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[ PRESS RELEASE ] 2002-0079
平成14年4月8日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

ギガヘルツ帯域に対応するシリコンインターポーザ基板を開発


株式会社富士通研究所(社長:藤崎 道雄、本社:川崎市)と富士通株式会社は、ギガヘルツオーダの高速動作が要求される次世代高密度SiP(システムインパッケージ )(*1)用に、シリコン基板上に薄膜多層配線(*2)や薄膜キャパシタ(*3)を形成可能なシリコンインターポーザ基板を世界で初めて開発いたしました。
今回開発したインターポーザ基板を用いると、複雑で大規模なチップ間配線が必要な高機能・高集積SiPに対応できるほか、大容量の薄膜キャパシタを内蔵できるため、デバイスの高速化に不可欠なギガヘルツ帯域の高周波ノイズをカットできます。


【開発の背景】

携帯電話や携帯情報端末、高性能サーバなどの電子機器の普及にともない、それらに使われているシステムLSIには、さらなる高機能化、高速化が要求されています。しかし、1個のLSIでこの高機能化、高速化を実現しようとすると大規模なチップ開発が必要になり、開発期間が長くなったり、コストが高くなったりなどの問題が起こります。
これを解決するため、複数のLSIや受動部品をシリコン基板上に配置し、それらを一つのパッケージにしたSiPが提案され、各社で採用が始まっています。
しかし、チップ間をワイヤボンディングで接続する現状のSiPでは、
  • 配線密度を大きくできないため、システム設計の自由度が少ない。
  • ワイヤボンディングによるインダクタンスの増大により高速伝送が難しい。
  • 同時スイッチングによる高周波ノイズの影響が大きいなどの問題がありました。

【開発した内容】

今回開発したのは、シリコン基板に貫通ビア(*4)、銅−ポリイミド薄膜多層配線、大容量薄膜キャパシタを集積したインターポーザ基板(図1)です。このインターポーザ基板に複数のLSIをフリップチップ実装すれば、従来のSiPでは難しかったギガヘルツ以上の高速動作が可能な大規模SiPを実現することが可能になります(図2)
今回試作したシリコン基板は、銅を充填した直径50ミクロンメートルの貫通ビアを220ミクロンメートルピッチでマトリックス状に配置しています(図3)。これを実現するため、 LSIの銅配線プロセスで通常用いているような高価なCMP(ケミカルメカニカルポリッシュ)プロセスを用いない、新しいプロセスを開発いたしました。
薄膜多層配線の絶縁材料には当社と化学メーカで共同開発した低熱膨張率(11ppm/℃)感光性ポリイミド材料を使用し、シリコンインターポーザの反りを低減しています。
また、薄膜キャパシタには、2001年3月に発表した1.6マイクロファラッド/平方センチメートル(μF/cm2)という大容量のチタン酸バリウム・ストロンチウム((Ba,Sr)TiO3)系誘電体材料を用いており、欠陥密度を低減できるようプロセスの改善を行い、インターポーザ基板上の全面(ビアの部分は除く)にキャパシタを形成することを可能としました。

今後は量産技術を確立し、次世代の高密度で高速なSiPの実現を目指します。

【用語解説】

*1 SiP(システムインパッケージ )
System in Packageの略で、複数のLSIや受動部品を単一パッケージ内に搭載したシステムソリューションのことです。一方、1チップに大規模な機能システムを形成したシステムLSIは、システムオンチップ(SOC)と呼ばれます。
*2 薄膜多層配線
ポリイミド上に銅薄膜を形成し、銅をパターニングして配線層を形成させます。この方法を複数回繰り返すことで作られる多層配線のことです。すでに富士通では、MCM(Multi Chip Module)用基板として5ミクロンメートル配線の技術を実用化しています。
*3 薄膜キャパシタ
強誘電体薄膜を導体間にはさんで形成したキャパシタのことです。このキャパシタが持つ充放電機能を利用し、電源ライン上のノイズ(電圧変動)を吸収するために、電源回路とLSIの電源端子を結ぶ配線(電源ライン)上に配置するものです。
*4 貫通ビア
シリコンウエハに孔を開け、内壁を絶縁した後、銅などの金属導体を充填してウエハ表面から裏面まで通したビアのことです。

以 上



図1図2
開発したシリコンインターポーザ シリコンインターポーザを用いたSip
開発したシリコンインターポーザ
シリコンインターポーザを用いたSip

図3
貫通ビア写真
貫通ビア写真

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