低コスト超高密度LSIパッケージ基板ギガモジュールを開発
〜 世界最高密度で低コスト、25μm配線を採用 〜
 断面写真
富士通株式会社と 株式会社富士通研究所(社長: 藤崎道雄、本社:川崎市)は共同で、高性能サーバに搭載する中央演算処理装置(CPU)や、高速通信用半導体などで要求される超高密度パッケージ用の有機回路基板、ギガモジュールを開発いたしました。
この技術はノートパソコンや携帯電話、デジタルビデオカメラなどの高密度実装が要求される幅広い機器の基板に適用できます。
[開発の背景]
従来、富士通では、グローバルサーバ(GSシリーズ)やスーパーコンピュータ(VPPシリーズ)のMCM、SCM基板として、銅/ポリイミド薄膜技術により、配線幅5μm、配線間隔7.5μmと世界に類のない微細な構造の回路基板を採用していました。しかし、ハイエンドコンピュータの低コスト化が急速に進展する中で、パッケージ基板の低コスト化が求められています。
さらに、ミドルレンジ機などの幅広い機種にも適用できる、コストパフォーマンスに優れたLSI実装用パッケージ基板が必要になっています。
[開発した技術]
今回開発したギガモジュールは、ビルドアップ工法 (*1)を用いた有機回路基板で、その特徴は以下の通りです。
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- (1) 低コスト
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従来のプリント板材料、製造技術を適用することにより、銅/ポリイミド薄膜回路基板と同じピン数で、1/10以下の低コスト化を実現しました(当社比)。
- (2) 実装密度の向上
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スタック構造の埋め込みビア(*2)を用いることで、信号線をLSI直下にバンプ接続することが可能となり、実装密度が向上しました。
- (3) 有機パッケージ基板最高の配線密度
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ビルドアップ基板で世界最小の配線幅25μmと埋め込みスタックビアを採用することで、配線効率が向上できました。さらに、最大片面6層ずつ、合計12層のビルドアップ層が可能で、2500ピン以上の超高多ピンパッケージ基板を実現しました。
今後、配線幅を15μmに微細化した製品の開発を進めるとともに、ノートパソコンや携帯電話、デジタルビデオカメラなど、高密度実装が要求される民生機器製品にも応用していきます。
[用語解説]
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- (*1) ビルドアップ工法
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ビルドアップ工法は、コアとなる従来の貼り合わせ工法によるプリント基板上に絶縁層と配線層を交互に形成することで微細な配線を実現したもので、ノートPC、携帯電話、デジタルビデオカメラなどで採用され、製品の小型化、軽量化に貢献しています。
- (*2) スタック構造の埋め込みビア
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配線接続用に加工されたビアホールをめっきなどの手法によって導体金属で埋め、平坦なビア表面を形成したものを埋め込みビアと言います。これらのビアの直上にビアを形成し、最短距離で複数のビアを接合する技術をスタック構造といい、高密度実装には欠かせない技術です。埋め込みビアを用いると、スタック構造で、ビア上の実装が可能となることから、高密度実装には欠かせない技術となっています。
以 上

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