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2004年3月24日
東京大学生産技術研究所ナノエレクトロニクス連携研究センター
富士通株式会社

波長1.5ミクロン帯超広帯域・高出力量子ドット光増幅器の開発に成功

概要:

東京大学生産技術研究所ナノエレクトロニクス連携研究センター(以下、東京大学)と富士通株式会社(以下、富士通)は、従来の半導体光増幅器やファイバ光増幅器では不可能であった、超広帯域(120nm)・高出力(23dBm)特性を有する 量子ドット光増幅器の開発に世界で初めて成功した。次世代の波長多重光通信システム用光増幅器として期待される。

本内容は,光通信の分野で権威のある国際会議OFC(Optical Fiber Communication Conference and Exposition)のポストデッドラインに最高得点で採択され発表,好評を博した。3月28日から開催される春の応用物理学会でも同内容を発表する。

本研究は,文部科学省のITプログラム世界最先端IT国家実現重点研究開発プロジェクト,および(財)光産業技術振興協会が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託したプロジェクトにおいて実施したものである。

内容:

波長多重光通信システムの伝送容量の増大とコスト低減を実現するため、広帯域o高出力の光増幅器の実現が強く求められている。現在のErドープファイバ増幅器の帯域(30nmと狭い)を拡大するために、ラマン増幅器等の様々なファイバ増幅器の研究が進められているが、消費電力・サイズ・コストの面で実用化は難しい。一方、従来型の半導体光増幅器は、消費電力・サイズ・コストの面で優れるものの、光出力限界が低いために(10-15dBm程度)、パターン効果によって信号波形が崩れてしまい、多重伝送では信号間にクロストークが発生するという問題があった。

量子ドットを半導体増幅器の増幅媒質に利用することによって、従来に無い広帯域o高出力の増幅器が実現可能であることが近年理論的に予測され、注目を集めている。この量子ドット光増幅器の研究開発は、平成14年度より上記の二つの国家プロジェクトにおいて、東京大学と富士通との共同研究によって進められた。東大が主に素子設計を担当し、富士通が素子oモジュール試作を担当した。

平成14年度、15年度の二年間で、素子設計技術(東大担当)、量子ドット結晶成長技術o半導体導波路埋込技術oモジュール技術(富士通担当)の開発に総合的に取り組み、通信波長1.5ミクロン帯において120nmの超広帯域と、23dBmの超高出力を実現した。これにより、従来の光増幅器を凌駕する高性能を実証することができた。

今後、結晶技術をさらに高度化して低電流動作化(2Aから0.5A程度)と低雑音化(雑音指数を7dB から5dBに)を進めるとともに、システム実験に基づいて最適設計を図る。次世代の通信用光増幅器として、プロジェクト終了(平成18年)までに製品化を目指す。

用語説明:
量子ドット光増幅器 [Quantum-dot optical amplifier]

活性領域に半導体量子ドット(数ナノメータから数10ナノメータの微小半導体結晶)を用いた半導体光増幅器。増幅器の一方の端面から光信号を入射させると、量子ドットによる誘導放出によって光信号が増幅されて、反対側の端面から出力光信号が得られる。20dBm以上の高出力特性と100nm以上の広帯域利得を持ち、従来のファイバ増幅器や半導体増幅器を凌駕する性能を発揮する。現在、自己形成InAs量子ドットを用いて、光通信用増幅器としての実用化を目指した研究が進められている。

各種光増幅器の利得帯域図1 各種光増幅器の利得帯域
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量子ドット光増幅器の構造、帯域、雑音特性図2 量子ドット光増幅器の構造、帯域、雑音特性
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量子ドット光増幅器の高出力特性図3 量子ドット光増幅器の高出力特性
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