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世界最高、136.6ナノメートルの広帯域光増幅技術を開発株式会社富士通研究所(社長:藤崎 道雄、本社:川崎市)は、新しい構成のラマン増幅技術を活用し、従来限界と言われていた100ナノメートル(nm)を大きく上回る、136.6ナノメートルの増幅帯域幅を持つ広帯域光増幅技術を開発いたしました。
この光増幅器を用いれば、1波あたり毎秒10ギガビットの信号光を最大で600波以上も一括して増幅でき、従来の光増幅器に比べ、中継器の簡素化、低雑音化、高出力化および低コスト化が図れるため、大容量かつ高速化される将来のマルチテラビット光波長多重通信ネットワークへの応用が期待できます。
開発した技術は、米国カリフォルニア州アナハイムにて開催されたOFC'2002 (光ファイバ通信会議:Optical Fiber Communication Conference) において、3月18日に発表いたしました。
[開発の背景] 大容量のデータを長距離伝送できる波長多重(WDM)技術は、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光を重ねて伝送する技術であり、波長の数に比例して伝送データを大容量化できます。
伝送容量を増やすためには、ある一定の波長帯域内で伝送する波長数を増やす方法(高密度化)と、波長帯域を広くして波長数を増やす方法(広帯域化)があります。しかし、高密度化すると、隣り合う信号光同士が干渉するファイバ非線形効果(*1)が強く現れ、伝送波形が大きく歪むので、長距離伝送が難しくなります。また、エルビウム添加ファイバ増幅器(*2)を用いる従来の伝送方法では、波長帯域幅は、その増幅率で制限されるので、波長帯域を広くするのには限界がありました。
これらの問題を解決するため、従来は、波長帯域を複数に分割し、分割した数種類の波長帯域の光増幅器を組み合わせて伝送する方法が用いられていました。しかし、波長帯域数分の増幅器や分波器、合波器が必要となるため装置が大型になり、コストが高くなるといった欠点がありました。
そこで、分波器、合波器を用いないで波長帯域を一括して増幅でき、しかも、簡略な装置でありながら長距離伝送が可能な技術の開発が望まれていました。
[開発した技術] 今回開発したのは、信号光波長とラマン増幅用励起光波長を混合配置する構成を採用し、従来よりも30%以上の広帯域に渡る一括増幅を可能としたラマン増幅器(*3)です。
開発したラマン増幅器を用いて、120キロメートルの伝送路での伝送実験を行い、136.6 ナノメートルまでの波長帯域幅で増幅できることを確認いたしました。
開発した超広帯域一括ラマン増幅器に関する技術の特長は次のとおりです。
図2に示すのは、実験において測定された光スペクトラムです。最短波の1496ナノメートルから最長波の1640ナノメートルまで、非常に広い帯域に渡る信号光帯域が確保できています。信号光帯域内に配置した励起光帯域分を除いた実質的な増幅帯域幅は136.6ナノメートルとなり、従来の限界であった100ナノメートルを大きく上回ります。より多くの励起光波長を適用することで、更なる帯域拡大が見込めると考えています。
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以 上 プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。 |
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