当社はこのほど、株式会社九州富士通エレクトロニクス(本社:鹿児島県薩摩郡, 社長:泉 忠博)と共同で、移動体通信向けに、世界トップクラスの低消費電力を実現したPLL *1 周波数シンセサイザ新「ULシリーズ」(50MHz〜2.6GHz帯対応)として、3製品(MB15F72UL,MB15F73UL,MB15F78UL)を開発し、10月2日より順次発売いたします。
PLL周波数シンセサイザは、携帯電話などの移動帯端末に必須な部品で、機器内部の信号処理に必要となるさまざまな周波数の信号を生成します。平成12年度の携帯電話出荷台数は、ワールドワイド4億台に達すると予想されており、PLL周波数シンセサイザへの需要もますます高まっております。
「ULシリーズ」は、最先端BiCMOSプロセスU-ESBIC4 *2 と新規回路を採用したことにより、低消費電流と高速化を実現いたしました。「MB15F78UL」では、消費電流4.5mA(Vcc=2.7V時の標準値)と、従来製品(MB15F78SP)比20%の低消費電流化を図りました。 また、新規に独自回路を設計したことによりロックアップ時間 *3 を約20%高速化しております。
「ULシリーズ」では、最大動作周波数別に消費電流を最適化した3製品をご用意し、50MHz〜2.6GHz帯まで携帯電話のさまざまな規格に幅広く対応いたします。
パッケージには、従来の BCC *4-20を 0.60mmに薄型化した「新規薄型パッケージ BCC-20」を採用しており、体積を従来比25%削減しております。
当社は、これまで、PLL周波数シンセサイザにおいて、最先端の製品を提供しており、世界シェア約40%(当社調べ)とトップシェアをもっております。今後も、市場の拡大が見込まれる無線周波数帯向けPLLシンセサイザや、インターネット関連デバイスを積極的に提供してまいります。
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【量産出荷】 | 平成12年11月より |
【サンプル価格】 | 300円 ( 3製品共に ) |
【販売目標】 | 800万個/月 ( ULシリーズ合計 ) |
【主な仕様】
- 豊富なラインアップ:周波数帯域により、PDC,GSM/DCS,W−CDMA等に対応。
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・MB15F72UL | : | 1.3GHz / 0.35 | GHz(2.5mA) |
・MB15F73UL | : | 2.0GHz / 0.6 | GHz(3.2mA) |
・MB15F78UL | : | 2.6GHz / 1.2 | GHz(4.5mA) |
- 超低消費電流 : 標準電源電流 4.5mA(2.6GHz帯,Vcc=2.7V時)
- 高速ロックアップ時間 : 従来品とくらべて、約20%高速化を実現。
- 低電源電圧動作保証 : Vcc=2.4V〜3.6V
- シリアルデータにより、2値電流値切り替えの定電流型チャージポンプ回路を採用
: ±1.5mA, ±6.0mA
- 高入力感度 :Vfin(min) = -15dBm(50Ω系)
- SPシリーズ(当社既存のPLLシリーズ)と置き換え可能 : 同一ピンレイアウト採用
- パッケージ : TSSOP*5-20ピン
パッケージ厚0.60mm超薄型パッケージ BCC-20ピン
【用語説明】
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- *1 PLL(Phase Locked Loop):
- 出力した発振周波数と、入力や基準発振器の周波数の位相差を検出して、帰還回路を制御し、発振器の周波数を一致・同調させる。
- *2 U-ESBIC(U-groove isolated Emitter base Self aligned BiCMOS)4:
- 当社のBiCMOSプロセステクノロジのプロセス名称。
素子分離に誘電体分離を使用し、エミッタ、ベースを自己整合する。バイポーラの高周波、CMOS部の低消費電流化と2つの長所を兼ね備えている。
- *3 ロックアップ時間(Lock Up Time):
- 所望する出力周波数を得るまでの時間。
- *4 BCC(Bump Chip Carrier):
- 携帯機器向けに開発された超小型パッケージ。
実装面積はSSOP*6に比べ約50%と小さい。
- *5 TSSOP(Thin Shrink Small Outline L-Leaded Package):
- 実装高さ1.20mm以下の表面実装パッケージの一種。
- *6 SSOP(Shrink Small Outline L-Leaded Package):
- 実装高さ1.25mm以下の表面実装パッケージの一種。
以 上
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