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[ PRESS RELEASE ] 2001-0265
平成13年12月6日
株式会社富士通研究所

ハードディスク装置の媒体腐食を抑える潤滑剤技術を開発

―高温多湿なモバイル環境でもハードディスク装置を利用可能に―


株式会社富士通研究所(社長:藤崎 道雄、本社:川崎市)は、コンピュータの外部記憶装置であるハードディスク装置(HDD)において、腐食原因となる汚染物質や水分から媒体(実際にデータが記憶される円盤状の部分)の磁性材料を強固に保護し、装置の信頼性を大幅に向上させる技術を開発いたしました。
本技術は、高温多湿環境で用いられる携帯情報端末やカーナビなど、据え置き型のHDDに比べ、高い信頼性が要求されるモバイル機器を中心としたHDDの用途拡大に貢献する技術になるものと期待されます。

【開発の背景】

HDDの記録密度は年率100%の勢いで向上しており、さらなる高記録密度化のためには、記録再生の素子と磁性媒体の隙間(磁気スペーシング)をますます小さくする必要があります。
通常、HDDの媒体表面には、磁性膜を腐食や衝撃から守る保護膜と、ヘッドとの摩擦磨耗を抑える潤滑剤がコーティングされています(図1)。たとえば、現在市販されている30 Gbit/in2の記録密度の媒体では、保護膜の厚さは6 nm(1nmは10億分の1m)以下となっています。
しかし、保護膜は、磁気スペーシングを小さくするのにしたがって、さらに薄くしていく必要があります。保護膜を薄くすると、使用環境中の微量な汚染物質や水分が磁性層まで侵入して腐食が発生し(図2)、結果的にヘッドクラッシュ(データの記録再生が不能となる状態)を引き起こす可能性がでてきます。特に、使用環境が苛酷となる携帯情報端末などのモバイル用途では、この問題が深刻になると予想され、高記録密度化の達成と用途拡大に対する大きな障害となっています。

【開発した内容】
当社では、この腐食を抑制するために、媒体の保護膜上に塗布する潤滑剤の性能に着目し、感光性の潤滑剤に高いエネルギーをもつ真空紫外線(200 nm以下の波長の光を真空紫外線といいます)を照射することで保護膜への潤滑剤結合率を従来の1.5倍以上に高めることに成功しました。その結果、媒体の性能を決める表面自由エネルギー(汚染物質や水分の吸着のしやすさ)を、良質な撥水膜として知られているテフロン(R)と同じくらいにまで低下させることができました。
以上の技術を用いることで、 HDDを組み立る際に、媒体に付着する汚染物質や水分の量を低減するとともに、使用時においても、これらがさらに付着して磁性膜に進入することを防ぎ、腐食の発生しにくいハードディスク装置を実現しました(図3)。

今回開発した技術の特徴は次の通りです。
  1. 潤滑剤の結合率を50%以上向上させ、腐食に対するバリア性を強化しました。
  2. 媒体の表面自由エネルギーを約25%低減し、テフロンと同程度の撥水表面を実現しました。
  3. ディスク媒体の汚染物質の付着量を従来比約25%低減できました。
なお、今回開発した技術の詳細は12月3日から仙台で開催された「TISD国際会議(TRIBOLOGY OF INFORMATION STORAGE DEVICES)」にて発表いたしました。

以 上

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