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[ PRESS RELEASE ](技術)
2003-0186
2003年10月6日
株式会社富士通研究所
フジツウ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド

電子商取引の交渉を自動化するオープンプロトコルを開発

株式会社富士通研究所(*1)(以下、富士通研究所)とフジツウ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド(*2)(以下、FLA)は、電子商取引の交渉を自動化するオープンなプロトコルを開発しました。本技術により、人間では扱いきれない多数の取引条件について、コンピュータプログラム同士が提案と応答を繰り返し、人間同士の交渉では到達することが難しい最適な合意点を見出すことが可能となります。

今回開発した技術は、企業間の電子商取引を円滑かつ効率的に進めるためのものです。

【開発の背景】

企業間の電子商取引において、XML(*3)やWebサービス(*4)の普及により、より多くの取引先と自動接続してビジネスを行うことが技術的には可能となってきました。しかし、現実には、取引条件や契約の実際の交渉は担当者がおこなっています。人手による交渉は、スピードも遅く、高価であり、また規模の拡大も難しいため、XMLやWebサービス技術がもたらす効率性・拡張性を十分に活かすことができませんでした。

【課題】

XMLやWebサービスを有効に活用して企業間の電子商取引を大規模に進めるためには、多くの企業を相手に複数の取引条件を調整しながら進めることが必要です。一方、取引条件の交渉を個別におこなうことは取引コストの増大を招きますし、事前交渉済みの契約に従った取引だけではビジネスにおける機会損失を生む可能性があります。より多くの利益を生み出す取引の機会を増やすためには、電子商取引における交渉を自動化し、効率的におこなう必要があります。

【開発した技術】

今回開発したのは、XMLベースの電子商取引仕様を対象に、仕様に含まれる複数の取引条件の一括自動交渉を可能とするプロトコル(自動交渉プロトコル:Automated Negotiation Protocol)と、このプロトコルを取り扱う自動交渉エンジンプログラムです。

開発したプロトコルの特長は以下の通りです。

  1. 業界標準の電子商取引用XML仕様を対象に、仕様が規定する複数の取引条件について、一括自動交渉を行えること。
  2. 具体的な通信層とは独立なプロトコルであり、例えば、Webサービスの通信プロトコルであるSOAP(*5)を用いて実装できること。
  3. 取引戦術を組み込んだコンピュータプログラムと組み合わせることで、短時間のうちに多数の交渉を繰り返し行い、最適な取引条件を見出せること。

また、自動交渉エンジンプログラムの特長は以下の通りです。

  1. プロトコルハンドリング

    自動交渉プロトコルに従う通信メッセージを生成します。

  2. 評価関数の設定

    多数の取引条件を含む交渉相手からの提案を特定の尺度に基づき評価します。評価関数には、交渉における制約条件を記載することも可能です。評価関数は電子商取引案件ごとに与えます。

  3. 応答戦略を選択

    取引相手からの提案に対し、どのようなカウンター提案を作成して応答するかの戦略を選べます。複数の応答戦略があらかじめ自動交渉エンジンに内蔵されています。

  4. ビジネスプロセスとの連携

    評価関数の記載において、制約条件に外部のビジネスプロセスを指定できます。この仕組みにより、交渉時点における最新の値(例、在庫量)をビジネスプロセスから取得して、制約条件に組み込むことができます。

今回開発したプロトコルは、Webサービスに関する仕様策定をおこなっている国際的な標準化団体へ提出し、2004年ごろの標準化を目指す予定です。

【フジツウ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカ・インコーポレイテッドについて】

フジツウ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカ・インコーポレイテッドは、富士通研究所の100%子会社で、先進的なVLSI CADやインターネット、インターコネクトなどに関係する研究をおこなっています。オープンな環境で研究を行っており、世界の研究活動とIT産業に貢献しています。本社は米国カリフォルニア州サニーベール市にあります。詳細は、http://www.fla.fujitsu.com/ をご覧ください。

以上

用語説明

(*1)株式会社富士通研究所 :
社長:藤崎道雄、本社:川崎市
(*2)フジツウ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド:
社長:林弘、本社:米国カリフォルニア州サニーベール市
(*3)XML(eXtensible Markup Language)
Web関連技術の標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)において標準化された拡張可能なマークアップ言語。各種のデータを、タグを用いてツリー構造を持ったデータとして記述できる。(http://xml.fujitsu.com/)
(*4)Webサービス
インターネット上で利用可能なサービス・コンポーネント。人手を介さずに様々なWebサービスを組み合わせて、新たな高付加価値サービスを提供できる。通信プロトコルにはSOAP、インタフェース記述言語にはWSDL、サービスの登録や検索にはUDDIなどの、XMLの関連技術により実現される。
(*5)SOAP (Simple Object Access Protocol)
XMLとHTTPなどをベースとした、他のコンピュータにあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコル(通信規約)。 標準化団体W3Cにて策定。

関連リンク

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