスの概要を把握する情報と、プログラムの詳細理解を支援する情報が必要となります。

【開発したシステム】

今回開発したシステムは、メインフレームのプログラム資産から、保守作業を効率化する情報を提供する6種の仕様書を自動で生成するシステムです。

  1. 保守用仕様書生成機能

    メインフレームのCOBOL、JCL(ジョブ制御言語)、PSAM画面定義ファイル(注6)から6種の保守用仕様書をMicrosoft® Word、Microsoft® Excel形式で生成します。保守で必須となる情報を抽出し仕様書を生成するため、仕様書を常に最新にでき、仕様書とプログラムが一致した状態となります。

    COBOL、JCL、PSAM画面定義ファイルを資産全体で一括して分析するため、アクセスファイル、アクセスデータベース、データ依存関係、プログラムの実行条件など保守に必要な情報を資産全体から抽出できます(特許出願中)。なお、仕様書生成に必要な情報は加工が容易なXML形式で抽出します。

    生成仕様書 目的 内容
    処理構造図 プログラムの主要な制御、入出力の把握 セクション(注7)の構造、制御を概観できる構造図を提示
    チェック更新仕様表 データ項目への代入の把握・入力データのチェック内容の把握 データの更新内容とその更新条件を一覧提示。入力データをチェックしている条件を提示
    バッチプロセス仕様書 プロセスの概要の把握 プロセス内で入力、出力となっているファイル一覧とそれを参照、更新するプログラム名を表示
    ファイル・ ジョブステップ関連図 プロセスの概要の把握 ジョブ全体でのアクセスファイルの利用形態(入力、出力、削除)を提示。作業用ファイルを提示
    プログラム仕様書 プログラム概要の把握 入出力ファイル情報と主要セクション名を抽出してCOBOLソースの概要を把握するための情報を提示
    画面遷移図 画面遷移を中心にオンラインプログラムの概要の把握 画面の遷移とその条件,処理概要、アクセスファイル情報をPSAM画面定義ファイルから生成して提示
  2. 業務情報継承機能

    保守担当者が仕様書に記載した情報を仕様書の再生成時に継承します。これまでプログラムから自動生成した仕様書には、プログラム内に記載されていない業務情報、保守に必要な過去の障害履歴情報などはなく、保守担当者がその都度追記していました。本システムは、再生成した次版の仕様書に、前版の位置を論理的に保証(注8)して、その追記情報をコピーする機能を備えています。これにより保守担当者は、プログラムから生成した情報と、担当者が過去に追記した業務情報、障害履歴情報などを同一文書上で確認できることになり、仕様の再確認が容易になります。また、他の担当者がシステムを理解することも容易になります。

【効果】

今回開発したシステムを保守現場にて適用検証を行いました。その結果、アウトソーシングなどによる保守移行工程に必要な仕様書整備において3割から5割の工数削減、既存システムの理解に1割から5割の工数削減効果が認められました。

【今後】

本システムは富士通から保守ツールの一機能として04年12月に製品出荷開始予定です。富士通社内でも、アプリケーション保守プロセスモデルのツールに採用されており、アプリケーション保守作業で、これまで以上の品質向上が期待されています。

また、機能的には、生成仕様書の内容を拡充していきます。

【商標について】

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)1割から5割削減:
現場で保守を担当している富士通SEの評価。概要理解工数削減に関しては、ソースプログラムのみで資産を把握する場合と、ソースプログラムとあわせて本システムで自動生成した仕様書を利用して資産を把握する場合で比較。仕様書整備工数削減に関しては、仕様書を最初から手作業で生成する場合と、自動生成して業務仕様などを記述する場合で比較。
(注3)SDAS(Systems Development Architecture & Support facilities):
1987年に富士通が発表したお客様のアプリケーション開発における生産性向上を実現するための開発体系。富士通が培ってきた大規模システムの構築ノウハウに、Enterprise Architectureなどの新しいシステム開発手法、国際標準であるUML、XMLなどの新しいツール・技術を統合し、これからのアプリケーション開発のガイドラインとして2003年11月に刷新。http://segroup.fujitsu.com/sdas/index.html
(注4)SIMPLIA(SIMple development & maintenance support Program LIbraries for Application system):
アプリケーションの開発及び保守作業を支援するツール群の総称。http://software.fujitsu.com/jp/simplia/index.html
(注5)APM (Application Portfolio Management)サービス:
メインフレームやUNIXサーバなどで稼動しているお客様のアプリケーション資産について、全体最適の視点から、アウトソーシングを含め、継続的な品質改善と効果的なIT投資を実現するためのサービス。
(注6)PSAM(Presentation Service Access Method)画面定義ファイル:
アプリケーションプログラムが簡単な手続きでディスプレイ装置にデータを表示するための定義ファイル。
(注7)セクション:
COBOLプログラム用語。プログラムの部分の単位。通常、見出し(セクション見出し)で始まり、モジュール呼出の単位になる。
(注8)前版の位置を論理的に保障:
処理構造図(Microsoft® Excel文書)では、セクションの階層関係で一致した箇所に追記する。Microsoft® Wordの表でも、対応する行を記載内容から判断する。

関連リンク

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