[ PRESS RELEASE ](製品・サービス) |
2003年8月1日
富士通株式会社
セレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社 |
2,000個のマウス遺伝子発現画像を低価格で提供
大規模遺伝子発現像データベース
「LISH mouse(リッシュマウス)2000」販売開始
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富士通株式会社(*1)(以下、富士通)と、セレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社(*2)(以下、CLS)は、マウスの正常組織における大規模遺伝子発現(*3)像データベース「LISH (*4)mouse」に関するビジネスを共同でおこないます。CLSが開発した「LISH mouse2000」を、富士通が8月1日より販売活動を開始します。
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本製品を用いることにより、ゲノム創薬や薬物安全性の研究者は、従来困難であった網羅的な細胞レベルの遺伝子発現調査を、低コストかつ効率的にできるようになり、研究の大幅なスピードアップが可能になります。
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「LISH mouse2000」は、CLSが開発した、生体組織中の遺伝子発現画像をバイオ技術、情報技術により高感度、高精度、高速(*6)に登録する技術を用いた大規模な遺伝子発現像データベースです。遺伝子約2,000個について、マウスの8組織(肺、精巣、小腸、大腸、膵臓、腎臓皮質、腎臓髄質、肝臓)それぞれの正常な状態を画像として格納しています。
従来より、組織中の細胞ごとの遺伝子発現状況を研究するためには、「in situ hybridization(イン・サイチュ・ハイブリダイゼーション)法(*7)」が用いられています。この方法は、手作業が多く、熟練した実験技術者を必要とするため、大量の遺伝子や組織の研究は、これまで時間的、費用的な面から困難でした。
CLSでは、独自のバイオインフォマティクス技術(*8)とバイオ実験技術を組み合わせ、「in situ hybridization」の大部分の工程を、顕微鏡ロボット技術などにより自動化し、短期間に大量の遺伝子発現の画像を高い品質で取得できるようになりました。本製品は、この技術を応用することで初めて実現したものです。
従来、1組織における1遺伝子の発現画像は50万円以上で提供されておりましたが、本製品では、約2,000遺伝子の8組織での発現画像を月額60万円という戦略的価格で提供いたします。例えば3年間ご契約いただく場合では、1組織の1遺伝子当たりの費用は従来に比べ約400分の1となります。
本製品では低価格で網羅的に遺伝子発現像を参照できるため、ゲノム創薬(*9)や薬の安全性についての研究者は、着目した遺伝子がどの組織のどの細胞で発現しているかを、容易に網羅的に調査することができます。各種研究手法との組み合わせにより、疾患などに関係する遺伝子を効率的に探索することができます。
なお、2004年4月に、格納遺伝子数を4000個に倍増した「LISH mouse4000」を提供する予定です。
【販売価格および出荷時期】
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製品名 | 販売価格(税別) | 出荷時期 |
「LISH mouse2000」 | 60万円/月(※) | 10月1日 |
- (※)8月末までのご注文分については、40万円/月の特別キャンペーン価格でご提供
いたします。
【販売目標】
今後、両社では順次、対象遺伝子を増加させ、2005年春までに10,000遺伝子、2006年春までに20,000遺伝子まで追加発売する予定です。
「LISH mouse2000」は両社のバイオ分野での協業から生まれた具体的な最初の製品であり、今後も引続き協業の成果を提供してまいります。
【本製品の特長】
- 厳選された対象遺伝子
マウスの遺伝子は、約30,000個と推定されております。CLSでは、今回、約2,000
個の研究上主要な遺伝子を抽出し、発現像をデータベース化しました。8組織に対
して遺伝子2,000個は全て同一の組み合わせです。
- 多様な対象組織
「LISH mouse2000」、および「LISH mouse4000」では、8種類(*11)の組織(肺、精巣、小腸、大腸、膵臓、腎臓皮質、腎臓髄質、肝臓)について遺伝子発現像を集積
しています。
【動作条件】
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「LISH mouse2000」の推奨スペック |
OS | : | Solaris/Linux/MacOSX |
ディスク | : | 200GB(ギガバイト) |
メモリ | : | 1GB(ギガバイト) |
【商標について】
「LISH」は、セレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社の登録商標です。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
【セレスター・レキシコ・サイエンシズ社の概要】
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会社名 | セレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社 |
英文名 | Celestar Lexico-Sciences, Inc. |
代表者 | 代表取締役社長 土居洋文 |
設立日 | 2000年8月22日 |
資本金 | 2億2191万5千円 |
主要株主 | 土居洋文(49%)、富士通株式会社(10%)、 バイオフロンティア・グローバル投資事業組合(15%) |
取引銀行 | みずほコーポレート銀行、みずほ銀行 |
業務内容 | 遺伝子情報に基づく創薬情報の提供 |
人員 | 48名(役員6人を含む) |
(※2003年07月01日現在) |
【用語説明】
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- (*1)
- 富士通株式会社:本社 東京都港区、社長 黒川博昭
- (*2)
- セレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社:本社 千葉市、社長 土居洋文
- (*3)
- 遺伝子発現画像: 遺伝子発現とは、一般的には遺伝子によって決定される形質が表現型として現れてくることを指します。狭義には遺伝子DNAの情報からmRNA(*5)が合成されることを指します。遺伝子発現画像は、遺伝子発現の状況を画像として可視化したものです。
- (*4)
- LISH: Large scale In Situ Hybridizationを略した名称です。
- (*5)
- mRNA :メッセンジャーRNA。DNA内の遺伝子領域が、生体内で特定の機能を発揮するタンパク質が生成される過程で、遺伝子情報を伝達する役割を担うRNAで
す。
- (*6)
- 高感度、高精度、高速: 高感度−通常のDNAチップと同程度の検出感度で、組織構造を保持したままmRNAの局在情報を細胞レベルで得ることができます。高
精度−バイオインフォマティクス技術により最適な遺伝子プローブ(*10)を設計し、不純物混入や偽陽性を最小限に抑えています。高速−1日当たり、1臓器1,000遺伝子の遺伝子発現像画像を作成できます。
- (*7)
- in situ hybridization法: 蛍光あるいは可視光で検出できる化合物で標識した遺伝子プローブと臓器切片の組織内に発現しているmRNAがハイブリッド形成
することで、特定遺伝子産物であるmRNAの細胞内の局在領域決定をおこなう方
法です。
- (*8)
- バイオインフォマティクス技術: 生命情報科学。バイオテクノロジー(生命工学)と情報技術(IT)が融合した技術分野のことです。生命科学の実験から得
られる大量のデータを、ITを使って処理し、学問的な知識や新薬開発など産業
応用に有益な情報を創出する手法を指します。
- (*9)
- ゲノム創薬: ゲノム情報、さらにはゲノムに数%(ヒトの場合)の割合で存在する遺伝子およびそれを鋳型にして作り出される蛋白質の情報をもとにして、
疾患に関連した遺伝子、蛋白質を解明し創薬のターゲットを発掘し新薬の開発
につなげていく手法です。
- (*10)
- 遺伝子プローブ:遺伝子発現を検出するための短い塩基配列。遺伝子プローブとmRNAがハイブリッド形成することにより、遺伝子発現状況を検出します。
- (*11)
- 8種類: 「LISH mouse2000」は、当初4組織(肺、精巣、小腸、大腸)での出荷となりますが、お客様は8組織への無償バージョンアップ(2004年1月予
定)ができます。
以上
関連リンク
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