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世界初! 均一な長さの短繊維カーボンナノチューブを開発〜カーボンナノチューブ内への磁性金属充填にも成功〜
今回開発した技術は、カーボンナノチューブの応用の可能性を広げる新素材の開発に関する基礎研究の一環です。長さの揃った50ナノメートル(以下、単位についてはnm)までの短いカーボンナノチューブを実現し、しかも磁性も持たせることにより、特定のDNAやタンパク質の磁気分離やドラッグデリバリなどのナノバイオ応用、あるいは高密度磁気記録媒体への応用を目指すものです。 本技術の詳細は、7月11日から米国ロードアイランド州で開催された国際会議Carbon2004で発表しています。 【開発の背景】現在、カーボンナノチューブの製造法として、アーク放電法、レーザー蒸発法、炭化水素触媒分解法などが知られています。しかし、これまではいかに長いカーボンナノチューブを作るかに力が注がれ、短いサイズにしてチューブの長さや直径を自在に制御する方法はありませんでした。 また、カーボンナノチューブの内部に様々な機能性物質を挿入することで、その応用範囲が飛躍的に拡がる可能性がありますが、ナノチューブの内部に効率よく連続的に物質を入れることは簡単ではありませんでした。 【開発した技術】今回開発したのは、均一な長さの短いカーボンナノチューブを作製する技術と、チューブ内に金属を充填させる技術です。その特長は以下の通りです。
【効果】今回開発した技術を用いて、長さが50 nmに揃ったカーボンナノチューブの作製に成功しました(図2)。また、長さ300 nmのカーボンナノチューブに磁性金属であるニッケルと鉄の合金を充填することに世界で初めて成功しました(図3)。チューブの一方は閉じているので、磁性金属で満たされた「ナノコップ」と言えます。通常、ナノサイズの磁性金属は、裸の状態では空気中ですぐ燃えるなど極めて不安定ですが、今回作製したものは、コップ状のカーボンに覆われているので空気中でも安定であり、かつ液中に分散させて磁石に引き寄せられるなど磁性を有していることを確認しています(図4)。 【今後】合成方法はほぼ確立しましたので、今後、「磁性金属で満たされたカーボンナノコップ」の応用展開を進めていきます。高密度磁気記録媒体としての利用とともにナノバイオテクノロジー分野での応用の可能性を探ります。この方法で作成したナノチューブの結晶性は低いので化学反応性は高く、酵素やタンパク質などの様々な生体高分子をチューブ外壁に容易に付けることができると考えています。このような生体高分子を周りに付けた「磁性金属で満たされたカーボンナノコップ」は、特定のDNAやタンパク質を分離する磁気分離、患部に高周波磁場を照射することによる温熱療法への応用、あるいはドラッグデリバリなど高い性能を示す可能性があります。 以上 図2 50nmに長さの揃ったカーボンナノチューブ(剣山型) 図3 ニッケルと鉄の合金が詰まった300 nmの長さのカーボンナノチューブ 図4 ニッケルと鉄の合金を充填したカーボンナノチューブが磁石に引き寄せられる様子 注釈関連リンク
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