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Japan
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(報道資料)
平成15年10月20日
日本放送協会(NHK)
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

業界初の「地上デジタルテレビジョン波監視装置」を共同開発

-NHKと富士通、専用LSIの開発により小型化と高性能化を実現-

NHKと富士通は、2003年12月1日から始まる地上デジタル放送に向け、業界初となる「地上デジタルテレビジョン波監視装置」を共同で開発しました。

本装置を利用することにより、放送所から、放送エリアに送られる電波が正常に受信されているかを常時監視することが可能となります。

本装置は、富士通と富士通研究所が開発したOFDM(*1)復調回路と、NHKが保有する電波監視技術を組み合わせた、本装置専用OFDM復調LSI「MBG016」を搭載しており、これによって、小型で高性能な装置を実現しています。

地上デジタル放送は、OFDMと呼ばれる多数の搬送波で構成される変調方式を採用しているため、移動中の車中やビル陰などでも安定した映像や音声、データ放送を楽しめる放送形態として、大きな期待が寄せられています。

ただし、高品質な放送サービスを実現するためには、放送所から、放送エリアにおける電波状況が、適切な状態で保たれているかを定量的に把握する必要があります。

本装置は、復調信号の誤り率の劣化状況や雑音など、放送所から、放送エリアへの電波が正常に受信されているかを常時監視し、得られたデータを分析することで、電波状況を正確に把握できます。

また、無線パケット通信(携帯電話)を用いて、各種データを演奏所(*2)などのパソコンにリアルタイムで伝送できるため、電波の異常などを遠隔監視により的確に把握できます。

さらに、付加機能として、AC(*3)復調機能を内蔵しているほか、トラブルシューティング用として、コンスタレーション(*4)の出力も可能です。

本装置に搭載されている専用のOFDM復調LSIは、富士通と富士通研究所が開発したOFDM復調回路と、NHKが保有する電波監視技術を組み合わせたもので、本LSIにより、従来にない小型で高性能な「地上デジタルテレビジョン波監視装置」の実現が可能となりました。

今後も、NHKと富士通は、デジタル放送時代に対応した新たな放送サービスの実現、および向上を目指して取り組んでいきます。

なお、10月24日にNHK名古屋放送局で開催される「映像情報メディア学会研究会」にて、本装置の発表を予定しています。

【開発した装置の主な仕様】

  • 電波の質に関連した各種情報を測定・取得し、監視装置に接続したパソコンを介してモニタリングが可能。さらに、携帯電話を利用したパケット通信により、演奏所など遠隔地に設置したパソコンにより各種情報の遠隔監視が可能
  • 電波レベル低下の警報検出
  • 放送中のビット誤り率の測定とビット誤り率増大の警報検出
  • C/N対ビット誤り率の測定
  • 変調パラメータ、TMCC信号のモニタリング
  • 外部機器からの接点情報の監視
  • 電源:AC100Vまたは、DC+48Vで動作
  • 大きさ(mm): 約 260mm×205mm×61mm、重さ:約1kg

【開発したLSIの主な仕様】

  • ビット誤り数の測定・警報送出
  • 雑音加算機能
  • OFDM入力レベルの測定機能
  • AC復調機能
  • TS復調信号、TMCC信号(*5)、コンスタレーション、緊急警報信号(*6)などを出力
  • 電源電圧: 内部回路;+1.2V、+1.8V、入出力回路;+3.3V
  • パッケージ: プラスチック QFP-208ピン

以上

用語説明

(*1)
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing):多数の搬送波を用いるマルチキャリア・デジタル変調方式。一定の帯域幅における搬送波の配置密度を最も高めて、1搬送波当たりの伝送レートを低くすることでデータ間隔を長くし、マルチパス妨害の影響を避けることが可能です。
(*2)
演奏所:番組を送出・監視するための装置、スタジオ等がある場所。
(*3)
AC(Auxiliary Channel):放送局用に設けられた伝送路。変調波の伝送制御に関する情報を送出します。
(*4)
コンスタレーション:受信した電波を復調した際に、X-Y平面にマッピングされた各シンボルデータのことで、その配置により受信状況を把握することができます。
(*5)
TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)信号:伝送多重制御信号。これは、デジタル放送では、1チャンネル内に携帯向けサービス、残りのチャンネルを固定受信向けサービスというように複数のサービスを階層的に同時に放送できます(階層伝送)。その各階層の伝送パラメータを指定するもの。
(*6)
緊急警報信号:地震等の緊急時に、放送局から受信機に伝送する信号。

関連リンク

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