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[ PRESS RELEASE ](技術)
2004-0067
2004年4月9日
株式会社富士通研究所

次世代移動通信システム向け、高速・高感度なアンテナシステムを開発

株式会社富士通研究所(注1)は、独自技術で構成したアダプティブアレイアンテナシステム(注2)をW-CDMA方式(注3)用に開発し、実環境における有効性をフィールド実験により実証しました。今回開発したシステムにより、次世代移動通信システムの高速化・大容量化と効率的な基地局配置に貢献することが可能となります。

今回開発したシステムは、次世代以降の移動通信基地局向けのものです。本システムを用いたフィールド実験の詳細は、3月22日より開催された電子情報通信学会総合大会で発表されています。

【開発の背景】

第3世代移動通信システムの国際標準規格(IMT-2000)の1つであるW-CDMA方式は、国内では2001年にサービスがスタートし、現在、着実に加入者を増やしています。また、更なる高速化をめざしてHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と呼ばれる最大毎秒14メガバイトの高速データ通信方式の開発も進められています。

アンテナの送信および受信方向に指向性を持たせることができるアダプティブアレイアンテナは、その高いアンテナ利得(注4)や優れた電波干渉(注5)除去能力により、今後の、無線基地局あたりの加入者の増加やデータ通信の高速化に対応し得る技術です。また、高い利得やアンテナの指向性により、携帯電話の通話時間の延長や無線基地局あたりのカバーエリア拡大の効果も期待できます。このことから、次世代移動通信システム向けとして最も期待されている技術の一つとして、現在、精力的に研究開発が行われています。

【課題】

しかし、アダプティブアレイアンテナを実用化するためには、指向性ビームの高速形成や、反射などで生じる電波の複数経路(マルチパス)の高感度な検出など、アダプティブアレイアンテナ本来の性能を発揮させるための技術的課題がありました。また、温度などによってアダプティブアレイを構成する複数のアンテナ素子の特性が変化しても、安定して電波を送受信可能とする簡易で低コストの補正システム技術が必要でした。

【開発したシステム】

今回、独自技術で構成したアダプティブアレイアンテナシステムをW-CDMA方式用に開発し、実用化に向けた課題を解決しました。その特長は以下の通りです。

  1. 送受信ビームの指向性形成を高速化する技術

    対象とする携帯電話の方向にすばやく指向性ビームを向けるためのアルゴリズムを新たに開発しました。従来のアダプティブアレイアンテナシステムに比べてビーム形成にかかる時間を10分の1以下と大幅に短縮しました。自動車や新幹線など高速で移動する携帯電話に対しても適用可能な技術です。

  2. 高感度マルチパス検出技術とアンテナ素子特性の自動補正技術

    アダプティブアレイを構成する各アンテナ素子で受信した信号を効率よく合成することで、高感度なマルチパス検出技術を開発しました。単体アンテナに比べて4分の1の受信電力でマルチパスを検出できます。また、素子間の特性変化を自動的に補正する機構を実現しました。

【フィールド実験概要および効果】

今回開発したアダプティブアレイシステム(図1)を用い、横須賀リサーチパーク(YRP)近郊の半径2キロメートルのエリアでフィールド実験を行いました。フィールド実験は携帯電話間の干渉を模擬した干渉局が存在する状態で、移動体端末を時速40キロメートルの速度で移動させながら行っています。

この実験により、高速なビーム指向性の形成、高感度なマルチパス検出を実証すると同時に、単体アンテナに比べ4倍以上の高い利得が得られること(アンテナ素子数が4本の場合)を確認しました。また、干渉局が存在する状態で端末が移動しても、常に最適なビームパターンを形成できること、温度変化などアンテナ素子の特性変化に起因するビームの揺らぎもない極めて安定した送受信が可能であることが確認できました。

【今後】

今後、より複雑な電波環境を持つ市街地でのフィールド実験を通して本アダプティブアレイシステムの一層の性能向上を図り、実用化にむけた開発を進めていきます。


図1 フィールド実験用アレーアンテナ

以上

用語説明

(注1)株式会社富士通研究所:
社長 藤崎道雄、本社 川崎市
(注2)アダプティブアレイアンテナ(Adaptive Array Antenna)システム:
複数のアンテナ素子が送受信する信号の振幅・位相を制御することで無線通信の品質の向上を図るアンテナシステム。希望する携帯電話方向に指向性ビームを向けて利得を向上させると同時に、干渉の原因となる携帯電話方向の利得を落とすことが可能。
(注3)W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式:
第3世代携帯電話の通信方式。複数の利用者を異なる符号で識別し1つの周波数を共有するため周波数効率が高く、動画によるリアルタイム通信が可能。
(注4)アンテナ利得:
無指向性アンテナに比べ、特定方向から 何倍の強さで電力を受信できるかを数値化したもの。アンテナが 持つ特定方向への感度になる。
(注5)電波干渉:
希望する信号に他の利用者の信号など通信品質の劣化を招く信号が混入すること。

関連リンク

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