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[ PRESS RELEASE ] 2002-0140
平成14年6月12日
株式会社富士通研究所

強誘電体メモリを使用した不揮発セキュアDPGAを開発

不揮発セキュアDPGA

株式会社富士通研究所(社長 : 藤崎道雄、本社 : 川崎市)は、不揮発性メモリである強誘電体メモリに電子機器の論理動作情報を外部漏洩の心配なく記憶できる世界初の不揮発セキュアDPGA(Dynamically Programmable Gate Array)(*1)を開発いたしました。
今回開発した技術を用いると、電源を入れるたびに外部メモリから読み込んでいた機器の動作情報を、強誘電体メモリ上に外部漏洩の心配なく常時記憶しておけるので、システムの信頼性と高速動作、低コスト化が可能になります。
なお、本技術の詳細は、6月11日からホノルルで開催されているVLSI回路シンポジウムにて発表いたします。

【開発の背景】
近年、電子機器の製品開発スピードの増加に伴い、ゲートアレイ開発コストが増加しており、短期に開発できるFPGA(Field Programmable Gate Array)(*2)の重要性が高まっています。
高速のFPGAは、SRAMにFPGAの論理動作を規定する情報(コンフィギュレーション情報)(*3)を蓄積しているため、電源を切るとその情報が消失してしまいます。この情報の消失を防ぐため、現状のシステムでは外付けのPROM等の不揮発メモリにコンフィギュレーション情報を蓄積して、電源投入時にFPGA上のSRAMに転送していたため、PROMのコスト増や、ボード面積の増大という問題がありました。
そこで、コンフィギュレーション情報を消さずに、ボード面積も小さくできる技術の開発が望まれていました。
不揮発性メモリの一種である強誘電体メモリは、不揮発であり、かつCMOSロジックとの製造プロセスでの相性もよいことから、SRAMを置き換える市場にも利用されています。しかし、読み出し時に強誘電体メモリに特有なプレート線(*4)を駆動しなければならず、高速FPGAに要求される10ナノ秒以下での高速読み出しが難しいという欠点がありました。

【開発した技術】
今回開発したのは、論理動作情報の蓄積部に不揮発性の強誘電体メモリを使用し、電源を落としても、情報が消えない不揮発セキュアDPGAです。

その特長は、以下の通りです。
  1. 高速、非破壊読み出し
    強誘電体メモリを使用したロジック回路として、世界で初めて非破壊読み出しを実現し、自由な論理動作の変更を可能にしました。さらに、従来型の1T1C型強誘電体メモリよりも約50倍高速である2ナノ秒でのアクセスが可能になりました。

  2. セキュリティの確保
    コンフィギュレーション情報の外部漏洩や、不正書き込みを防止するためのセキュア・コンフィギュレーション方式を開発し、高度にセキュリティを確保できます。

  3. 高速書き換え
    動作中に、8コンテキストのコンフィギュレーション情報を1クロックで一度に切り換え可能な、マルチ・コンテキスト回路を開発し、さらに使いやすくなっています。
これらの技術によって、高機能で、不揮発のFPGAを実現でき、FPGAの市場をさらに拡大できるものと期待しています。また、量産デバイスとしてFPGAを使用する場合も、セキュリティの確保により、製造工場にてコンフィギュレーション情報を書き込んだ状態で出荷することができます。


【用語解説または注釈】
*1 DPGA(Dynamically Programmable Gate Array)
DPGAは、動作中に論理機能を変更可能なFPGAです。実行する論理機能に対応する複数のコンフィギュレーション・メモリを持ち、FPGAに比べて単位面積あたりの論理ゲート数を向上できます。
*2 FPGA(Field Programmable Gate Array)
FPGAは、製造後でもユーザが論理動作をプログラムできるゲートアレイです。ゲートアレイの製造プロセスで論理動作を決定する従来のゲートアレイと比較して、設計コストと開発期間を抑えることができます。
*3 コンフィギュレーション情報
FPGAの論理動作を規定する情報のことです。また、FPGAにおいて、コンフィギュレーション情報を蓄積するメモリは、コンフィギュレーション・メモリと呼びます。
*4 プレート線
強誘電体メモリのデータ蓄積ノードの反対に位置する制御線で、強誘電体メモリへの書き込み・読み出し時に使用します。

【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以 上


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。

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