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[ PRESS RELEASE ] 2002-0092
平成14年4月18日
株式会社富士通研究所

銀電極を用いた低価格な高性能積層圧電アクチュエータを開発


株式会社富士通研究所(社長 : 藤崎道雄、本社 : 川崎市)は、電極材料として、パラジウムの代わりに銀を用いた高性能の積層圧電アクチュエータを開発いたしました。このアクチュエータは、高価な材料を用いていないので、大幅なコストダウンが可能で、ビデオカメラやVTR等の低価格化が図れるとともに、今まで高価で使えなかったような新しい分野への応用が可能になると期待できます。
開発した技術の詳細は、3月25日に関西大学(大阪市)で開催された日本セラミックス協会2002年年会にて発表いたしました。

【開発の背景】
積層圧電アクチュエータは、電圧を印加すると変形する性質を持つ圧電セラミックスを電極で挟んで多層に積層することで、変位効率を高めたアクチュエータです。これは、位置精度が高く、応答が高速で、軽量、コンパクトにできるなどの利点があるため、VTRのヘッド駆動やビデオカメラの手振れ防止機構などに利用されています。
しかし、圧電セラミックスと内部電極とを同時に焼成して製造するため、高温でも圧電セラミックスと反応しない白金やパラジウムといった高価な貴金属を用いる必要があり、値段が高いという問題がありました。
そこで、パラジウムや白金の約100分の1の価格である銀を内部電極として利用できれば、この問題が解決できます。しかし、銀の融点は963℃で、パラジウムの融点より600℃も低いため、通常1200℃程度で行われている圧電セラミックスの焼成温度をさらに下げる必要がありました。

【開発した技術】
当社独自の圧電セラミックス材料に、セラミックス内部に液相を生成させる物質を添加することで、焼成温度を900℃まで下げられる技術を開発し、銀を内部電極とする圧電積層アクチュエータを製造することに成功いたしました。開発した技術の特長は以下の通りです。

  1. 当社独自の高性能圧電セラミックス材料の採用
    当社が先に開発した世界最高の圧電特性を有し、他の圧電セラミックスより低い1100℃で焼成可能なニッケル酸ニオブ酸鉛-チタン酸鉛-ジルコン酸鉛をベースとするセラミックス材料を採用しました。

  2. 液相焼結技術の開発
    銀の融点よりも低い870℃でセラミックス内部に液相を生成させる物質を、セラミックスの圧電特性が低下せず、焼結促進効果が得られる最小限の量だけ添加しました。さらに、セラミックス内部に均一に液相を生成させるために、混合、粉砕などのプロセスを工夫しました。

図1は開発した銀を内部電極とする積層圧電アクチュエータの断面写真です。
写真(a)中の白い部分が銀で、その他の部分が圧電セラミックスです。写真(b)は電極とセラミックスの界面部分の拡大写真で、銀の溶融が見られないことがわかります。写真(c)はセラミックスの部分の拡大写真です。セラミックスもち密で空隙がなく、十分高密度に焼成されていることがわかります。

(a)(b)(c)
図1 銀を内部電極とした積層圧電アクチュエータの断面写真
[クリックすると拡大表示されます]


以上の技術により、圧電特性を低下させることなく、銀の融点以下である900℃で焼成可能な圧電セラミックスを開発できました。その結果、耐熱性に問題のあった銀を電極材料として用いることができ、積層圧電アクチュエータの原料コストを従来の10分の1から4分の1にすることが可能となりました。今後は、この積層圧電アクチュエータの応用技術、量産技術の開発を進める予定です。


以 上

プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。

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