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[ PRESS RELEASE ](技術)
2003-0229
2003年12月22日
株式会社富士通研究所
富士通コンポーネント株式会社

世界初!導電性ポリマーフィルムを用いたタッチパネルを開発

株式会社富士通研究所(注1)と富士通コンポーネント株式会社(注2)は、世界で初めて、導電性ポリマー(注3)フィルムを用いた抵抗膜式タッチパネル(注4)を開発し、その透明電極フィルムの耐久性を従来のITO(注5)膜を使用した場合の10倍以上、コストを2分の1以下に低減しました。あわせて、量産プロセスへの適合性も確認ずみです。

今回開発した技術は、携帯電話・PDA・ペン入力PCなどの携帯情報端末への適用のみならず、従来、コスト面からタッチパネルが用いられなかった分野への適用も可能とし、ユビキタス時代に向けた新たな市場を拓くものです。

【開発の背景】

携帯電話やPDA、ペン入力PCなどの携帯情報端末の普及に伴い、これらの装置にダイレクトに情報を入力できるタッチパネルの需要が高まっています。タッチパネルは、キーボードやマウスを使うことなく、直感的で優れた入力インタフェースを実現するものです。

【課題】

現在、PDAやペン入力PCのタッチパネルには、主に抵抗膜方式が用いられており、その透明電極フィルムにはITO膜が用いられています。しかし、ITO膜は、柔軟な樹脂フィルム上に、もろいセラミックスが薄膜状に形成されるため、入力動作の繰り返しによって微小な割れが生じ、特性が劣化するという問題点がありました。また、ITO膜の製造は高価な真空プロセス装置を使用するため、低コスト化が困難でした。

【開発した技術】

今回開発したのは、樹脂フィルムと同様に柔軟な有機化合物である導電性ポリマーを、タッチパネル用の透明電極フィルムとして利用するための技術です。低い抵抗値を持つ導電性ポリマーを、透明電極フィルムとして樹脂フィルム上にナノメートルレベルで均一に形成することで、世界で初めて、導電性ポリマーのタッチパネルへの適用を可能にしました。

開発した技術の特長は、以下のとおりです

  1. 導電性ポリマー材料技術:高い導電性と透明性を実現

    導電性ポリマー分子との相互作用が強い棒状分子を加えることで、導電性ポリマー分子の配列を制御し、電子伝導パス(電子の通り道)を整然と並べ、抵抗値を従来比で2分の1に低減しました。これにより、現在用いられているITO膜と同様の高い導電性と透明性を実現しました。

  2. 導電性ポリマー形成技術:高い表面抵抗均一性を実現

    タッチパネルの基材となるポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルム表面に、環境に優しい水系溶液を用いて導電性ポリマーを均一かつ高速にコーティングする技術を開発し、膜厚で±10ナノメートルの均一性を実現しました。これにより、タッチパネルに求められる厳しい表面抵抗均一性をクリアしました。

【効果】

今回開発したタッチパネルで耐久性に関する試験をおこなったところ、ペン入力試験における20万回以上の繰り返しに対しても、構造劣化やこれに起因する抵抗上昇などを生じませんでした。これは樹脂フィルム上の導電性ポリマー薄膜の柔軟性によるもので、従来のITO膜の性能に比べて10倍以上の耐久性であり、実用レベルでは半永久的といえる値です。

また、今回開発した導電性ポリマー形成方式は、ロールコーター(注6)を用いて大きな面積にわたり一括して塗布形成が可能です。この方法は、生産性に優れ、ITO膜に比べ透明電極フィルムの製造コストを2分の1以下に低減できます。

量産性については、実際の製造工程を用いて実用化試験を実施し、高い適合性があることを確認しています。

【今後】

今後、富士通コンポーネントにおいてタッチパネルの量産技術を確立し、早期の製品化を目指します。また、より高い透明性と低コストのパネル作製技術の開発を進めるとともに、ユビキタス時代の新しいタッチパネル応用に向けた技術開発を進めていきます。

以上

用語説明

(注1)
株式会社富士通研究所:社長 藤崎道雄、本社 川崎市
(注2)
富士通コンポーネント株式会社:社長 小野統造、本社 東京都品川区
(注3)
導電性ポリマー:一般的な高分子物質では、電子が原子上に束縛されているため、電子が流動せず電流が流れないが、導電性ポリマーでは束縛されない電子が多数存在するため、電流が流れるようになる。近年では帯電防止材料やコンデンサなどへの応用が進められている。
(注4)
抵抗膜式タッチパネル:透明導電フィルムと透明導電基板を対向させて構成するタッチパネル。透明導電フィルムを指やペンなどで押すことで、透明導電基板との接触が生じ、その接点の抵抗値を横方向と縦方向に時分割的に測定して位置を検出するもの。高い入力精度とシンプルな構成で小型軽量化に適するため、モバイル機器の入力デバイスに向く。
(注5)
ITO:インジウム(Indium)とスズ(Tin)の酸化物(Oxide)で、透明で導電性を有するセラミックス材料。液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの透明電極にも使用されている。
(注6)
ロールコーター:液状の樹脂などをフィルム上に塗布するための装置。コーティングロールと呼ばれる高精度の円形断面をもつ金属円筒を一定速度で回転させ、この表面に塗布する液の膜を薄く形成し、これをフィルムに転写するためのもの。効率よくフィルム上に薄膜を形成できる。

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