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[ PRESS RELEASE ]
2002-0207
平成14年8月28日
株式会社富士通研究所

磁気ディスク装置内部の空気の流れを解析し、高性能化に貢献

空気の流れを解析した図
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株式会社富士通研究所(社長:藤崎道雄、本社:川崎市)は、富士通株式会社と協力して、磁気ディスク装置のさらなる高性能化を図るため、磁気ディスクの回転で発生する空気流を解析するための技術を開発し、この技術をWeb経由で簡単に利用するための解析環境を構築いたしました。

今回開発した技術を用いて、アクチュエータアーム(*1)の重量を軽減するために開けた孔の空気流に対する影響を解析し、アーム振動のメカニズムを、流体力学的立場から世界で初めて詳細に解明することに成功しました(図1)。 また、従来ワークステーションで2ヶ月以上要していた解析が5日程度で可能となり、空気流が原因となって発生するアクチュエータアーム振動やディスク自身の振動を低減する機構設計が簡単に実現でき、磁気ディスク装置の高性能化が可能になると期待されます。

なお、本技術の詳細は、8月26日からシンガポールで開催されるAPMRC2002(Asia Pacific Magnetic Recording Conference 2002) にて発表する予定です。

【開発の背景】

近年の磁気ディスク装置は大容量化、高速書き込み、読み出しのための高回転化(10,000回転毎分以上)が著しく進んでおります。磁気ディスクが高速回転すると、装置内部で空気流が発生し、ヘッドの位置決め精度に大きな影響を与えるようになります。そこで、空気流がアクチュエータアーム振動やディスク振動をどのように引き起こしているかを解明し、装置の性能改善に役立てたいという要求が高まっています。

これまで空気流の影響を低減するための機構構造の改良検討は、主に実機を用いた実験によって行われていました。しかし、部品形状と振動低減効果の因果関係や振動の発生メカニズムを解明するには至りませんでした。

そこで、市販の汎用流体解析ソフトを使って、空気流の解析を試みていました。しかし、これらの流体解析ソフトは膨大な計算時間を必要とするため、機構設計工程で利用するには、実用的な時間内に解が求まらないという問題がありました。そのため、計算時間を短縮し、設計工程の中で使える流体解析技術の開発が望まれていました。

【開発した技術】

設計工程の中で使えることを目標に、磁気ディスク装置内部の空気流を解析するための専用ソフト(DDFlow: Disc Drive Flow)を新たに開発するとともに、実験による検証をもとに、空気流の非定常現象を、実用的な計算時間でかつ精度良く解析できる技術を開発しました。開発した専用ソフトは並列計算に適しており、汎用流体解析ソフトに比べて10倍程度高速に流体解析を実行することが可能です。

また、設計工数の効率化のため、設計者がWebブラウザ経由で計算指示や、計算経過のモニタなどができる非定常流体解析環境を構築しました。

計算時間を短縮するために用いた技術は、以下の通りです。

  1. ナビエ・ストークス方程式(*2)から直接数値解を求める方法を採用しており、層流〜遷移〜乱流間の流れ場の変化を自然に捉えることができます。
  2. 装置内部の詳細形状を忠実にモデル化しつつ、計算格子点数の大幅削減が可能な境界適合格子法(*3)を用い、計算時間の大幅な短縮を可能としました。
  3. 時間積分に陰的解法を採用し、高速に計算することが可能となりました
  4. 磁気ディスク装置内の高速な流れ場の安定解を得るために、最適化を施した三次精度風上差分法を対流項に適用しました。これにより、非定常解の収束性を速めることが可能となりました。

この流体解析技術の適用により、重量軽減用孔付きアームの振動は,アーム下流側に生じる3次元的なスパイラル流が原因であることを突き止めることができました。このように、この解析技術の利用によって、磁気ディスク装置内部の空気の流れを考慮した機構設計が行えるようになり、空気流に起因する振動を低減した位置決め精度の良い、高記録密度の磁気ディスク装置の開発が期待できます。

今後、富士通では、この解析技術を、まず次世代のサーバ向け磁気ディスク装置の設計開発に適用を図り、順次モバイルPC向け磁気ディスク装置へも適用拡大していく予定です。

全体図
(a) 全体図
重量軽減用孔付きアーム下流部
(b) 重量軽減用孔付きアーム下流部
図1 解析結果

【用語解説または注釈】

*1 アクチュエータアーム
アクチュエータアームは磁気情報を読み書きするためのヘッドを、磁気ディスク上に位置決めするためのアームのことです。
*2 ナビエ・ストークス方程式
非定常運動する流体の基本方程式のことです。
*3 境界適合格子
計算格子の並び方に規則性のある構造格子の一種で、格子点を、曲面などを有する物体表面に沿わせて配置する計算格子のことです。構造格子の数を低減でき、かつ物体周りの流れを精度よく計算できるメリットがあります。

以 上

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