1Gbps以上の超高速インターネット通信が可能なIP処理技術を開発

富士通研究所(代表取締役社長:藤崎 道雄、本社:川崎市)と 富士通株式会社は、IPv4/IPv6に基づくインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)の処理を、1Gbps 以上の速度で実行可能なネットワークインターフェースカード(NIC:Network Interface Card)、 Cometアダプタ(コメットアダプタ)を開発いたしました。
また、Comet アダプタの機能を 1 チップ化し、暗号通信機能も盛り込んだネットワークプロセッサComet NP(コメット エヌピー)も同時に開発いたしました。
本技術は、富士通が平成9年度から参加している「 技術研究組合新情報処理開発機構(RWCP: Real World Computing Partnership)」で開発した成果です。
- 【開発の背景】
ブロードバンド・インターネットの時代には、政府によるe-Japan構想に呼応して、多くのコンピュータが高速なネットワークに常時接続されるようになります。そのような高速ネットワーク環境では、高品質画像通信や暗号化通信などによる大量の情報がインターネットプロトコル(IP)という通信規約に従ってやり取りされるため、高速光通信を利用した通信路の高速化だけでなく、コンピュータによるIP処理も高速に行う必要が生じます。従来は、このIP処理を標準的なサーバを用いてソフトウェアで行っているものが多かったため、ネットワークの高速化には、IP処理を高速に行える装置が望まれていました。
- 【開発した技術】
富士通と富士通研究所およびRWCPは、従来ソフトウェアで行われていたインターネットプロトコル(IP)の処理をハード化したり、負荷を考慮して割り込みタイミングを制御したりする技術を導入したインテリジェントカード(NIC:Network Interface Card)、Comet アダプタを開発しました。このカードを富士通製IAサーバ「PRIMERGYシリーズ」などの標準的なIAサーバに装着し、Gigabit Ethernet(ギガビット イーサネット) 1 ポートを使って、115MB/sでのUDP/IPv6 の高速処理が可能なことを確認いたしました。この数字は、Gigabit Ethernetの理論限界性能(118MB/s)の97%に相当します。
また、開発したチップは、IPv6 で必須の 暗号通信規約IPsec ( *1)をワイヤスピード( *2)で処理可能であり、IPv6対応可能な暗号通信機能(DES( *3)使用)を含むネットワークプロセッサとしては、世界で初めてのものです。
IPv6 ShowCaseでは、Cometアダプタ、ネットワークプロセッサ(Comet NP)を展示し、Cometアダプタを装着した IA サーバ間で 100MB/s 以上の高速通信を行います。また IA サーバで WWW サービスを行い、一般の端末から IPv6 を使用してアクセスすることにより、高速通信状況グラフをリアルタイムにご覧いただけます。
富士通では、ブロードバンド・インターネットの発展に貢献すべく、2002年度の製品化をめざして、富士通研究所とともに、今後も研究開発を続けていく予定です。
以 上
【用語解説】
- *1 IPsec (Internet Protocol Security)
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インターネットプロトコルを用いた暗号通信の規格です。IPv6で標準採用されました。
- *2 ワイヤスピード
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通信回線のデータ転送速度のことです。回線スピードが高速でも、NICの処理スピードが遅いと、ネットワーク全体の性能が向上しません。
- *3 DES (Data Encryption Standard)
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データを暗号化する標準方式の一つで、Simple DESやTriple DESなどの方式があります。Triple DESはSimple DESを3回繰り返すことで暗号強度を向上させるもので、一般に高速処理が困難とされています。

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