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[ PRESS RELEASE ] |
2002-0034
平成14年2月7日
株式会社富士通研究所 Fujitsu Laboratories of America, Inc. 富士通株式会社
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高速低電力動作が可能な多ポートレジスタファイルIPを開発
本IPを利用すると、短期に低コストで、高性能なLSIを設計することができ、たとえば、富士通が開発した8並列同時実行型高性能メディア処理用プロセッサFR-V (*2)にも利用されています。
本件は、2月3日から米国サンフランシスコで開催されているISSCC2002(2002 IEEE International Solid-State Circuits Conference)にて発表いたしました。
[開発の背景]
近年、VLIW型プロセッサ (*3)やSuperscalar型プロセッサ (*4)などで、1サイクルの同時命令発行数が増大しており、演算ユニットなどを有効に利用するため、1サイクルで多数のデータを読み書きできる多ポートレジスタファイルの必要性が高まっています。このような多ポートレジスタファイルには、高速性と低消費電力化が必要です。また、ポート数の増大とともに面積が大きくなるので、回路面積も小さくしなければなりません。
[開発した内容]
今回開発した多ポートのレジスタファイルIPは、読み出しポート10本、書き込みポートを6本持つワード数34、1ワードあたり語長64ビットのIPで、回路を工夫することで高速動作と低消費電力、省面積を実現したIPです。
開発したIPの主な特徴は以下の3点です。
- 2電源方式を採用し、高速動作と低消費電力動作をひとつのIPでサポート
本IPは2つの電源系統を持っており、電源の接続方法と駆動電圧を変えることで、高速動作と低消費電力動作が可能です。また、回路内にレプリカ回路(*5)を設けてあるため、広い電源電圧での動作が可能です。
- シングルビット線方式(*6)を採用し、従来比31%の省面積化を実現
ビット線の配置とシールド線の配置を工夫して、従来と同様の雑音余裕度を実現したシングルビット線方式を採用し、必要なビット線を半減しました。その結果、従来比31%の面積を削減できました。
- 回路の簡単化と高速動作を可能とするライトスルーリード機能を搭載
書き込んだデータを同じサイクルで読み出すことのできるライトスルーリード(write through read)機能を搭載し、回路の簡単化と高速化を図りました。
[IPの主要諸元]
本IPは、富士通の最先端CMOSテクノロジーである0.11ミクロンメートルCMOSプロセスを採用しています。
- 主要諸元
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テクノロジー | 0.11ミクロンメートル CMOS 4層メタル |
構成 | 34ワード 語長64ビット 読み出しポート数 10 書き込みポート数 6 |
マクロサイズ | 1mm x 0.5mm (従来比31%減) |
動作周波数 | 545MHz @ 1.2V Vdd |
消費電力 | 220mW @ 500MHz(高速動作時) |
アクセスタイム | 1.4ns @ 1.2V Vdd(高速動作時) |
- [用語解説]
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- (1)レジスタファイル
- 比較的小容量で、高速なメモリの一種。プロセッサの最高周波数で動作し、通常、1サイクルでデータの読み書きができます。
- (2)FR-V
- VLIWアーキテクチャを採用した、富士通の最新マイクロプロセッサのシリーズ名。平成12年6月に、4並列VLIWアーキテクチャモデルとしてFR500シリーズを発売したほか、平成13年3月に2並列VLIWアーキテクチャモデルとして低価格化、低消費電力化を図った普及モデルFR400シリーズを発売しています。
- (3)VLIW型プロセッサ
- 命令長が長く(通常128ビット以上)、1命令で複数の処理を同時実行できるアーキテクチャを持ったプロセッサのことです。
- (4)Superscalar型プロセッサ
- 1サイクル中に複数の命令を発行できる構造のアーキテクチャで、命令実行順序を自分で制御することのできるプロセッサです。
- (5)レプリカ回路
- 実際に動作する回路の一部と同じ構造を持った回路のモデルで、電源電圧や、温度の変動によるデバイス特性の変化を反映したタイミング信号を発生できるため、広い電源電圧範囲や温度範囲で安定に回路動作させることができます。
- (6)シングルビット線方式
- メモリセルの読み出し、書き込みのためのビットラインが、1列のセルに対して1本だけある方式です。
以 上
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。
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