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[ PRESS RELEASE ] |
2002-0059
平成14年3月13日
富士通株式会社 |
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世界初!超高密度スタック型マルチチップパッケージ(最大8段)を開発
〜ICカードや小型ハードディスクドライブでも3チップ積層が可能に〜
当社は、ウェハ薄化加工技術 (*1)とパッケージ積層技術 (*2)を用いて半導体チップ(以下、チップ)を最大8段まで積層可能な超高密度スタック型(積み重ね)マルチチップパッケージ(以下、MCP *3) (図1)を開発いたしました。
近年、携帯電話やデジタルAV機器、ICカード等の高機能化にともない、CSP (*4)やMCPに代表されるLSIパッケージに対する小型、薄型化、高集積化、大容量化への要求が高まっています。
一般的に、機器の実装の面からLSIパッケージに要求される厚さは1.2〜1.6ミリメートルです。その中に搭載されるチップに要求される1チップあたりの厚さは、3段積層する場合0.15ミリメートル、4段では0.1ミリメートル、5段以上では0.08ミリメートル以下に抑えなければなりません。しかし、チップ厚を0.1ミリメートル以下まで薄くするためには、通常の研削工程に加え、薬液を用いた薄化加工が必要になるため、チップ加工期間の長期化、設備費用の増加、環境への影響などの問題がありました。
今回開発した超高密度スタック型MCPは、ウェハ薄化加工技術(2001年12月発表)と、パッケージ積層技術により実現いたしました。
本薄化加工技術は、薬液を用いずにチップ厚を0.025ミリメートルまで薄くできるため、チップ加工期間の短縮、設備費用の削減、環境に配慮したチップ加工が行えます。既存のMCPでは、厚さ1.4〜1.6ミリメートルのパッケージに積層できるのは最大4チップですが、本加工技術を用いたMCPでは最大6チップまで積層できます。パッケージ積層技術との組合わせでは、最大8チップまで(パッケージ厚さ2.0ミリメートル)積層できます。また、これまで、最大2チップしか積層できなかったICカードや小型ハードディスクドライブでも、3チップまで積層(パッケージ厚0.5ミリメートルLGA (*5)の場合)できるようになります。
本パッケージ積層技術は、高密度化パッケージに最適な実装方法です。これまで、基板ごとに積層できるチップサイズに制限があり、また、同一サイズのチップを積層する場合、外部電極取り出し部が積層により重なってしまうため、外部への電気的接続が出来ないなどの課題がありました。本パッケージ積層技術は、基板の片面または両面にチップを搭載し、それらの基板を鉛フリーはんだボールで接続することによりにパッケージ積層できます。本技術を用いることにより、同一サイズをはじめとするさまざまなチップサイズの積層が可能になります。
当社は、今後もLSIパッケージにおける、小型・薄型・高集積・大容量化へのご要望にお応えするために、さらなる技術開発を行い、それらを採用した製品をいち早く提供してまいります。
【用語説明】
- *1 ウェハ薄化加工技術:
- ウェハサポート工法技術により、機械研磨のみでチップ厚を0.025ミリメートルまで薄化可能な技術です。
- *2 パッケージ積層技術:
- チップを搭載した基板を鉛フリーはんだボールで積み重ねて接合し、単一パッケージとして機能させる技術です。
- *3 MCP(Multi Chip Package):
- 複数のLSIを単一パッケージに搭載したパッケージです。
- *4 CSP(Chip Size Package):
- パッケージの縦横の長さと搭載するLSIの縦横の長さがほぼ等しいパッケージのことです。
- *5 LGA(Land Grid Array):
- 表面実装型プラスチックパッケージの一種です。
【商標】
- 製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以 上
図1.高密度スタック型マルチチップパッケージの構造 [クリックすると拡大表示されます]
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