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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0133
2004年7月7日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

世界初、10Gbpsの上位レイヤー処理専用ポートを装備した
IPルーティング用LSIの1チップ化を実現

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)と富士通株式会社(以下、富士通)は、世界で初めて、毎秒10ギガビット(以下、Gbps)の上位レイヤー処理(注2)専用ポートを装備したIPルーティング用LSIを開発しました。開発したLSIは、2つの中継用10Gbpsポートに加え、上位レイヤーの処理を行うプロセッサとの通信用10Gbpsポート1つを装備しています。このことにより、IPルーティングLSIとして、ハードウェアによる高速性とソフトウェアによる柔軟性との融合を実現します。

今回開発したLSIは、IT基盤「TRIOLE(トリオーレ)」(注3)の主要製品である富士通の統合型ネットワークサーバ「IPCOM(アイピーコム) Sシリーズ」の、10Gbpsイーサネット対応に適用していく予定です。

なお、今回開発したLSIは、7月7日から9日の3日間、東京国際フォーラムで開催される「富士通ソリューションフォーラム2004」に展示します。

【開発の背景】

富士通は、ネットワークシステムの構築コストや保守・運用コストなどのTCO削減のため、個々のネットワーク機能を1つに統合した統合型ネットワークサーバ「IPCOM Sシリーズ」を提供しています。今後も、ルータ機能、帯域制御(注4)機能、ファイアーウォール機能、IPSec(注5)機能、サーバ負荷分散機能(注6)などで高いパフォーマンスの機器を提供する予定です。

【課題】

セキュリティなどに加え、今後も増え続けることが予想されるネットワークの機能拡張に柔軟に対応していくためには、上位レイヤーのソフトウェア処理が不可欠です。一方、ADSLや光ファイバなどのブロードバンド・インフラは急激に広がっており、10ギガビットイーサなどのより高速ネットワークへの対応も必要になってきます。

このような要求に対し、現状のプロセッサやネットワークプロセッサによる処理だけでは、ルータとしての中継性能の維持、10Gbpsという高速なネットワーク速度への対応、上位レイヤーでの処理を同時に行うことが出来なくなりつつあります。

【開発した技術】

10Gbpsに対応するルータとしての中継性能を維持しつつ、パケット毎に必要な上位レイヤー処理を10Gbpsで行なうための上位レイヤー処理専用ポートを装備したLSIを1チップに実装しました。開発した技術の特長は、以下の通りです。

  1. 高速性に加え、高機能化に対応する拡張性を実現

    開発したLSIは、毎秒1億回以上の速度で、パケット毎にレイヤー4までの識別を行い、上位レイヤーでの処理が必要かハードウェアのみの中継処理を行うかを判別します。上位レイヤー処理向け10Gbpsポートと2つの中継用10Gbpsポートは、同時に並行動作可能な構成となっており、レイヤー2・レイヤー3のハードウェア中継性能を維持しつつ、上位レイヤー向けのパケット処理が可能です。

  2. 高精度なトラフィックマネジメント機能を内蔵

    最小64Kbpsから最大10Gbpsまでの範囲でパケットの出力帯域を管理できます。誤差5パーセント以内の高精度なトラフィックマネジメントは、世界最高レベルです。また、1000以上の宛先やパケット種別ごとに帯域制御を行うことが可能です。これにより、広域イーサネットを用いたVPN(注7)の拠点間で、VoIP、重要な業務データの送信、e-learning向けストリーミング送信など、必要に応じた帯域保証が可能となります。

  3. 高性能IPルーティング機能を1チップに集積

    高速入出力インターフェイス、QDR(注8)メモリインターフェイス、プロトコル処理機能、トラフィックマネジメント機能を、0.13マイクロメートルのCMOSテクノロジを用いて、1チップ(チップサイズ:279平方ミリメートル)に集積しています。なお、開発したチップの通信ポートには、汎用SPI-4P2(注9)インターフェイスを採用し、汎用ネットワークプロセッサや10ギガビットイーサLSIなどと組み合わせて利用可能です。

【効果と今後】

今回開発したLSIにより、高速性とソフトウェアの柔軟性とを融合した拡張性の高いハードウェアプラットフォームを小型化することが可能となります。

本チップを適用した「IPCOM Sシリーズ」の10ギガビット対応を予定しており、高速化・高機能化が求められるネットワークサーバの開発を加速してまいります。

10ギガビットIPルーティング用LSI概要図図1 10ギガビットIPルーティング用LSI概要図
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以上

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)上位レイヤー処理:
ルータが中継処理対象とするネットワーク層(OSI:Open Systems Interconnection 参照モデルの第3層)よりも高い上位層の処理。例としてTCP処理など。
(注3)「TRIOLE」:
社会・企業活動に要求される「ビジネスの成長・拡大」「スピーディーな業務構築」「システムの安定運用とTCO削減」を実現する富士通のIT基盤。
(注4)帯域制御:
重要な業務のトラフィックを保護、重要度に応じて帯域幅を確保することにより、業務の安定したレスポンスを保証すること。
(注5)IPsec:
IP Security Architectureのこと。データを暗号化することで通信のセキュリティを確保する規格。
(注6)負荷分散機能:
各サーバへのアクセス状況、負荷状況および故障をリアルタイムに監視することで、利用者からの要求を一番早く応答できるサーバに転送し、利用者の要求に応答する機能。
(注7)VPN:
Virtual Private Networkのこと。インターネットなどのネットワーク上で仮想的に構築するネットワーク。
(注8)QDR:
Quad Data Rate のこと。SRAMのInput/Outputを分離し、それぞれクロックの立ち上がりと立ち下がりに同期して、書き込みと読み出しを同時に行う超高速なバッファリングを可能にするメモリインターフェイス方式。
(注9)SPI-4P2:
System Packet Interface Level 4, Phase 2のこと。POS (Packet over SONET/SDH)、OC-192、10/100/1000 Ethernet、10GbEなどさまざまなプロトコルに対応したシステム・レベルの共通インターフェイス。

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