三菱化学株式会社(以下三菱化学、本社:東京都千代田区、社長:冨澤龍一)とその100%出資のゲノム創薬資源の開発・ライセンス事業会社であるゾイジーン株式会社(以下ゾイジーン、本社:神奈川県横浜市、社長:中山 清)、富士通株式会社(以下富士通、本社:東京都港区、社長:秋草直之)およびセレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社(以下CLS、本社:千葉県千葉市、社長:土居洋文)は、今般、バイオ分野における総合的な協業関係を構築することといたしました。
三菱化学と富士通は、2001年3月、インフォーメーションテクノロジー(IT)を利用したバイオ分野での研究開発で協調していくことに基本合意し、以降、両社の技術やIP(知的財産)を利用したゲノム創薬(*1)や21世紀の新たなキーテクノロジーであるバイオとITの融合とライフサイエンスビジネスの新しい方向性を検討し、2001年12月に、三菱化学はゲノム創薬分野における創薬資源の開発とライセンス事業を行うゾイジーンを設立しました。
これを契機に三菱化学と富士通は、ゾイジーンを核とした共同研究の検討を更に進め、2002年8月にはゾイジーンと富士通との間で、蛋白質の活性部位に結合する新規薬物候補を、高性能なシミュレーション能力を有するコンピュータを利用した従来の方法とは異なる新しいアルゴリズムで、より精緻に探索・設計する方法等、複数のテーマについて共同研究契約を締結しました。
一方、CLSは、富士通のスピンアウトプログラムにより2000年8月に設立され、バイオインフォマティクス(*2)技術による創薬情報ビジネスを積極的に展開し、2002年10月には、富士通との間で、スーパーコンピュータの性能・運用性の向上を目的とした共同研究を開始しました。富士通とCLSの共同研究の成果は、富士通のUNIXサーバ「PRIMEPOWER」の性能・運用性向上に活用されております。
こうした富士通/ゾイジーンならびに富士通/CLSの2つの共同研究体制の着実な基盤に立って本年3月31日、ゾイジーンとCLSとがコンピュータによる蛋白質の相互作用の予測と実証実験を内容とした共同研究契約を締結いたしました。本契約の締結により、三菱化学とゾイジーン、富士通、CLSの4社間の協業体制を構築することができ、スーパーコンピュータの高度利用による創薬ターゲットとなる蛋白質の選定と高精度のドラッグデザインの技術開発が加速し、ゲノム創薬に大きく貢献するものと期待しております。
【用語説明】
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- *1: ゲノム創薬(genomic drug discovery)
- ゲノム情報、更にはゲノム上に数%(ヒトの場合)の割合で存在する遺伝子およびそれを鋳型にして作り出される蛋白質の情報を基にして、疾患に関連した遺伝子、蛋白質を解明し創薬のターゲットを発掘し新薬の開発につなげていく創薬の手法。
- *2:バイオインフォマティクス(Bioinformatics)
- バイオテクノロジー(生命工学)と情報技術(IT)が融合した技術分野のことで、生命情報科学ともいう。生命科学の実験から得られる大量のデータを、ITを使って処理し、学問的な知識や新薬開発など産業応用に有益な情報を創出する手法を指す。
【添付資料】
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4社の協業関係
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