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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0137
2004年7月12日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

ICカードのセキュリティ機能を高めるRSA暗号処理技術を開発

株式会社富士通研究所(注1)と富士通株式会社は、ICカードやネットワーク上で認証・署名処理に広く利用されているRSA公開鍵暗号システム(注2)に関し、暗号処理回路の高速化・小型化・低消費電力化を実現する技術を開発しました。今回開発した技術により、2048ビット対応のRSA復号計算をICカード上で実現することが可能になるなど、セキュリティ機能の大幅な向上が可能となります。

今回開発した技術は、各種LSI やFRAMを用いたICカードのセキュリティ機能向上を目的としたものです。

なお、今回開発した技術の詳細は、6月にハワイで開催されたVLSIシンポジウムで発表しています。

【開発の背景】

ユビキタス時代を迎え、セキュリティはますます重要になりつつあります。公開鍵暗号のデファクト・スタンダードであるRSA公開鍵暗号システムについても、セキュリティ機能向上のため、現在の1024ビット以上の鍵長(注3)への対応が求められはじめています。

【課題】

RSA公開鍵暗号システムでは、鍵長を長くするほど安全性が高まります。しかし、鍵長を長くすることで計算処理が増え、ICカードのように処理性能に制限がある場合、実用的な時間で処理が終了できないという問題がありました。

【開発した技術】

今回開発したのは、高速にRSA暗号処理を行うためのハードウェア・アーキテクチャーです。RSA暗号処理の中でも処理に時間がかかる乗算剰余演算(注4)を高速化する専用の積和演算回路(注5)を開発しました。従来、同じ長さで取り扱っていた積和データを、異なる長さのデータに分割することで、RSA暗号処理回路の高速化・小型化・低消費電力化を実現しました。

【効果】

今回開発した技術をICカード用の専用コプロセッサ(注6)として応用することにより、2048ビットのRSA暗号処理を、1024ビットと同等レベルの1秒以内で実現することが可能となります。このときの回路規模は42kゲートと従来方式に比べて20%程度小さく、消費電力も20%程度削減できます。

また、今回開発した技術を高速なセキュリティ計算が求められるネットワーク用LSIに応用した場合、従来の要求性能の5倍に相当する毎秒5,000回の速度で、1024ビットのRSA演算処理を行うことが可能です。

【今後】

FRAMを用いたICカードへの適用、セキュリティLSIへの応用など、2005年頃の実用化を目指し、開発を進めてまいります。

以上

注釈

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 村野和雄、本社 川崎市中原区。
(注2)RSA公開鍵暗号システム:
Rivest、Shamir、Adlemanによって開発された暗号システムで、暗号化を行う際の鍵を公開し、復号化には秘密鍵を使用する方式。暗号鍵を公開しても、素因数分解の困難性から、秘密鍵を持ったもののみが正しく情報を受け取ることができる。
(注3)鍵長:
公開鍵、暗号鍵の長さ。RSA暗号での鍵長1024ビットの解読時間は現在10−20年と考えられている。現状の1024ビットでも十分ではあるが、ICカードなどの寿命が長くなるにつれ、より安心できる暗号システムを実現するために、長い鍵長に対応できる技術が必要とされている。
(注4)乗算剰余演算:
2つの数の積を特定の数で割った余り(剰余)を求める演算のこと。
(注5)積和演算回路:
ある2つの数の積と、もう1つの数との和を求める演算回路。
(注6)コプロセッサ:
補助的な機能を分担して行うプロセッサ。

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