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2002年11月28日
IBMコーポレーション
富士通株式会社

富士通とIBM、次世代テレコムソリューションの協業に合意

通信サービスとITソリューションとの融合を実現

富士通株式会社(以下「富士通」、代表取締役社長:秋草 直之)とIBM(R)コーポレーション(米国ニューヨーク州アーモンク、社長兼CEO:サミュエル・J・パルミサーノ、以下「IBM」)は、通信サービスとeビジネスを連携させた、より高度なソリューションの提供を目指し、次世代テレコムソリューションのミドルウェアに関して協業することに合意しました。

今回の協業は、現在独立している公衆網や携帯電話網などの通信網で提供されているキャリアサービスと、インターネット網で提供されているグループウェアやコラボレーション機能、ポータルといった企業サービスを、両社のミドルウェアを介して融合させるもので、通信サービスとITソリューションが融合した次世代通信サービスをより自由に利用することを可能にします。

協業にあたり、両社はまず、両社のテレコムサーバーがオープンAPI(Application Programming Interface)を介して連携して利用できるようにミドルウェアを開発します。また、オープンAPIには、富士通とIBMが現在会員として活動中の、非営利の業界団体Parlay(パーレイ)グループが開発したオープンスタンダードである「Parlay」をベースとして採用し、今後両社で協力してParlayの普及にむけた活動も行います。なお、開発は、IBMでは日本IBMソフトウェア開発研究所(神奈川県大和市)が、富士通ではネットワーク事業本部(神奈川県川崎市)が、それぞれ担当します。

Parlayを採用する両社のテレコムミドルウェア(次世代通信サービスを実現するミドルウェア)は、通信網を利用してユニークな音声/データ/IP統合サービスを利用できる仕組みを提供するもので、一般企業ユーザーやサービス事業者がそれぞれ固有のニーズにあわせてカスタマイズしたITソリューションを、迅速かつ容易に導入することを可能とします。例えば、従来インターネット経由でしか利用できなかったサービスが通信網経由の音声などで利用できる等、インターネット網と通信網という異なるネットワークを利用し、同種のサービスを利用することが容易になります。また、これまでの公衆網などの通信サービスだけでは実現が難しかったeビジネスとの連携サービスが容易に構築可能となります。

通信網とインターネット網との間のParlayゲートウェイ機能は、富士通のテレコムソリューションサーバー「GeoServe」(ジオサーブ)が提供します。また、このゲートウェイとParlay のオープンAPIを介して接続されるParlayクライアントの機能は、IBMのテレコムアプリケーションサーバー「WebSphere Telecom Application Server」(ウェブスフィア・テレコム・アプリケーション・サーバー、WTAS)が提供します。両社は、これらサーバーの相互接続検証を年内に完了する見込みです。

【Parlayについて】

Parlayは、各サービス事業者のITインフラから、キャリアが管理する公衆網や携帯電話網の利用を容易にし、新しい情報通信サービスを実現するオープンなインターフェースです。これまでの通信サービスの開発は、きわめて独自性が強くて非効率的でしたが、Javaなどのオープンスタンダードを使った開発を可能にすることで、開発リソースが飛躍的に増加し、コストを従来の50%以下に低減することも可能といわれています。Parlayを採用することにより、各サービス事業者は、キャリアのシステムに依存することなく独自にアプリケーションを創り出し、例えばインターネット上でしか提供できなかったサービスであっても公衆網や携帯電話網を介して複合的付加価値サービスを提供することが可能となります。身近な例では、株価など常に変動するものについてインターネットなどであらかじめ条件を設定しておくと、その条件が満たされた時点で即座にかつ自動的にユーザーに対して電話で通知するサービス等が考えられます。なお、ParlayはETSI、3GPP、3GPP2といった他の標準規格のグループと共同で共通APIの実現に取り組んでいます。また、欧米アジアの主要通信事業者は、Parlayの実証実験と採用を開始しています。

【Parlayグループについて】

Parlayグループには,British Telecommunications,France Telecom,Ericsson, Cisco Systems,NTT,IBM,富士通など65社が参加しています。Parlayでは、多彩なテレコム向けアプリケーションへの要求に応えるため、誰でも移植性の高いテレコムサービスアプリケーションが開発・提供できることを目的とし、技術に依存しないAPIを策定しています。現在、Framework、Call Control、Presence and Availability Management 等の14個のパッケージが定義されています。富士通とIBMはParlayグループのフルメンバーシップ企業であり、IBMは現在、Parlayグループの会長職を担っています。

【GeoServeについて】

富士通のGeoServeは、同社の「PRIMEPOWER」などのUNIXサーバーをプラットホームとして、従来の交換機レベルの高い信頼性を実現するミドルウェア「GeoServe HA」と、10種類以上のアプリケーションソフトウェアから構成されるテレコムソリューションサーバーです。

すでに公衆網と携帯電話網で提供されているサービスに加え、ネットワーク上の音声通信(VoIP)に代表される双方向通信、画像配信やビデオチャットといったブロードバンド通信など、次世代のネットワーク上に展開される様々なサービスを実現するためのシステム環境を提供します。


GeoServeの特長は以下のとおりです。
  • 富士通が情報システムの開発で培ったエンタープライズの高可用性基盤技術に、通信交換機の開発で培われた技術とノウハウを結実させたGeoServe高可用性ミドルウェアを適用することにより、従来からの公衆網に匹敵するサービスを実現しております。
  • 次世代大規模VoIPサービスのセッション制御プロトコルとして今後の普及が期待されるSIP(Session Initiation Protocol)をサポートすることで、パソコン上に展開されるマルチメディアアプリケーションとの親和性を高め、IP電話等による音声通信だけでなく複合したサービスの提供が可能になります。
  • リアルタイムに「今」のユーザーの気持ちをメッセージで通信し、更に通信相手同士の状態を相互に把握できるインスタントメッセージサービス、プレゼンスサービスを提供するための基盤を提供します。
  • Parlayに加え、JAINなどの業界標準APIをサポートします。これにより、下位レイヤーの通信基盤を意識することなく、サービスアプリケーションの開発および、アプリケーションの容易なポーティングが可能となります。
  • IPv4、IPv6、またはIPv4/v6混在のネットワークでマルチメディア通信サービスを実現します。

【WebSphere Telecom Application Serverについて】

IBM WebSphere Telecom Application Server(以下、「WTAS」)バージョン1.2は、Javaおよび各種の業界標準に準拠しており、ソフト開発のプロセスを迅速化します。WTASの利用により、Javaに熟達した300万人以上の技術者を含む豊富な開発陣が、テレコムおよびeビジネスの新しいアプリケーションをより容易に開発できるようになります。当製品はJava2エンタープライズ・エディションを利用したWebSphere Application Serverに基づいています。WTASはParlayグループが定義するオープンなAPIをサポートしており、 ETSI, 3GPP、3GPP2といった標準化団体に採用されています。Parlayのオープンな標準に則った製品は、有線および無線ネットワークやインターネット上で稼動するテレコム・アプリケーションを強化していく上での、「黄金の標準」となりつつあります。

WTASはまた、IBMのService Provider Delivery Environment (SPDE「スピーディー」)のキー・コンポーネントです。SPDEは、オープンかつ各種標準に準拠したフレームワークで、有線および無線のサービス・プロバイダーがこれを利用すると、音声・テキスト・インターネットのサービスを迅速に、容易に、そして安価に顧客に提供することが可能となります。サービス・プロバイダーは、SPDEによって、サービス契約者の要望を満たす各コンポーネントの組み合わせができるようになります。

【商標について】

当リリースに記載されている社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以 上

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