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[ PRESS RELEASE ] |
平成13年4月18日 株式会社富士通研究所 独立行政法人通信総合研究所 大阪大学基礎工学研究科 |
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HEMT(高電子移動度トランジスタ)の世界最高速記録更新〜産・学・官の連携による研究の成果〜株式会社富士通研究所(社長 : 藤崎 道雄、本社 : 川崎市)と通信総合研究所(理事長 : 飯田 尚志、所在地 : 東京都小金井市)および大阪大学大学院基礎工学研究科(総長 : 岸本 忠三、所在地 : 大阪府豊中市)との共同研究により、この度一年前に達成した'362GHz'の最高速記録を上回る、電流利得の増幅限界周波数がほぼ400GHzの世界最高速トランジスタの開発に成功しました。これによりミリ波帯(30-300GHz)やサブミリ波周波数帯(300GHz-3THz)の新しい周波数利用技術の開発や超高速通信システムの実現に向けた技術的発展が期待されます。
〔開発の背景〕 21世紀の高度情報化を目指して、総務省では電波資源の開拓を進めています。現在ミリ波周波数帯では、自動車レーダや衛星通信および無線通信ネットワーク等のミリ波応用分野が実用化されつつあります。そこでさらなる周波数資源として、ミリ波よりも周波数が高いサブミリ波周波数帯における電波資源を開拓することは、光波とミリ波との狭間に残された人類未踏の周波数資源として、また将来のIT産業基盤技術の発展にとって重要となってきています。そのため当部署では、98年4 月より通信総合研究所および大阪大学と共同して、ミリ波およびサブミリ波帯で動作可能な高性能HEMTの開発を目指して研究を進めてきました。
〔開発した技術〕 今回開発した高速HEMT素子は、半導体材料としてインジウム・リン(InP)基板を用い電子を供給する層としてインジウム・アルミ・ヒ素(InAlAs)、電子走行層としてインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)を用いたものです。HEMTの高速性を高めるには2 つの方法があり、1 つは電子の走行距離の短縮すなわちゲート長を短縮することでありもう1 つは半導体結晶中の電子速度を材料的に増加させることです。昨年の世界記録達成後この2 つの研究手法を並行して進め、今回いずれの場合についても増幅限界周波数を向上させることに成功しました。
これまでの記録として、98年にNTT から発表されたゲート長30nmによる350GHzから、2000年に我々のグループによるゲート長50nm素子のよる362GHzへと塗り替えられてきましたが、今回、これらを大きく上回る高速HEMT素子を実現することができました。
今後はこれらの2 つの方法を組み合わせることで、400GHzを大きく越える超高速HEMTの実現が期待されます。このHEMT技術により、90-110GHz 帯の高性能ミリ波装置の開発も十分可能となるほか、ミリ波全域での通信装置の高性能化が期待されます。また小型軽量で低コストな新しいミリ波・サブミリ波装置技術を開発する上でも重要な基盤技術となります。さらに光とミリ波を結ぶ超高速素子の実現にも展望が開け、ミリ波・サブミリ波電波天文学や地球環境のリモートセンシング分野をはじめとする多くの基礎科学技術分野への波及効果も期待されます。
以 上 |
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